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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2017-04-21

MastodonP2Pか? そしてMastodon以外の最近注目すべきP2P技術 08:06

 僕はMastodonをP2P(+Edge)だと思っている。こんな用語は聴いたことないが、P2P2Eと略しても良い。


 んで、P2P2Eとはどういうことかというと、少数のサーバント(server + client)が相互に対等な関係を保ちながら、各サーヴァントに対してエッジ(端末)がアクセスする構造。


 で、勘の良い人はすぐ気づいたと思うけど、これってインターネットの仕組みそのものなんだよね。


 PCからプロバイダーに接続して、プロバイダーが別のプロバイダーに接続する、そっちのプロバイダーにはまた別のPC(エッジ)がつながっていて・・・という構造。


 本来、インターネットの根幹をなす仕組みはP2Pだったのに、歴史的技術的制約で、なぜかサービスはクラウドになってしまった。


 これは誰かがどこかで是正しなければならないんだけど、今までインターネット上のサービスをP2P化しようという試みはずっと失敗し続けてきた。


 その理由は、純粋なP2P、つまりPCからPCへの通信を前提としたP2Pしか出てこなかったからだと思っている。サーバントをやるにはそれなりにCPUパワーもディスク容量も要るから、ヘビーユーザーしか参加できなかった。インターネットと同じP2P2Eの方式なら、一部のパワーユーザが建てたP2Pサーヴァントにエッジがぶら下がる方式でいくらでもいける。昔、あちこちにボコボコWebサーバーが立ち上がったのと同じ図式だ。


 最近になってようやくビットコン(とブロックチェーン)が市民権を得てきて、「P2Pって怪しくないかも」と思われつつある。本来は怪しくないどころかインターネットの基本的な構造はすべてP2P技術の上に乗っているだけなんだが、WinMXとかが違法コピーとかに使われるようになってP2Pという言葉のイメージがとても悪くなった。


 が、回線が高速化し、大容量ストレージを誰でも使えるようになったから、各サーバントが過去のすべての台帳を持つブロックチェーンみたいな仕組みが実現できるようになったし、Mastodonだって、あんなに雑にインスタンスを立てられるのもいろんなインフラが揃ってきたからだ。


 他にもP2Pで注目すべき技術はあって、まあこのへんは政府で情報関連政策とかを担当している id:mkusunok の受け売りだが、たとえばP2Pストレージ技術として、cockroachdbや、zerodbやzeronet、SyncThingというのがある。



 ジャーナリストの星暁雄さんによるとIPFSというのもある


 Mastodonにはこのうちのどちらかが統合されるか、もしくはセットで運用されることになるだろう。


 Mastodonはメールすらなくしてしまう可能性がある。大容量データは暗号化されてP2Pストレージに分散的に格納され、必要な鍵を持っている人が任意のタイミングで取り出す、ということができるようになれば、メールの添付ファイルとか、暗号鍵を別便で送るとかという馬鹿で非効率的な文化(まあ日本にしかないらしい)はなくなるはずだ。


 実は数年前からP2P技術にも注目していたんだけど、Mastodonが思わぬ流行になったところでこれを突破口としていろいろおもしろいP2P技術をAIと組み合わせて作れると思っている。


 なぜなら、P2Pってなにかに似てると思わない?


 そう、ニューラルネットワークだよね。


 今のところ、ニューラルネットワーク、深層学習(ディープラーニング)と呼ばれるものは多層構造のマルチレイヤーパーセプトロンが主流だけど、東大の松尾研では、マルチエージェントシステムによる深層学習が実現できるのではないかという研究をしている。短期的にはAIの計算を負荷分散するためのクラウドが相互に連携してさらに大きなクラウドを作ることも考えられるし、いまはイーサリアムを発掘している人たちも、自宅のGPUをP2Pで誰かに貸し出せば電気代以上のお金を払ってもらえるとなれば人工知能へのGPUノード提供に鞍替えする可能性もある。


 いま、僕は国内の複数の深層学習用GPUクラウドの設置に関わっている(たぶん個人で関わっている数でいえば最大じゃないだろうか)けど、正直、1000億かけてもこれではまだ足りない。個別の組織が付けれる予算には限界があるからね。


 だから最終的にはいろいろな組織がバラバラに持っているGPUクラウドをP2Pで連携させて、Googleにも追いつけないような規模のGPUネットワークを作れるんじゃないかと思っている。


 それを実現するためには、プライバシーの問題や暗号化の問題、利用料金の徴収と適切な分配ルールを作る必要があって、いろいろ毎日議論していたところ、そんなときにMastodonブームがやってきた。これは乗るしか無いよね。


 というわけでUEIではP2P技術に興味のあるインフラエンジニア、Webエンジニアを募集しています。



 Mastodonを契機としたこのP2Pビッグウェーブでインターネットを再発明しようぜ