Hatena::ブログ(Diary)

shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2017-05-17

kerasの作者François Cholletはもっと歴史を勉強すべき。国や民族単位で批判することの愚かさを知れ 08:28

【悲報】Googleエンジニア「日本人は海外の発明を無視し、メイドインジャパンとしてパクりを展開する」 : IT速報

http://blog.livedoor.jp/itsoku/archives/51289242.html


最初に言っておくがkerasは素晴らしい。gccEmacsが素晴らしいのと同じようにkerasは素晴らしい。

ストールマンがリーナスに嫉妬するあまりどんどん痛い人になって尊敬を失ったとしても、依然として彼の作ったソフトウェアの素晴らしさは変わらない。それと同じように、François Cholletがどんな人格を持っていようと、ちょっとイキがった小僧だろうと、なんなら実はバカだったのだとしても、kerasの素晴らしさはいささかほど霞まない。



だが、彼は少々歴史の勉強が足りないようだ。日本語が読めるみたいだから、世界的に見ても世にも珍しい表意文字表音文字がハイブリッドされたこの表現力豊かな日本語で説明してあげよう。


彼は日本人は西洋で生まれたものを剽窃すると批判している。


さて、彼がどこの国の人だか知らないが、西洋で生まれたものは決して東洋の影響を受けていないのだろうか。


たとえば、マイクロプロセッサ、今日の若者がごく当たり前にCPUと呼ぶそれを半導体に実装したのは日本人だ。日本人が日本の市場ニーズの要請として作ることになったものなのだ。


コンピュータを扱う人間が日本の貢献を批判するのならば、当然それは常識として知ってなければならない。他にもポータブルラジオ、ポータブル音楽プレイヤー、カーナビゲーションシステム、モバイルコンテンツなど、日本から生まれたもので海外の企業がパクったものは少なくない。


コンパクトディスク、ブルーレイ、DVDも日本企業が中心的な役割を果たしている。


世界で最も偉大な発明を生み出し続けてきたアメリカ合衆国を例に取ろう。


彼らの誇る人類史に残る偉業は原爆を作ったことと使ったこと、そして有人月面着陸を成功させたことだ。


さて、原爆のもとになる相対性理論を考えたのは誰だろうか?

そう、アルベルト・アインシュタインだ。彼はもちろんドイツ生まれのドイツ人だ。


月面着陸を成功させたNASAのロケット技術は? もちろんドイツでナチス親衛隊に所属していた、ヴェルナー・フォン・ブラウンだ。


ナチスはアメリカ人が全力で否定する、絶対悪としてよく知られている。


さて、シリコンバレーを発達させる原動力になったコンピュータは誰が発明したものだろう?

アメリカ人なら、モークリーとエッカートのENIACと答えるだろうが、計算機を理論化したフォン・ノイマンはドイツ人で、ノイマンのアイデアの元になったアイデアを考えたのはチェコ人のゲーデルであり、チューリングマシンとして知られる現在のコンピュータの基礎理論を確立したアラン・チューリングはイギリス人だ。


たしかにこの頃の西洋の科学の発達はめざましく、素晴らしい。

けれども日本は400年に渡って鎖国を続けていたのだ。その間に独自の文化を進歩させた。侍、武士道、といったものから、食文化に至るまで東洋のちっぽけな島国だけで育まれたとは考えられないほどの文化的多様さだ。


みんなが忘れているが史上最大の戦艦を建造したのも日本だ*1



そして第二次大戦が終わると、日本はむしろそれまで以前とくらべて遥かにエネルギッシュになった。

20世紀で最も重要な発明のひとつであるトランジスタを発明したのはアメリカ人だが、高周波トランジスタを実用化したのは日本のちっぽけな会社に過ぎなかったソニーであり、世界で最もコストパフォーマンスの高い自動車を製造しているのはトヨタである。


では自動車を発明したのは? ドイツ人であるカール・ベンツだ。

アメリカ合衆国のヘンリー・フォードは、それをマスプロダクションで低価格化することに成功し、トヨタはその製造プロセスを改善することに成功した。


アメリカをアメリカたらしめているのは、フランチャイズだ。

たとえばコンビニエンストアという概念を作ったのはテキサス人だ。セブンイレブンを作ったジョン・ジェファーソン・グリーンである。


セブンイレブンは、日本のイトーヨーカドーがライセンスを得て日本国内で展開を試みた。しかし、アメリカのセブンイレブンが持っていたマニュアルは使い物にならなかった。仕方なく日本独自のマニュアルを作り、フランチャイズ体制を強化し、確立させた。その頃、アメリカのセブンイレブンが倒産しかかっていることを知り、イトーヨーカドーは自社で開発したノウハウを使ってアメリカのセブンイレブンを子会社化し、復活させた。


つまりコンビニエンストアのビジネスを確立させたのは日本人である。



日本は戦争でボロボロになった日本はあっという間に経済大国になった。


経済的に大きくなると何が不足するか。いつの時代もそれは変わらない。計算資源だ。

当時の計算資源は人間だった。


九九も覚えられない人が大半のアメリカ人と違い、日本人はソロバンに強かった。東洋の経済成長の原動力にソロバンがあったことは見落とされがちだが決定的な違いだった。昔は女子も男子もそろばん教室に通うのが当たり前だった。ソロバンの高段者がどのくらい凄いかというと、5桁同士の乗算を暗算でき(ノロマがexcelを起動して数値入力いる間に計算が終わるほどのスピードだ)、立方根を計算できる。


しかしそれでも追いつかないほどの経済成長率だった日本人はこぞって計算の電子化を必要とし始めた。

世界初のコンシューマ向け電子卓上計算機を開発したのは日本人である。


後に電卓戦争として知られるこの闘いは、日本の一流企業が凌ぎを削っていた。電気リレー式、真空管式、トランジスタを使った半導体式。いろいろな電卓が造られた。当時世界最先端の市場である。


そのとき、日本のとあるベンチャー企業の技術者、嶋正利がひとつの革命的アイデアにたどり着く、トランジスタで電卓を作ることが出来るなら、ICでも作れるのではないか。


そのアイデアを持って、当時は半導体メモリしか作っていなかったインテルを訪れ、世界初の計算回路を搭載したICの開発をインテルに依頼する。


インテルでは同様のアイデアを持っていたが資金的にも技術的にも困難が多く伴うので難しかった。しかし日本のちっぽけな中小企業がお金を出すのでやってみるかということになった。インテルのフェデリコ・ファジン、テッド・ホフ、スタンレー・メイザーと合流した嶋は、世界初のプログラム内蔵方式のマイクロプロセッサを完成させた。これこそがインテル4004であり、これを8ビット化したものが8008である。


フェデリコ・ファジンは嶋が渡米する前日に雇われたにも関わらず、マイクロプロセッサ設計の功績を独り占めしようとした。


が、実際に設計したのは嶋であり、彼の才能を認めたインテルのロバート・ノイスCEOは嶋を招き、8080の主任設計技師に嶋を指名した。


その後、ファジンと和解した嶋は、ともにインテルを独立してザイログ社を設立し、20世紀の大ベストセラーマイクロプロセッサであるZ80を開発する。


ゲーム産業を生み出したのはアメリカ人のノーラン・ブッシュネルだが、失敗した。ゲーム産業をきちんと確立させたのは任天堂とセガだ。セガはアメリカ資本が入っていたが、実際にはほとんど完全に日本の会社だ。それにソニーが加わった。


ゲーム産業という視点から見たら、マイクロソフトxbox事業は日本型ゲームプラットフォーム事業のパクリであることは明白だ。なにせかつては僕自身がその闘いのど真ん中にいて、マイクロソフト側のスパイとして日本のゲーム産業の構造を学ぶ・・・悪く言えば盗み取る・・・その現場にいたからだ。


そして20世紀末には世界で最も進んだモバイルプラットフォームであるi-modeが日本で生まれた。

モバイルコンテンツは、日本が世界最先端だったのだ。そう、フォードが自動車の製造でかつて世界最先端だったのと同じように。


21世紀に入ると、AppleウォークマンをパクってiPodを作り、世界中の携帯電話会社がi-modeのビジネスモデルを剽窃したが失敗した。最後に生き残り、i-mode型のビジネスモデルを発展させたのがAppleのiPhoneである。


ちなみに今でも世界中で使われているテレビ受信用の八木アンテナも、米軍が日本の八木博士が発明したものを剽窃したものである。


エンツォ・フェラーリマセラティクアトロポルテのデザインをしたピニン・ファリーナのデザインディレクターは日本人の奥山 清行だったし、BMWのデザインも日本人が担当している。


コンピュータの色を退屈なベージュ色から灰色に変えたのも、VAIOのデザインを担当した後藤禎祐である。

AppleのPoweBookが銀色になった時期と、VAIOの登場時期を比べてみよう。


Xboxのコントローラはなぜかブーメラン型をしている。

ゲームコントローラの十字キーを発明したのは任天堂の横井軍平であり、ゲームコントローラにグリップをつけることを世界で初めて考えたのはソニーの後藤禎祐である。


ところで日本がパクっているだけか論に関してひとつ面白い話がある。


その昔、Appleはタッチスクリーンに関するマルチタッチの特許でモトローラを告訴した。

モトローラの弁護士は、なんとか対抗する手段がないかと思って世界中の学会論文を紐解いた。


すると、東京大学の教授であり、ソニーCSLの研究員(副所長)でもある暦本純一がAppleやジェフ・ハンが発表する遥か以前にマルチタッチユーザーインタフェースのデモを披露しており、これが先行事例と米国裁判所で認められたために全世界のAndroid端末は大手を振ってマルチタッチを使えるようになった。


皮肉にも、日本人が西洋のパクリしかしないと批判し、目下のところ一円も利益に貢献していないFrançois Cholletの給料を払っている、Googleの主要なビジネスのひとつであるAndroidがマルチタッチを無料で使えるのは、彼が批判する日本人の発明と無欲的な貢献に救われているのだ。


こういうのを日本では天に唾すると言う。


ちなみにkerasが主にサポートするディープラーニングの重要要素である畳込みニューラルネットワークも、福島のネオコグニトロンが下敷きになっている。


このPDFを見よ

http://www.cs.nyu.edu/~yann/talks/lecun-ranzato-icml2013.pdf


さて、日本人は西洋のものをパクってばかりだろうか?

むしろ洋の東西を問わず、世界中のものの良いものを取り入れ、独創的な発想で進化させ、再び世界に還流していると僕は思う。



日本人は美徳として、敢えてマイクロプロセッサを作ったのは日本人だとは主張しない。日本人ですら知らない人のほうがもはや多いほどである。それは民族主義や国家主義の愚かしさを本能的に知っているからだ。


ミュシャウォルト・ディズニーに敬意を払い、アニメや漫画を淡々と作り続けるのが日本に生まれた根本的な人々の性向なのだ。



人種や国で一括りにして批判するのは極めて愚かな振る舞いと言わざるをえない。


実際の神経細胞網はパーセプトロンとは違う。全てのニューロンが相互に影響を与えながら進化していくのだ。人間の脳もそうだし、人類の科学という観点でみてもそうだ。

*1:まあ意味はなかったけど