橋本紡『流れ星が消えないうちに』

 今朝、橋本紡さんの『[rakuten:book:11579419:title]』を読了。


 最愛の人加地君を事故でなくしてしまった奈緒子と、今の恋人で加地君の親友だった巧。大切な人を亡くしてしまった二人は、鮮明な記憶として残っている彼にしばられながらどのように生きていくのか。


 1冊前に読んだ『忘れないと誓ったぼくがいた』が存在だけでなく記憶までなくなってしまう二重の喪失の物語だったのに対し、こちらは残された記憶をとどめること、忘れることに悩み続ける物語。そういった意味で非常に対照的な2冊でした。
 こういった設定はリアリティはあるものの、反面ありがちな設定であって、それらの作品群の中に埋没してしまう危険性を伴っています。それだけにどこかに秀でたところがほしいのです。この作品の場合、よくある日常の日々を扱っている作品でありながら登場人物の感情がひしひしと強く伝わってくる巧さ、そして気持ちのやさしさでしょう。紛れもなく、これは橋本紡の作品でした。


 大切な人を亡くしたあとという点では、『半月』での夏目と小夜子、あるいは未来の裕一と里香のことがすぐに連想されました。集大成的な続編なのですね。

2006年3月14日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ

【感想拝見】

おすすめ平均
stars元恋人への想い
stars「流れ星に願いをかけよう」
stars死はそれが終わりではない。
starsページをめくる手が止まらない!! 
starsありえないファンタジーの世界へようこそ

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