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2014-11-11

道尾秀介『鏡の花』

 幼き姉弟がバスに揺られて向かった先。そこはかつて父と母、そして姉が暮らしていた家。人手に渡った家には年老いた住人がいて、表札には「瀬下」と記されている。ここに来た理由、それは、どうしても内緒で調べたいことが章也にはあったからだ。とても大切な調べたいことが・・・

 例えば叙述トリックの場合など、何も事前にこんな感想など読まずにすぐ本を読んでよ、と言いたくなるときがあります。本作も同じことを言いたくなります。叙述トリックではありませんが、まっさらな状態で読んだ方が絶対楽しめる小説だからです。

 生と死の境界線というと、なんだかとてもスリリングな場面を想像してしまうけれど、本作はそこをほのかな灯火で照らすような物語です。

 第一章から第六章まで、それぞれに少しだけずれた世界は、誰かがいることいないことによってその形を変えています。ある章で亡くなっていた人が次の章では生きていて、代わりに誰かが亡くなっている、という具合。どれが本当でどれが嘘か、どれが現実でどれが作り話か、ということでなく、すべてが現実。ただ、違いは誰がどこでどんな風に境界線を越えてしまったかということだけ。

 章ごとに語り手を変え、光を当てる角度を変える物語は、さながら鏡の向こう側とこちら側の世界のよう。そっくりだけれど、左右が入れ替わったかのような世界。似て非なる世界。

 それらは最後の第六章に向かって代わる代わる光を反射していきますが、第六章だけはほかと比べてほんの少し光の量が多く明るいように見えます。まるで、イチョウの木に光が集められたかのように。読んだ人にはわかる、あのイチョウの木に。

 どの姿がいいとか悪いとかいうことではなく、誰かが亡くなるよりもみんな揃っているのがいちばんいい。あたりまえのことですが、今更ながらに気付かされます。どんなにいやなことがあっても、やっぱり生きているのがいちばんなのです。

2013年11月12日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ

鏡の花

鏡の花

 鏡の花 [ 道尾秀介 ]

恩田陸『雪月花黙示録』

 古きよき伝統を守る“ミヤコ”。この地の行く末を左右する光舎の生徒会長選挙がまもなく行われるとあって、人々は沸いていた。だが、“ミヤコ”には勢力拡大を目論む“帝国主義”や、“伝道者”を名乗る謎の勢力も侵入し、本命視される紫風の妨害を図る。果たして、“ミヤコ”を狙う者とは・・・・・・

 恩田さんの新刊は、異なる発展を遂げたふたつの日本の対立のような構図に、学園ファンタジーと剣豪をぶち込んだかのようです。謎×学園×ハイパーアクションってうまいこというなあ。まさにそんな感じ。おそらく、今まで読んだ恩田作品の中ではもっとはっちゃけているんじゃないでしょうか。

 それでも、“ミヤコ”と“帝国主義”の対立を軸に、世界がキッチリとまとめられているのでとっちらかった感じはなく、それぞれのエピソードを楽しむことができます。

 世界のスケールが大きいだけに、エピソードはいろいろな方向に飛んでいきますが、しっかりと繋がっていて次から次へと読み進めてしまいました。ひとつひとつエピソードもっと広げて行ってもよかったのではないかと思うくらい。

 例えば、第三話「夏鑑黄金泡雨(なつかがみしゃんぱんしゃわー)」は美作にある泰山寺での夏合宿に蘇芳が向かう物語ですが、現れるスライム状の巨大な物体を、取り込まれた人々を傷つけないように切り続けるようなストーリー。そこから蘇芳がどのようにして事態を打開していくのかと思いきや、思いもよらないような形に話が転がって、この世界のなんでもありな姿を見せつけられた気分になりました。そんな物語が詰め込まれているのです。

 かつて「恩田作品はいつもどんよりとした曇り空のイメージ」なんて書いたことがありましたが、この作品には明るい蛍光色のイメージも感じました。それは装丁から与えられたものだけではないはず。やはり私も“帝国主義”に浸かっているということなのでしょうか。

2014年2月19日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ

雪月花黙示録 (単行本)

雪月花黙示録 (単行本)

 雪月花黙示録 [ 恩田陸 ]

連城三紀彦『戻り川心中』

 色街で連続して起こった殺人事件。被害にあった男は、顔を砕かれた者ばかりだった。やがてその容疑者として噂されだしたのは、隣に住む代書屋の男。彼は、文字を書くことができない娘たちに代わって、田舎への手紙を代書していたのだ・・・(「藤の香」)

 昨年亡くなられた作者の代表作。訃報記事の多くで直木賞受賞作『恋文』よりもこちらの名前が挙げられていました。

 今回読んだのは、『戻り川心中』に『夕萩心中』所収の3作を加えたもの。これで「花葬」連作8作を網羅収録しています。

●「藤の香」

 色街で起こった顔を潰す連続殺人。犯人として疑われたのは、代書屋の男だったが・・・仕掛けが単純であるがために、もっとも不自然なく感じられる作品です。真実味があるとでも言うべきでしょうか。

●「菊の塵」

 怪我により寝たきりになった陸軍将校の自決。その死と妻の行動にはいくつかの疑問が・・・いろいろな部分で時代設定を巧みに活用した作品。時代によって変化するのは文化や道具だけではないということを改めて痛感。

●「桔梗の宿」

 警察学校を出て初めての殺人事件。色街で起きたそれは、いずれも死体の手には桔梗の花が握られていた・・・これもまた一途な悲恋。この形式を出してくるとは想像もしませんでした。やりきれなさが募ります。

●「桐の棺」

 「あの人を殺してくれ」貫田の兄貴に命じられるがままに、殺人を犯した。殺害した相手は・・・何故、あの人を殺すのか。その部分が見事なほどに逆説的。全体が物語のために寄与していて、無駄なところがありません。

●「白蓮の寺」

 母が誰かを刺し殺している。幼き頃のそんなわずかな記憶は確かなものなのか・・・わずかに残された記憶と証言から導き出される真実があまりに壮絶。

●「戻り川心中」

 心中を図った歌人はひとり死にきれず、元の場所に戻された。3日後に自死するまでの歌集は傑作で・・・有名な表題作。最後まで目が離せない作品であり、特に推理小説好きにとっては急所を突かれたような仕掛けで、思わず唸ってしまいます。

●「花緋文字

 再会した義理の妹。今までの分も大切にしなければと思った矢先、彼女は私の友人と深い仲に・・・純愛か、あるいは復讐劇かという物語が思わぬ方向へ変容してしまう、その違和感の大きさが悲しさを際立たせます。まさに反転、その衝撃は収録作中最大のもの

●「夕萩心中」

 幼き日、薄の原で会った男女は心中する大臣の妻と書生。話題になった心中だったが・・・たたみかけるように明らかになる真実が、話題の悲恋を全く異なるものに変えてしまいます。長編にもなりそうなこの物語を、長めの短編にしてしまうところが素晴らしいです。


 恋愛と推理の結合を目指したこの連作、舞台とした明治末期から昭和初期までという時代でなければ成立しないような作品集です。まさに傑作揃い。

 なんとも美しく、艶やかにそして情緒あふれる表現でひとつの世界が確立されています。連作とはいうものの共通の登場人物がいるわけでなく、舞台となった時代背景と花を使った物語、そして物語の仕組みに共通性があります。恋愛が成就しない悲恋だというのも、統一された世界を作り出しています。

 作品それぞれで明らかにされる真相は、読者が見せられていた世界をまさに反転させるもので、作者のこだわりのようなものも感じられます。読者としては小説世界に引きずり込まれることで表面を信じ込まされている部分があり、それ故に反転の効果は大きくなります。

 また、扱われる事件も誰がという部分よりも、むしろ何故殺害したのか、何故この方法なのかという部分を大きく取り上げ、人の心の奥底に潜む深い闇のようなもの、あるいは他人では理解できないような思いを明らかにしています。

 中でも印象深いのは後半の3作品。結末に明らかになる企みが印象深い「戻り川心中」(第34回日本推理作家協会賞受賞作、第83回直木賞候補作)、語り手の抱く思いの差異に驚愕した「花緋文字」、次々に明らかになる真実が情死の形を全く異なるものに見せる「夕萩心中」です。

 10作を予定していたとされるこの連作、「夕萩心中」の発表から30年、ついに残り2作が最後まで発表されなかったのは残念でなりません*1


 私が推理小説を意識して読みだしたのは、おそらく15年ほど前のこと。そのころなら連城さんの小説を書店で見つけることは簡単なことでした。もっとも、当時の私の関心は連城作品には向いていなかったのですが。今は書店でも文庫を数冊見つけられるくらいでしょうか。つくづく惜しいことをしたと思います。復刊が待たれる作品が、いくつもあるはずです。


収録作:「藤の香」「菊の塵」「桔梗の宿」「桐の棺」「白蓮の寺」「戻り川心中」「花緋文字」「夕萩心中」

2013年11月7日読了 【9点】にほんブログ村 本ブログへ

綾辻行人『Another エピソード S』

 異能の少女見崎鳴が語ったのは、あの一週間に起きた不思議出来事。この夏彼女は海辺の町で幽霊と出会っていた。しかも、記憶を失った幽霊とともに、彼自身の死の謎と、彼の死体を探し求めたという。幽霊・賢木晃也は、11年前に夜見山北中学3年3組の修学旅行で起きたバス事故での生き残りだった・・・

 これはひと夏の爽やかなホラーストーリー。幽霊も登場するし、登場人物も亡くなるけれども、決して怖かったりおそろしかったりする話ではありません。その点では、少々不満があるかもしれません。括りとしてはホラーなのでしょうがファンタジーとかの方がイメージには近い感じ。何かいいジャンル分け、ないかな。

 とにかく先へ先へと読み進めたくなる展開で、あっという間に真相に到達してしまいます。ただし、謎解き云々という物語ではないので、『Another』のようなミステリホラーを融合させた傑作を期待すると残念な結果になるかも。同じ世界観にあっても、あくまで『Another』は『Another』、『エピソード S』は『エピソード S』といったところでしょうか。見崎鳴というキャラクターと、夜見山北中学の不思議な悲劇を活かして、見事なほど異なる雰囲気に仕上げています。次にどんなエピソードが発表されてもおかしくないでしょう。

 もっとも、読者がどんなジャンルイメージを持とうが、この作品が『Another』を既読の読者を想定していることは明白。説明不足というのではありませんが、あの災厄のことなど既読でなければわかりにくい部分がちらほら。いや、既読の方がより楽しめるという方がいいのかな。

 作品中には様々な伏線が張られ、さすが熟練の匠というところです。このあたりはミステリテクニックなのでしょうね。するすると読むことができる作品ですが、それ故に二度三度と読み返し確認したい作品と言えます。一読しただけでは肝心な部分を欠落させてしまいそうです。そう、誰かのように。


関連作:『Another

2013年10月22日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ

Another エピソード S

Another エピソード S

 [rakuten:book:16508113:title]

辻村深月『島はぼくらと』

 瀬戸内海に浮かぶ冴島から、本土の高校へ通う朱里たち四人。島はIターンを多く受け入れ、その中にはホテルを経営する源樹の父や、シングルマザーの蕗子もいる。島の子供たちの多くはやがて進学や就職のために島を出ていく。四人でいられるのも残りわずか・・・

 辻村深月という人は新作を出すたびに高いハードルをやすやすと越えている印象があります。直木賞を受賞した『鍵のない夢を見る』が代表作と呼ばれるのでしょうが、本作も、そして次回作もとどんどん高みに上っていく気がします。

 本作の舞台は冴島と呼ばれる瀬戸内の島。地方を意識した作品が多い辻村さんですが、その中でも『水底フェスタ』と並んで地方の閉塞感を強く打ち出しています。ただ、押し潰されそうだった『水底〜』の睦ツ代村に比べ、今回は個々の事情はあれど明るい未来を期待出来るような絶妙な設定でした。

 これは、冴島という船でしか行き来できない離島の濃密な人間関係の中に、島の外部からの流入があることが影響しているのではないでしょうか。流入はIターンしてきた蕗子たちであり、あるいは仕事で滞在するヨシノであったりです。彼女たちの存在が海を越えて島の内外を隔てる壁を破っているからこそ、朱里や衣花の未来も、決して閉ざされているようには見えないのではないかと感じます。

 また、四人の高校生が島のよいところも悪いところも理解しながら、それに正面から対峙しているのも好感が持てます。特に、網元の一人娘として常に島にいることを宿命とされた衣花には感じ入るところがあります。

 そして、お約束相関関係もまた広がった模様。こういうのは嬉しいものです。

 単純に、四人の高校生の青春と成長の物語というだけではなく、社会とか家族とかについてじっくり考えさせられる一冊でした。オススメです。

2013年8月29日読了 【9点】にほんブログ村 本ブログへ

島はぼくらと

島はぼくらと

 島はぼくらと [ 辻村深月 ]

畑野智美『南部芸能事務所』

 友人に誘われて、「南部芸能事務所」のライブを見に行った新城。たった1回のライブではまってしまい、彼は芸人を目指すことに決め、コンビの相方を探すことに。候補に挙がったのは、事務所スタッフの溝口。事務所にはほかにも個性豊かな芸人たちがいて、いろいろなことを抱えている・・・

 思えば、畑野智美とお笑い、というのは過去の作品を読んだのイメージからは想像しにくい組み合わせでした。しかし、そんなことを忘れさせるほどに、この作品は天才畑野の世界で、他の誰にも書けない世界のようでした。やるなあ。

 ここに表現されているのは、ブームに乗り遅れた芸人たちの不安とも焦りとも投げ遣りとも言い難い感覚。決してトップグループを走ることはなく、いわば惰性のように淡々と過ごす若手芸人の姿です。こんな若者の感覚を表現することに、作者はかなり長けているのではないでしょうか。

 燻っていた若手芸人たちの心に再び火をつける役割を果したのが、まだデビューもしていない新城溝口のふたり。彼らの出会いから始まるこの作品集は、誰が語り手になろうとこのふたりが要所要所に登場し、心をかき乱していくのです。特にたった一公演見ただけで芸人を志したど素人新城の熱さは登場人物たちだけでなく読者を引きつけるものがありました。

 登場する芸人たちはみな、感情移入しやすい人物ばかり。それだけに、あの後どうなったのかが気になってしまいます。ナカノシマはどうなるのか、スパイラルは復活するのか、って。続編があるようなので、そこでフォローされていたら嬉しいなあ。


収録作:「コンビ」「ラブドール」「中間地点」「グレープフルーツジュース」「歯車」「クリスマスツリー」「サンパチ」

2013年8月24日読了 【9点】にほんブログ村 本ブログへ

南部芸能事務所

南部芸能事務所

 rakuten:book:16428438

法条遥『404 Not Found』

 目覚めた裕也が目にしたものは、昨日と変わらない部屋、変わらない学校、変わらない友人。だが、ちょっとおかしい。これは昨日も見た光景、昨日の繰り返し。そして、昨日裕也は確かに父が経営する会社のビルの屋上から飛び降りたのだ。ちょうど下にいた翔太を見ながら・・・

 この手のタイムリープものは大好きなのですが、どこかで何かを間違えたというか、もう一歩だった印象で少々残念。

 そもそも、何をきっかけとしていつからいつへタイムリープするのか、という部分をもっと取り上げていれば、時間SFの王道となって個人的にはもっと楽しめたかと思います。ただ、それはほんの序盤だけで、物語の早いうちにそこから逸れてしまい、違った方向へ。やはり王道は作者の書きたいものではないのでしょう。

 代わって別の設定がされていることは、割合早いうちにわかってきます。この展開はちょっと早すぎたかな。その設定故に、作中世界がなんでもありになってしまい、結果としてラストあたりでの意外性やインパクトがやや足りない印象を受けました。たとえ同じ設定だとしても、見せ方で意外性やインパクトを打ち出すことはできたかと思います。

 もっとも、人間の悪意を書くという部分に力を入れていることははっきりわかり、それ相応のいや〜な感じを受けました。これが作者の持ち味かな。ただし、少々浅い感じが否めず、想像しやすいというか表面的な悪意で、この部分にもっと独自性があったらよかったかと。

 後味の悪さや物語世界の設定など、読者を選ぶ要素が多いと作品といえます。きっとこういった作品が大好きという方も多いことでしょう。次作も期待して待ちたいと思います。

2013年5月9日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ

404 Not Found (講談社ノベルス)

404 Not Found (講談社ノベルス)

[rakuten:book:16250024:title]

天祢涼『セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎』

 有力議員だった父親の跡を継ぎ、無事代議士となった漆原翔太郎。だが、当選早々問題発言を繰り返し、すっかりおバカ議員扱いに。サムライ秘書とも呼ばれる堅物の雲井は、支持率向上のため翔太郎に地元の問題解決をけしかけるが、その都度翔太郎は思いもかけない行動に出る。その結果は・・・


 かつて「料亭通いしたい」などと発言した新人議員がいたけれど、新人議員氏を思い起こさせるような言動の若き二世議員漆原翔太郎。彼の突拍子もない言動と発想が、うまい具合に絡み合って事件やものごとの真相にたどり着いてしまう様が、ユーモアたっぷりでなんともおもしろく読みました。

 楽しいのは、翔太郎がおバカなふりをした謎解きの天才なのか、それとも本当にただのおバカなのか、語り手で秘書の雲井にはよくわからないところでした。堅物の雲井が良かれと考えてとった対応のほとんどが裏目に出てしまい、それを翔太郎が後からひっくり返していくというパターンの繰り返し。ですが、このパターンが一話一話の翔太郎の活躍を際立たせ、同時に雲井の困惑を増大させていくつくりになっていてユニークです。できることなら、翔太郎にはこのままおバカの仮面をかぶった天才二世議員でいてほしいなあ。

 何やら変わったものを書く人というイメージを持っていたのですが、「天祢涼ってこんな作品を書くのか」と、いい意味で先入観を覆されました。シリーズ化も期待できそうです。

2012年12月4日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ

セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎

セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎

 

新庄節美『聖夜は黒いドレス スカーレット・パラソル 2』

 はじめての泥棒を無事こなした愛梨のもとに届けられた一通の手紙。それは“日本泥棒協議会”への招待状。厳重な警備に守られた稀覯書『ネクロノミコン』をターゲットに、4人の怪盗と覇を競うのだ。愛梨は六平の協力を得て、ターゲットに近づいていくのだが・・・


 『はじまりは青い月』に続く、スカーレットパラソルシリーズの第2作。初出は1991年講談社の「キララティーンズシリーズ

 およそ20年前のジュブナイルであり、さすがに少々古臭く感じられるものの、真っ当な怪盗ものとして読むことができる作品です。

 そもそも、シリーズ前作でのスカーレットパラソルの活躍ぶりや、もともとジュブナイルであることを考えれば、彼女が怪盗として華やかに活躍するストーリーはあまり想像できません。そんな中でも、ライバルとなるそれぞれの怪盗が用いる小道具、あるいは手口といったところがバラエティ豊かで楽しませてくれます。

 また、展開の速さというか、ストーリーがわかり易すぎるのは少々物足りなく感じますが、もともとジュブナイルであることを考慮すれば、むしろこのくらいの方が良いようにも思えます。

 いずれにしても、怪盗ものの作品を読む機会というのは少なく、このシリーズは貴重。それだけに、このシリーズが2作だけで書き続けられていないのは残念です。

 また、こういった作品をしっかり復刊してもらえるのは嬉しいですね。


関連作:『はじまりは青い月 スカーレットパラソル 1』

2012年10月5日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ

 

11月の購入予定

11/1 有栖川有栖 『怪しい店』 角川書店

11/1 中村 航/中田永一 『僕は小説が書けない』 角川書店

11/5 水生大海 『招運来福!まねき猫事件ノート』 ポプラ文庫ピュアフル

11/6 中村航 『デビクロ通信200』 小学館文庫

11/6 森博嗣 『サイタ×サイタ』 講談社ノベルス

11/6 望月守宮 『無貌伝 〜最後の物語〜』 講談社ノベルス

11/7 有栖川有栖 『高原のフーダニット』 徳間文庫

11/7 坂木司 『ウィンター・ホリデー』 文春文庫

11/7 若竹七海 『さよならの手口』 文春文庫

11/7 折原一 『毒殺者』 文春文庫 (『仮面劇』改訂改題)

11/12 大沢在昌 『絆回廊 新宿鮫X』 光文社文庫

11/12 石持浅海 『トラップハウス』 光文社文庫

11/12 市川哲也 『名探偵の証明 密室館殺人事件』 東京創元社

11/12 麻耶雄嵩 『化石少女』 徳間書店

11/13 貫井徳郎 『誘拐症候群』 双葉文庫 (新装版)

11/13 近藤史恵 『ホテルピーベリー』 双葉文庫 →初読時感想

11/13 福田和代 『リブート!』 双葉文庫 →初読時感想

11/13 近藤史恵 『私の命はあなたの命より軽い』 講談社

11/13 誉田哲也 『インデックス』 光文社

11/14 伊坂幸太郎 『PK』 講談社文庫

11/14 森川智喜 『スノーホワイト』 講談社文庫

11/20 村山由佳 『放蕩記』 集英社文庫

11/21 北山猛邦 『オルゴーリェンヌ』 東京創元社

11/25 太田紫織 『櫻子さんの足下には死体が埋まっている 白から始まる秘密』 角川文庫

11/25 相沢沙呼 『マツリカ・マジョルカ』 角川文庫

11/25 東野圭吾 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 角川文庫

11/26 北山猛邦 『ダンガンロンパ霧切 3』 星海社FICTIONS

11/28 柴崎友香 『わたしがいなかった街で』 新潮文庫

11/28 リレー小説 『リレーミステリ 吹雪の山荘』 創元推理文庫

11/28 伊坂幸太郎阿部和重 『キャプテンサンダーボルト』 文藝春秋

11/28 森谷明子 『花野に眠る 秋葉図書館の四季』 東京創元社

11/29 桜庭一樹 『GOSICK BLUE』 角川書店

 さて、本当に買うのは何冊でしょうか。

10月のまとめ

10/11 月村了衛 『機龍警察 未亡旅団』 早川書房

10/24 相沢沙呼 『スキュラ&カリュブディス―死の口吻―』 新潮文庫nex

 10月の読了はたった2冊、購入は8冊でした。

 今年の累計では読了は57冊、うち積読消化は34冊、購入は154+2冊です。

10月のお買いもの

10/3

 古野まほろ 『その孤島の名は、虚』 角川書店

 相沢沙呼 『スキュラ&カリュブディス―死の口吻―』 新潮文庫nex

10/10

 川原礫 『アクセル・ワールド 17 ―星の揺りかご―』 電撃文庫

 蒼山サグ 『天使の3P! 4』 電撃文庫

 中村航 『デビクロくんの恋と魔法』 小学館文庫

 麻見和史 『屑の刃 重犯罪取材班早乙女綾香』 幻冬舎文庫

 浦賀和宏 『姫君よ、殺戮の海を渡れ』 幻冬舎文庫

 大崎梢 『プリティが多すぎる』 文春文庫

*12008年、『幻影城の時代 完全版』に「夜の自画像」が収録されていました。