年明けに蛙を食す


話は大晦日まで遡る。
新年は西洋暦の元旦が土曜日なので、ベトナムは異例の3連休になる。例年は元旦のみが休みなのだが。

連休前最後の授業を終えて、さてとベトナムで3回目となる年越しである。
10年前の初赴任の時は日曜日だったし、大晦日の朝まで学生の看護学校受験の願書のチェックや発送作業をしていた僕は、気がついたら学校に誰も残っていなかったと言う、暗黒の年越しであった。それでもセオム(バイクタクシー)のTさんと2人で、今は無き某日本食屋で乾杯し、店主のNさんのご厚意で、衛星放送の「紅白」を見せていただいたのだ。

そして6年前の2回目は、理系科目の派遣講師Sくんといっしょに、僕のハノイでの根城である日本料理「K」のカウンターで年越し蕎麦を頂き、数日来カウンターで隣り合って知り合った、当時の「時事通信」ハノイ支局長のMさんと、当時ハノイで発見されたばかりのタンロン遺跡の話題で盛り上がったのだった。


さて、ダナンの年越しである。
人通りがいつもより多いかな?と感じる程度で、サイゴンやハノイとはやはり違うよねと思いつつ、いつもの「K」へ。

本日はベトナム人の家族連れで混雑している。まあ、座敷の壁側に座った方が、店員たちの動きや表情が見られるので楽しい。
オススメメニューのチャカー(さつま揚げ)、カンパチの刺身を頂き、おでんも食べて日本酒を飲む。正直いつもとかわらないのだが、、、、

そうそう、数日来、うちのNPOのK理事の発案により、アドバイスをもらいつつ鳩首協議を重ねてきた「孫茶」もいよいよ完成の域に近づいて来た。ぶっちゃけ「うまけりゃOK」と考えると完成なのだが、正直イマイチパンチが足りねえなあ…。もうひと味何だけ、なめろうをもう少し多くするべきかな。


そうこうするうちに、お客も引けてきた。店員のTちゃんが時計を気にしながら、22時少し前にサービスの年越し蕎麦を運んできてくれた。22時、そう、日本では0時である。

この娘、そう言う気の使い方ができるので、とてもよいよい。

正しい、年越し蕎麦の儀である。

さて、そろそろ退散するかなと思っていると、ママのTさんが「彼女たちを連れて、遊びに行ってもらえないでしょうか」と言ってきた。店が早い時間に引けた日は、みんなで夜食を食べに行くこともあるので、大晦日だし少しぐらい遅く帰っても学校の門は開いてるだろと考えてOKした。

今日は忙しくて、みんなぐったりしていたのだが、Tさんから「先生と遊びに行って来なさい」と声がかかると、急に元気になって片付けを急ぎだした(笑)

と言うわけで、


トゥン、フーン、


お馬鹿キャラのディップ、新人の日本語学生オアインの4人といっしょに、

バイクでまずは大学へ。今夜の守衛さんは、熱心な仏教徒らしく挨拶する時も合掌を欠かさないDさんとわかっていたので、遅くなることを告げたほうが良かろうと思ったのだ。

まあ、Dさんはすぐに事情を把握してくれたのだが、何せ大晦日の、3連休前の夜である。いつもは22時が門限の寮の学生たち、続々と帰ってくるのだが、大学唯一の外国人教師である僕は有名人。女の子を4人も引き連れて登場したもんだから大騒ぎである(笑)

で、再びフーンのバイクに乗って向かったのが、市内でも有名なケム(アイスクリーム)の店。ここは以前にチームDの学生と来たことがある。
ったく、テンション高い北国のチームKの面々。そして、「お腹が空いたから、もう一軒行く」という。で、着いたところが

海鮮料理の屋台。
あのねえ、先にデザート食べちゃって、順番が逆でしょ。


蛤。大きくて、さっぱりしていて、美味しかった。

海老と野菜を炒めたもの。辛いけど美味しい。
烏賊の天ぷら。みんな、僕の好みをちゃんと注文してくれるのが嬉しい。

で、この肉、なに?


蛙だって、カエルさん。食用蛙。

最後は蟹。味付けが濃くて、辛かったけど、やはりダナンの蟹は美味しい、、、、、、と言っているうちに、
Tちゃんが「先生、12時〜」と叫ぶ。ああ、そうか、この子たちもちゃんと「年越し」を意識していたんだね。

Tのお父さんから「帰りが遅い!」と電話が入るが、「先生と一緒と言ったから、大丈夫」って、保護者かい!(笑)

考えてみれば、この子たちは学校とバイトの2重生活で、お店は年中無休だから、遊んだり息抜きしたりする時間がないんだよね。Tなんか朝5時から働いているし。だから、ちょっとした時間でもこうやって息抜きができると、ものすごいテンションで大騒ぎになる。


まあ、息抜きになったようだから、よかった。だって、僕はいつも彼女たちに癒されているのだから。

バイクで大学に戻ると、Dさんがすぐに門を開けてくれた。そして、合掌しつつ、「チュック ム〜ン ナンモ〜イ」と新年の挨拶。

と言うわけで、2011年の幕開けは「チームKの4人と、蛙を食す」だった。

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