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浦川留的雑記帖之参

2017-05-23

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

試写にて観賞。ウクライナに生まれ、キエフ国立バレエ学校を経て英ロイヤル・バレエスクールに進み、同バレエ団史上最年少でプリンシパルとなり一世を風靡するも22際で突然退団した天才的バレエダンサー、セルゲイ・ポルーニンの破天荒な半生を追ったスリリングなドキュメンタリー。羽のように軽やかでかつ刃物のように鋭利な抜群のテクニックと表現力、その才能と実績に比例してのしかかるプレッシャーや家族への複雑な想いの間で揺れ動く、バレエの神様の化身のごとき美しさと時に氷のようで時に炎のような感受性にただただうっとり。
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2017-05-22

空と風と星の詩人〜尹東柱の生涯〜

試写にて観賞。朝鮮半島が日本の統治下にあった時代に日本の大学に留学中、治安維持法違反の疑いで逮捕され獄死した韓国の国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)とその従兄弟で民族独立を悲願としたソン・モンギュの短い生涯を描いた、「王の男」や「ラジオスター」のイ・ジュニク監督作。特集上映「ハートアンドハーツ コリアン・フィルムウィーク」のラインナップの1つで、戦時中の公安や特高描写は見ていてツラいけれど、そのひどい仕打ちを強調するというよりもっと抑制的なモノクロ画面と劇中で朗読される数々の詩のみずみずしさによって青春映画のようなたたずまいを獲得している、鎮魂の映画でした。

2017-05-21

セールスマン

先の米アカデミー賞で最優秀外国語映画賞を受賞した表題作のアスガー・ファルハディ監督が現在映画祭開催中のカンヌにて3ヶ月遅れでオスカーを受け取ったという中華な記事がこちらに。米大統領が排外的な大統領命に署名したことへの抗議として監督と主演女優タラネ・アリシュスティがアカデミー賞への参加を取りやめたことで話題になったこの映画、先日試写にて観賞したのですが、さすが「彼女が消えた浜辺」や「別離」でうならされたファルハディ監督の腕の冴えは本作でも圧倒的。不勉強ながら自分はアーサー・ミラーの有名な「セールスマンの死」を読んだり観劇したりしたことがなく、それが劇中劇の形で主人公たちの現実の苦悩やすれ違いと分かちがたく結びついているはずの部分に関しては読みきれておらず後で読まなきゃと思いつつ今に至っているわけでありますが、それでも文句なしに完成度の高い映画であることは間違いないと思えました。
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2017-05-20

花戦さ

昨日試写にて観賞。権勢を極めた豊臣秀吉の世、千利休をはじめ秀吉の怒りを買った者たちへの理不尽な迫害に居ても立ってもいられなくなった当代随一の花僧・池坊専好がいけばなを“武器”に秀吉と対峙する…。史実と伝説に大胆な解釈を加えた、野村萬斎と市川猿之助のどアップに堪える芸の風格にグッとくるエンタメ時代劇。佐藤浩市演じる千利休も絶妙。物語的にも予想外に(すみません!)新鮮な切り口と直球な展開が魅力的だったし、場面場面をいろどる花々のあしらいが野の花であれゴージャスで芸術的ないけばなであれそれぞれの素朴さや美しさ、遊び心やメッセージ性や真剣勝負のかたちが現れていて印象深く、華道はどしろーとですがいけばなってかっこええなあと素直に見ほれてしまいました。
ちなみに全くもって余談ながら、劇中、主人公が随所でとなえる光明真言が偶然にも自分が唯一そらんじることのできるマントラだったので勝手にテンション上がってしまったのも好印象の一因であります。
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2017-05-19

僕とカミンスキーの旅

先日劇場にて観賞。往年の芸術界の寵児であり失明した後も筆をとっていた伝説的画家カミンスキーと、その伝記を書いて一儲けすべく隠棲中の画家の元へ強引に押しかけた美術評論家との成り行きまかせの珍道中とそれぞれの心の旅。名声があってもなくてもあまねく人生は悲喜劇なり。余韻はほろ苦くも清々しく、達磨の教えがじわじわと沁みました。珍しく(?)チャラいキャラのダニエル・ブリュールが安定の好演。いつ見ても良い役者さんだなあ。。
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2017-05-18

十年 TEN YEARS

先日試写にて観賞。十年後の香港の姿を皮肉と不安と哀感と祈りと静かな希望を込めて描いた5人の新人監督によるオムニバス映画で、ごくインディペンデントな小品でありながら口コミで評判になり昨年の香港電影金像奨で最優秀作品賞を受賞し、驚きと共に香港映画人の気概を感じさせてくれた香港映画史に残る重要な1本。十年後という設定自体が皮肉と思える、かつ香港だけの話ではなく身近な近未来の予知夢のようなタイムリーさもまた驚きというか何か啓示のようなものを感じさせるものあり。いささかノリきれないパートもないではなかったけれどもそれ以上に5本の順列がこの作品の価値を決定づけており、最終パートはこれしかないと思えました。余談ながら1本目に出演の王宏偉は実に味わい深く敏感な役どころだけに本国でなんか言われたりはしなかったかしらと…老婆心ですが。
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2017-05-17

パトリオット・デイ

試写にて鑑賞。2013年4月15日にボストンマラソン大会会場で起こった爆破テロ事件、その被害者や加害者、事件解決に奔走する関係者たちの数日間を描いた緊迫のドラマ。多くの死傷者を出した実際の事件を再現しつつ商業映画としても第一級の仕上がりを堪能し、2時間強があっという間。主役のマーク・ウォルバーグも鉄板でしたが、個人的には「コップ・カー」のゲスっぷりが似合いすぎだったケヴィン・ベーコンの久しぶり?にまっとうで知的なキャラが嬉しかったり、昨今フィクションかノンフィクションかを問わず腐敗とか権力の犬的なイメージが強い警察がこれまた久しぶり?のガチで責任感の強い正義の存在なのにもグッときたり。
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2017-05-16

于素秋、病逝

D先生情報です(多謝!)。ジャッキーやサモハンらの京劇の師・于占元の娘でジャッキーらの姉弟子でもあり、著名な京劇役者にして広東語映画の女性アクションスターであった于素秋が、移民先のアメリカにて今月12日に亡くなったとの記事がこちらとかに。記事によって享年88とか89とあるのは数えでしょうか。30年生まれだそうなので満でいうと86か87と思われます。
合掌。

2017-05-15 胡傑作品、連続上映のお知らせ

胡傑作品、連続上映のお知らせ

告知です。専修大学・土屋研究室主催の上映会が下記の通り行われます。学生・一般を問わずどなたでも入れますので、ご興味のある方はぜひ! 

5月25日(木)19:00〜20:10「紅色美術」
文革時期のプロパガンダポスターの制作者たちへのインタビューから成っています。
会場:専修大学神田校舎1号館5階ゼミ53

5月26日(金)19:00〜21:00「林昭の魂を探して」
右派運動で投獄された北京大学女子学生だった林昭の関係者へのインタビューを通して、事件の全貌を探る。
会場:専修大学1号館1階105教室

5月27日(土)
13:20〜14:30「紅色美術」
14:50〜16:50「林昭の魂を探して」
17:00〜18:40「星火」
1960年に起きた甘粛での大飢饉とそれを告発する地下出版物を出した星火事件の全貌。
会場:専修大学神田校舎1号館2階204教室

2017-05-14

カフェ・ソサエティ

劇場にて観賞。ウディ・アレン監督作ということで可笑しさの中にちょっと毒のある話かなと勝手に予想していたら毒はなくちょっとビターでキュンとくる可愛い映画でした。時代も舞台もゴージャスだけれど描かれるのはセレブにも庶民にも通じる出会いと選択と家族についての寓話という感じ。
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