立ち去った女

試写にて鑑賞。超長尺で知られるラヴ・ディアス監督としては短めの3時間48分作品。フィリピンが世界に誇るラヴ・ディアス監督のことを自分が知ったのはTIFFのおかげで、「昔のはじまり」(5時間38分!)と「痛ましき謎への子守唄」(8時間9分!)は見ているんですが「北(ノルテ)ー歴史の終わり」(4時間10分)は残念ながら未見。とにかくこれまではその長さに対して一種肝試しみたいな、それなりに覚悟を決めてトライしてきた感があり、結果すごいものを見たなあという満足感や達成感はかなりのものでしたが、神話的で寓意的な物語世界を感覚的に受けとめていただけでどこまで深く作品を理解できていたかは我ながら微妙だったりも。その点、ベネチア映画祭で金獅子賞を受賞し日本でラヴ・ディアス作品の正式公開はこれが初という表題作は、はるかにとっつきやすいというか、緊張感に満ちた明確な物語があり、モノクロの力強い映像とともに圧倒的にドラマチック。覚悟を決めなくても余裕でもう一回見られます。
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