仕立て屋、サイゴンを生きる

先日、ベトナム映画祭2018にて観賞。先の大阪アジアン映画祭上映時には日程が合わず今回初見。1969年のサイゴンで、代々続くアオザイ・テイラーの一人娘なのに伝統服アオザイには目もくれず西洋のファッションに夢中なヒロインが突然2017年にタイムスリップ、すっかり落ちぶれて自殺をはかろうとしていた未来の自分と出会う。。。どことなく逆方向の「怪しい彼女」っぽい設定でありつつ過去と現在のヒロインが同じ空間に存在するという点は大きく違って、そんな二人がすったもんだしながら自分の人生を見つめ直していく、笑って泣かせる人情ドラマの秀作。往年の流行が過去のものとなり一周回ってまた現代によみがえる新旧ファッションの競演の華やかさ、永遠のモードともいうべきアオザイの刺繍や生地やシルエットの美しさを楽しみつつ、映画で描かれてはいない1969年と2017年の間のベトナムがくぐってきた歴史にも思いを致して別の切なさもありました。ヒロインの母役で登場するマイ女神(最近いきなり自分の中で女神に昇格しました)ゴ・タイン・バンのアオザイ姿も絶品。そういえば映画ではアオザイでなくアオヤイと聞こえて、自分はベトナム語は全くわからんのですがザとヤの中間みたいな発音なのかな。。
FILMEXで忙しい方も多いかと思いますがベトナム映画祭のラインナップもすごくいいので(かくいう自分も16本中8本しか見てないのですが)こちらもチェックしてみてください。東京は23日まで。24日からは名古屋で。