恐竜の首と尻尾の間にとりのこされたインディーズミュージック

 インディーズ系CDが危機に瀕していると聞いて、中高の時代、モンパチゴイステハイスタを聞いて育ったいわゆる「青春パンク」世代の俺はいてもたってもいられなくなったので、少し違う視点から。
 id:lovelovedogさんのエントリの

「NO MUSIC, NO LIFE」の人はどう思っているか感想が聞きたい。

にインスピレーションを受け、僕の周りのバンド好きな友達を勝手に例としてあげてみます。僕の友達、ごめん。

  • 友達でバンドをしている人がいます。どれだけ有名になりたいのかまでは知りませんが、そこそこ有名になりたい欲はあるらしい。近くのライブハウスに出演を依頼したりとか、ちょっとしたオーディションや、JEUJIA主催のバンドコンテストみたいなものとか、学園祭とかに積極的に出演してがんばっています。ただ、彼は絶対webは活用しないでしょう。youtubeで自分の楽曲をうpしたりはしないと思う。ネットの世界で目立っても、それが身近なリアルの世界に跳ね返ってくる可能性は高くはないので。ようは仲間うちの中で目立ちたいんでしょうね。ネットで目立っても友人の評価が上がるわけでもないし。
  • 友達でバンド大好きな友達がいます。いわゆるNO MUSIC,NO LIFEな人で、夏フェスにも毎年参戦して、そこで音楽が縁となっていろいろな友達を作ってその人たちとまたライブにいっちゃったりしているようです。まさに音楽が生活の一部であり、音楽から自分のネットワークを広げているような人です。もちろんリアルのネットワークですが。

 インディーズ音楽、バンド音楽っていうのはだいたいこういう世界で成り立っています。

〜バンドが有名になるまで〜

  1. 仲のいい友達とバンド始める
  2. 友達とひたすらスタジオに通いつめて練習し、ライブハウスの店長に頼み込んで出させてもらう
  3. チケットを友達に配ってライブにきてもらう
  4. その間腕も上げつつ巷での話題も掻っ攫い文化祭出場
  5. 地元のオーディションで勝ち抜いて業界関係者の目に留めてもらう
  6. ライブ、オーディションの繰り返し、生活費はバイト
  7. 運がよければ大手レコード会社主催のバンドコンテストでメジャーデビュー、あるいは自主レーベルを立ち上げて活動継続←これがインディーズね

※その間もちろんファン同士の交流もありうる。

 つまり何が言いたいのかというと、バンドとか青春パンクとかインディーズ音楽自体、リアルなつながりを抜きにしてメイクマネーできないような構造になっている以上、ネットのつながりの重要性があまり見出されていない、というかネットが入り込む余地がないのです。現実を見るだけで手いっぱいになっちゃう。そりゃ他の音楽ジャンルもそうだといわれればそうなのですが、特にインディーズ業界の音楽はそういう傾向が強いと思うんです。上記に示したサクセスストーリーって、いわゆるリア充の香りがしませんか?基本的にバンドとか、夏フェスとか、文化祭とか、キーワードの時点でリア充なんですよ。ネットとは相性が合わないとは言い切りませんが、それほどネットを使って何かしてやろうという機運は起こりにくい。

 俺もこの話を聞いたとき、ロングテールの話はどこいったんだよと思いました。が、考えてみると、今のインディーズ音楽は、売れるものだけをピックアップする傾向を強めている大手レコード会社CDショップ、いわゆるロングテールの首部分と、同人的な一匹狼たちがWEBをフルに活用してメイクマネーしようとしている「攻めの」ロングテール部分、どちらにもなりえない存在なんですよね。インディーズ業界、青春パンクが衰退したのも根底にはこういう理由があると思うんです。ミネタカズノブは生き残りましたけどね。あれはどっちかってと悶々した歌詞で、リア充じゃない層がメインだったから今も生き延びてるんです。  
 今度no music,no lifeな俺の友達に問うてみるつもりです。

追記

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