聡子もさよならの女たちのひとり

その昔、アイドルとは歌を歌うもんだった。まあアイドルに限らず野球選手やボクサーや棋士や力士も歌を吹き込むことが多かったってのもあるけど、とにもかくにもアイドルは歌を歌うもんだった。今、TVで80年代のアイドルが「同期」って言葉を使うときは基本レコードデビューの年(レコード大賞の対象が普通の年とも年度とも違ってたんで簡単ではないけど)だったりする。
だから、アイドルが映画に主演する時には基本的に主題歌は自分で歌うもんだった。んで、パンフレットにその歌詞が載ってるなんてこともあったわけだ。ハルキ三人娘も場合も基本そうなっていた。典子さんの『晴れ、ときどき殺人』なんて例外もあるけど、あれはたぶんミス*1


80年代を代表するアイドルのひとり斉藤由貴もそんな、主演映画の主題歌を歌いその歌詞が載ってる人であった(そのためか映画『スケバン刑事』『スケバン刑事 風間三姉妹の逆襲』にも主題歌・挿入歌の歌詞が掲載されている)。彼女の4番目の主演映画『さよならの女たち』のパンフには。

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それは若かりし日の辰夫さんと力兄ぃが仲良く(かどうかは知らんが)並んでる

などという実に微笑ましいキャスト・スタッフ表の右の頁にその歌詞の頁があるんだけど、その主題歌「さよなら」のクレジットは


作詞・斉藤由貴
作曲・原由子
編曲・武部聡子

となっている。単純に考えれば武部聡志の誤植なんだろうけど、この映画のスタッフの意識の中にこれを「女性映画」にするんだというものが漲っていたからなんじゃないかとと考えないだろうか。例えば『別冊宝島85 フェミニズム入門』のイラストレータのクレジットが「盛本康子」となっていたというのと同様な意思が働いていたと考えてもおかしくないはずである。