“ど少女マンガ”って言葉があるとして

テレビ朝日アメトーーク』でのケンコバの暗躍により、一時期非常に注目を集めたレスラー越中詩郎の異名に「ど演歌ファイター」というのがある。単に「演歌ファイター」ではなく「ど演歌ファイター」と、「ど」がつくとこが非常に越中らしい、と番組中にケンコバも云っていたっけ。
というこって、「ど」である。辞書的には「(1)名詞や形容詞に付いて、まさにそれに相当する意であることを強調する」*1この接頭語なんだけど、ここでリンク先の用例「どまんなか」方面について語るのはワッシュさん(id:washburn1975)にまかせるとして、ふと「ど少女マンガ」って言葉あるのか、あるとしたらどんなマンガを指すのかって考えた。
例えば吾妻ひでおななこSOS』ACT.49「哀愁のラブコメ光線」の首領の台詞


きさま何を読んでる!?
24年組じゃないか!
裏切り者!
こんなものは
少女漫画じゃ
ない!

からすると、いわゆる「24年組」とその周辺はそうじゃないのだろうってことだけはわかった。

NANAも読めるはずぅ♪

数年前に(それを「少女マンガ」と呼んでいいのかどうかは定かではないのだけど)女性作家による女性向け雑誌に掲載されたマンガ三本『ハチミツとクローバー』『のだめカンタービレ』『NANA』のうちで、『NANA』だけは読めないという男がいる(それも少なからずいる)という話をネットやらなんやら読んだような記憶がある(僕もそのうちのひとりだった)。それは今もこれからもあんまり買わないだろう。例えば『NANA』の文庫版を解説を町山智浩師がする*2なんてことはないような気がする。
そのことだけで『NANA』を「ど少女漫画」といってよくは無いのだろうが、矢沢あいが少女マンガの「ど真ん中」に位置していることは、『マンガの居場所』の中で宮本大人さんが書いている。そのなかで少女マンガに対する「現実離れ」等々のナンクセに対して、こう反論している。

この地上から5ミリくらい浮き上がったところに世界を作り上げること。今、会えて少女マンガを成立させる困難を、矢沢あいは正面から受けていて、それは多分、地に足をつけて女の子の現実を描くことより、難しいことなのだ

僕を含めて『NANA』に対する反応には、映画のイメージに引きずられて反感を抱いていた人も多いのかもしれないが、その人たちの多くが作品が描く「ロック」に違和感を感じていたように思える。いわく「ロックはそんなもんじゃねぇ」と。だけど、ふとこの国のロックの根底を支えていたーそれはクイーン、チープトリック、ジャパンなんかの後の大物から、地方のちっちゃなライブハウスで演奏してるアマチュアバンドまで―のは、そんな「地上から5ミリ」浮いた感覚を持った女の子だったじゃないのかって思うと、とてもそんなことはいえなくなってしまうのであった。
今なら2巻でやーめた!『ナナ』も読めるはずぅ♪。
※ちなみに『あのひととここだけのおしゃべり』で「24年組」の中心人物萩尾望都よしながふみがしゃべってる内容は読まなかったことにする。

スローバラードをおまえに

いやー、こんなことを思ってしまったのも、先日100円で買った『ホットロード』全巻に『机をステージに』もくっついてて、それを先に読み始めたからである。
「机のステージ」には女の子と男の子のちょっと苦いロマンチックな話を、学校と彼が所属するバンドを軸に描いてあるんだけど、そのバンドの名が「マーガレット」。その掲載誌の名前をまんま使うメンタリティが、まさに「ど5ミリ浮いてる」と思うのだが、それが案外よめちゃったのである。


だから、ブックエコ福間店はとっとと『NANA』10巻200円なんて快挙(暴挙?)を僕のためにかましてほしいもんである。

やってやるって!!

やってやるって!!

マンガの居場所

マンガの居場所

NANA -ナナ- スタンダード・エディション [DVD]

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よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり

*1:択伐(たくばつ)の意味 - goo国語辞書

*2:

ワン・ゼロ (1) (小学館文庫)

ワン・ゼロ (1) (小学館文庫)

などように