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2016-09-12

なんで「君の名は。」はあんなにドアを閉めたんだろう。

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一昨日、レイトショーで「君の名は。」見てきました。なんだろうね。先週の土曜日も見に行こうと思ったらチケット売り切れで、今回も朝一*1の上映見に行こうと思ったらチケット残りわずかで、しょうがないのでレイトショーのチケット買ったら夕方には売り切れてて。法律上どこでもそうなのかは知らないんですが、この辺じゃレイトショーで終わりが22時またぐと高校生は入場不可になるんですよ。だからあそこで見てたカップルはみんな18歳以上。一部小学生中学生か、って女の子が親子連れで来てたからまあそういうのはあるかもしれないけど、恋愛要素のある映画、高校生が親子で来ないよね。

ストーリーについては漏れ聞いたところからなんとなく想像しつつ。宣伝チラシ*2に「山深い田舎町に住む女子高生」って、現実地名が書かれてないところから、「あ、これ実際の名前を出しちゃいけないやつだ」とかね。実際これはアタリかというと微妙だったわけですが。

でもまあ、これまでの新海誠をいっぱい出してきたな、って思う流れでしたね。「ほしのこえ」の「想いが、時間距離を越える事だって、あるかもしれない」をそのままストーリーの核心に使って、「雲のむこう、約束の場所」のラスト直前「目が覚めたら、そこで見たものを全て忘れてしまう」とか、「星を追う子ども」の「亡くなった大事な人を取り戻すために、あの世に向かう」とか、「言の葉の庭」の「新宿駅」とか「国語先生」とか、あとはタイアップされたサントリー自販機とか、Z-KAIの車内広告とかね*3。人が一生のうちに書けるオリジナルはそんなにない、っていうのかな、とも思いましたが、大事なことなら何回だって力説すればいいので何度やってもいいのだと思います

それにしても瀧くんでしたっけ? 彼の恵まれっぷりは正直妬ましいくらいでした。駅で待ち合わせ、って四ツ谷駅に集合してますけどあれ四ツ谷駅まで歩いて行ってるんですよね。山手線の輪っかの中のマンションに住んでるのか。あれは岐阜山間部でなくても憧れますよね。でもって友達カフェ巡り。さすがにパンケーキ3000円はさすがに高校生の予算から考えても使いすぎっぽいですが、男3人の友達同士で帰りがカフェ巡りって今どきの高校生的にはあり得る展開なのかどうかもわからなくなってきました

まあ伏線だったりそうでなかったりするものを挙げていけばきりがないんです。例えば、あれ、三葉の使っているスマホiPhone5cっぽいな、2016年現在にしてはちょっと古めだな、とか、あの部室は歴代の部が書いてあるのか、テッシーがいくつも作って誰も入ってくれなかったのかどっちだろうなんでX68000があるのかな、とか、町長室に一家全員集まっていると思ったら、そういやこの一家全員さっき本人じゃない本人と個別に会ってたなとか。わからないところが一つあって。

「君の名は。」やたらドアが閉まるんです。寝室で胸揉んでる三葉を見た四葉リアルすぎるトイレから出てきた瀧。遅刻して家から出てくる瀧、その他電車のドアは23回くらい閉まってます*4アニメって描くべきものしか描かないことができるから、描かれていることはどうしても描きたかったこと、というのは誰の言葉でしたか。それを考えるとあれだけ閉まるドアにはたぶん何らかの意味があると思うんですが、「ドアが閉まる」ってところからくる「断絶」「別れ」みたいな象徴とはちょっと違う気がするんですね。

なんであんなにドア閉めたかなあ。

「同一に見える場所の時間の経過」でも示したかったのかなあ。

だとすると、「ドアを閉める」描写に注目して作品を眺めると、いろいろ謎になっている時間経過の真相がわかるかもしれないな、と、現時点で感想を眺めても誰もあのドア閉め回数の多さが気になっている人がいないのでここに書いておきます。

*1:ではなく、実際には2回上映が増えて朝3番めの上映になってた

*2:もしくはウェブサイト

*3もっと大事作品がないだろ、って言うかもしれませんがよくわかりません。彼女と彼女の猫のことかな?

*4:回数は適当です

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2016-09-05

クラウドファンディングが満たさないといけない法規制は意外とある。

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前のエントリ、前の前のエントリと、つづけてクラウドファンディング「いしわり」について書いてきましたが、今回もクラウドファンディングに関する話です。ネタ元としては基本的に「いしわり」について書いていますが今回はそこに限った話ではありません。

クラウドファンディングは「通販サイト」の一形態である

クラウドファンディングには3つの形態がある、というのは「クラウドファンディングとは」みたいなワード検索するといっぱい出てきます。どこかがネタ元なのかな、とは思うんですがその辺を掘り込んだりはしません。

の3つがあって、でもほとんどの人が認識しているのは「購入型」のクラウドファンディングだと思います。寄付型ではウリを見せることがなかなかうまくいかないのと、寄付にはある一定以上は税がかかるから。投資型がなぜ流行らないかというと、金融商品取引法に基づいて、第2種金融商品取引業登録必要となるから。

対して「購入型」は、基本的に通販と同じやり方でサイトを構築することができますし、法的な部分も通販サイトと同じもの適用されることが考えられます。

特定商取引法における通信販売定義が「通信販売」とは、販売業者または役務提供事業者(※1)が「郵便等」(※2)によって売買契約または役務提供契約の申込みを受けて行う商品権利の販売または役務の提供のことをいいます。

http://www.no-trouble.go.jp/search/what/P0204003.html

ここにある通信販売の定義、そのまま「購入型」のクラウドファンディングに当てはまりますよね。

通信販売なら、特定商取引法が必須になるはずだが

そんなわけで、「いしわり」にかぎらず、大体どこのクラウドファンディングにも「特定商取引法に基づく表示」というやつがあります。「いしわり」の場合はここ。どこにでもあるやつですが、まあクラウドファンディングならではのことが少々書いてあって、そこが気になるといえば気になります。

ついでにいうと、ここ「いしわり」にある14*1のプロジェクト、代表者の書かれているプロジェクトも多いのですが、それがきちんと「特定商取引法に基づく表示」になっているかというと若干微妙ではあります。

まあ、このへん解釈が微妙なようなのです。

また、購入型の場合は、以下の点に注意が必要です。

誰が売主となるのかにより(通常は資金調達自身と考えられますが、スキームの法的構造によっては、プラットフォームの提供者が売主となる可能性もあります。)、購入対象に関する責任所在が異なることになるため、スキームの法的構造を吟味する必要があること。例えば、以下に述べる責任の所在や規制を受ける者が異なることになると考えられます。

クラウドファンディングの法規制%28基礎編%29

つまり「いしわり」をはじめ多くのクラウドファンディングでは、サイト運営者が売主であるとして「特定商取引法に基づく表示」がされているのですが、実際出資者にとってはどうでしょうか?件のサイトには続いてこうもあります。

  • 売買であることから、売主には瑕疵担保責任等の購入対象に関する責任が生じること。
  • 瑕疵担保責任については、完全な免責を定めることは、資金提供者が一般消費者であることから消費者契約法上難しいと考えられ、責任の内容については慎重な検討が必要となること。
  • 特定商取引に関する法律に基づく表記等の、いわゆる特定商取引法による規制を受けること。
  • 購入対象と対価のバランスが取れていない場合は、単なる贈与として、(3)寄付型の法規制で述べた点と同様の税務上の問題が生じる可能性があること(購入型ではモノを販売するだけでなく、資金調達者の人と握手する等のサービス提供という形態もあり、特にサービス提供の場合は対価とのバランスに注意が必要です。)

これらの責任をプラットフォーム提供者がきちんと取れるのかどうか。取れないなら、プロジェクトの発案者も売主という意識を持っていただく必要があります。

実際、「いしわり」では、「特定商取引法に基づく表示」内で、

リターン購入の方法 本サイトからのお申込みのみとなります。これ以外の方法により、プロジェクト実行者にリターンの予約購入を申し込んだ場合は、当社は一切関与せず、責任を負いかねます。ご了承ください。

リターンの引渡時期 各プロジェクトの募集期限までに目標金額が集まった場合、プロジェクトは成立し、リターンを受ける権利が発生します。プロジェクト実行者は集まった資金を元手にリターン(商品・サービス)を支援者(協力者)に提供する義務を負います。 リターンの引渡時期は、各プロジェクトの記載に準じます。

(一部抜粋)

特定商取引法について | いしわり−岩手をもっとおもしろく! 岩手発のクラウドファンディング

とあって、自分の及ぶところの責任の限界と、プロジェクト実行者への義務を明記はしています。

ところが利用規約では、

団体は、プロジェクトの支援金額が募集期間中に目標金額に達すること、プロジェクトが実現すること、及び実行者がプロジェクト実行資金を支払った協力者にプロジェクトページに記載されている条件でリターンを提供することを保証するものではありません。

利用規約 | いしわり−岩手をもっとおもしろく! 岩手発のクラウドファンディング

自分が売主なのに、「記載されている条件でリターンを提供することを保証するものではありません。」と言ってしまうのはいささか無責任ではないかと思うのです。たぶん「いしわり」が売っているのはプロジェクト発案者へのサイト掲載手数料(成功報酬)だけなのかもしれません。しかし、それを言うならプロジェクトの実行者にも「特定商取引法に基づく表示」が必要じゃないか、いちおうそうは言っておきたいと思います。もしそうでないなら、クラウドファンディングの出資者は通信販売の買い主じゃない、ということになってしまいまして、仮にクラウドファンディングが「購入型」を標榜していても実態は「寄付型」「投資型」となってしまいまして別の意味でややこしくなりますし、「購入型」クラウドファンディングは「通信販売」の一形態ではない、となれば以下の話は有効ではなくなるので。

ちなみに例の「マルカン大食堂 運営存続プロジェクト」のプロジェクト実行者「上町家守舎」のユーザーページは今のところそういう内容にはなっておりません。

さて、クラウドファンディングが「プロジェクトを実行するために高めの商品を後払いで買う」性質のものだとすると、通信販売に課される法的制約はそれだけに留まるものではないのです。

通信販売は、特定商取引法だけで規制されるものではない

例えば、お礼の品が中古品だった場合、「古物商許可証」が必要になります。幸いにして「いしわり」には中古品をお礼にしているプロジェクトはないようですが、古物商許可証の番号と販売責任者名の掲示をガイドラインに明示しているクラウドファンディングもあります。

で、通信販売でもう1つ大事なのが「酒類販売免許」。特にウェブですから「通信販売酒類小売業免許」が問題になります。

最大の関門「通信販売酒類小売免許」

昔は酒類販売免許を取るのは大変なことでした。特に酒類には国税がかかりますからね。今は「通信販売酒類小売業免許」が前に比べれば比較的楽に取れますが、それだって「比較的」でしかありません。そもそも通信販売酒類小売業免許で売れる酒類ってけっこう限定されるのですがここではその話はあまりしません。クラウドファンディングのお礼品がどこにでもある酒じゃそもそもダメですからね。

で、「いしわり」には利用規約にもよくあるご質問にもこれ関係の話が全く書かれていません。おそらく売主としてそこへの意識が全くなかったのでしょう。それでも開設から1年はうまくいきました。プロジェクト出資のお礼の品に「酒類」が含まれなかったからです。では今はどうか、というと、募集中のプロジェクトを含め2つあります。1つは「手作りワイナリーをみんなに育ててもらうために、幻の「ゼロ号」を届けたい!プロジェクト」。亀ヶ森醸造所というワイナリーによるプロジェクトです。こちらは今年の6月に酒類等製造免許を取得しているため、自分の作った酒については特に小売業免許を取得することなく売ることが可能です。

もう1つは、例の「マルカン大食堂 運営存続プロジェクト」。このプロジェクトの出資に対する3万円以上の全てのプランに「マルカン応援ワイン2本セット」が含まれています。もちろんこの発案者である「上町家守舎」およびその関連団体である「花巻家守者」は種類等販売免許を少なくとも今年になってから取得しているわけではないようです*2

もちろん、一般的な通販と違って、クラウドファンディングの場合、商品が届くのはお金を払った直後ではありません。法律には疎いのですが、商品のお届け予定日である「新マルカンビルオープン1ヶ月前」までに酒類等販売免許を取得すれば問題はないのかもしれません。まあ危ういといえば危ういです。

そしてこの両プロジェクト、酒を売るのにもう1つ大事になることを守っていません。「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」というやつです。

「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」とは

広告で「お酒20歳になってから」とかスーパーコンビニなどで「20歳以上の年齢であることを確認できない場合にはお酒を販売しません」みたいな表示を見たことがありますよね。あれは国税庁の告示に基づくものです。くどくど言うより国税庁の当該ページがわかりやすいのでリンクを張っておきます。

当然のように通信販売にもこの表示基準があります。

(1) 酒類に関する広告又はカタログ等(インターネット等によるものを含む。) 「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」又は「未成年者に対しては酒類を販売しない」旨

(2) 酒類の購入申込者が記載する申込書等の書類(インターネット等により申込みを受ける場合には申込みに関する画面) 申込者の年齢記載欄を設けた上で、その近接する場所に「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」又は「未成年者に対しては酒類を販売しない」旨

(3) 酒類の購入者交付する納品書等の書類(インターネット等による通知を含む。) 「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」旨

未成年者の飲酒防止に関する表示基準を定める件

これを全て守る必要があります。とはいえ(3)はお礼品を送る前に行えばいいものなのでここでは外しまして、(1)と(2)。(1)については、各プロジェクトのページを見ればわかるのですが、全くそれは表示されていません。(2)の申込画面はクレジットカード決済直前までたどりましたが、やはり全く表示されていませんでした。

ちなみにこれは告示なので、守っていなかったからといってすぐ罰せられるわけではありませんが、

重要基準違反していると認められるときは、酒類業組合法第86条の6第3項、第86条の7及び第98条第2号の規定により、重要基準に違反している個々の酒類業者に対して、その基準を遵守すべきことを個別に指示した上で、指示に従わなかった場合に命令を行い、更に、命令に違反した場合に罰則を課すこととされています。

「酒類の表示の基準における重要基準を定める件」の概要

となっていますので、免許を持っているところも早めに対応したほうがいいと思いますよ。

*12016年9月6日現在未達成のプロジェクトを含む

*2国税庁のページにその表記が見つかりません

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2016-09-02

「いしわり」のクラウドファンディングが〆切の前日に目標達成する理由

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先日書いた記事の続編にあたるものかもしれませんがそうでないかもしれません。

この記事を読んだからだとはないとは思いますが、昨日、「いしわり」から「9/1「マルカン大食堂 運営存続プロジェクト」について」という説明文がアップされました。すごいのは、この文章サイトの右上の臨時っぽいリンクからのみ辿れる文章だということです。

今回のプロジェクトは実行者の強い要望により、本来の「クラウドファンディングだけで達成したい目標金額」ではなく、「クラウドファンディング以外の方法で集まったお金システム上に加算する」というプロジェクト全体の資金調達を示すものとして進めてまいりました。

9/1「マルカン大食堂 運営存続プロジェクト」について

臨時っぽいリンクからのみ辿れる、というのはどういうことかというと、このシステムの根幹に関わりかねないものなのに、「いしわり」から説明があったのは今回が初めてだということなのです。システム上のいろいろを人為的にいじることに関してはクラウドファンディングの主である上町家守舎」からは説明がありましたが、「いしわり」はこの件に関して何も言っていなかったのですね。

ちなみに、この件(正直どの件だかさっぱりわかりませんが)、

プロジェクト終了直前での金額が変動することを事前に十分な周知ができず大変申し訳ございませんでした。終了直前での変更ということもあり、キャンセル処理の受付を9月7日20時まで延長させていただきます。キャンセルを希望される方は下記のフォームに受付をお願いいたします。

<いしわりキャンセルフォーム(9月7日20時まで受付)>

https://goo.gl/forms/IprjnUqgQiadl2I73

「クラウドファンディング以外で集めたお金をシステム上に加算する」ことは上町家守舎からは6月には説明があったにも関わらず、「プロジェクト終了直前での金額が変動すること」は「終了直前での変更」と考えているようです。更に言うとキャンセルフォームはgoogle docsの申し込みフォームです。おそらくキャンセル対応がシステムに組み込まれていないのでしょうね。そしてその対応期間が1週間で足りるのかどうかはわかりませんが、ま、それはさておき本題です。

「いしわり」の達成率が92%であることは前のエントリでも書きました。

脅威の成約率92%

このクラウドファンディング、以前から「〆切1,2日前に一気に金額が増えて目標達成することが多い」と言われていました。

でもまぁ、「いしわり」って言うクラウドファンディングサービスはなぜか不思議な事に終わる前日や前々日くらいに100%いったりするんですよ。

まるかん×いしわり×??? #1

目標金額が現実味を帯びるのは〆切直前ですから、ある意味「いしわり」に限らないクラウドファンディングあるあるのような気もしますが、さてどうなのか過去12件について調べてみました。そうしたら「代理アカウント」による入金が結構あるのですね。

代理アカウントとは

クラウドファンディングに出資するには、有効クレジットカードを持っていることが必要です。「いしわり」の場合VISA/Masterのみ対応のようで*1、JCBなどのクレジットカードしか持っていない方や、未成年学生自営業の方や法人の一部など、クレジットカードを持っていない方は出資ができません。そういった時に銀行振込や直接の受け渡しなどで出資してもらい、代わりにその証を出すのが「代理アカウント」です。

代理アカウントそのものは「いしわり」のみのものではないようで、他のクラウドファンディングサイトでも見かけないでもありません。また「いしわり」の場合、岩手に住んでいる人の中にはITに疎い方もいるのと、身近に関係者がいるので直接営業もかけたりしているのだと思います。

前のエントリでも書きましたが、「いしわり」の場合、協力者数と、各プランへの出資者の総計が一致しないという不思議なことが起こっています。エイプリル・フール企画を除く12件の過去プロジェクトに関して、協力者数と、協力者一覧からみた成約直前の代理アカウント数と、出資者の総計を調べてみました。

案件1「IT寺子屋で、子どもたちと地域未来を広げたい!」

ITは、人を幸せにする。

子どもたちと地域の未来を、IT寺子屋で広げたい!

IT寺子屋で、子どもたちと地域の未来を広げたい!

という「いしわり」最初のプロジェクトです。のべ42名で50万6000円、出資者総計は53名ですが出資総額は一致しています。協力者一覧のなかに、明らかに代理として出資されているFM岩手パーソナリティの人がいますが、代理アカウントはありません。

案件2「馬ッコ in フランス!岩手からヨーロッパへ、"馬ッコ文化"が凱旋します!」

この夏、ヨーロッパ・フランスに、岩手の馬ッコ文化が招待されています。

128年の時を越え、東の果ての日本から、西のフランス"ペルシュロン馬祭り"へ、"チャグチャグ馬コ"と"馬搬(ばはん)"が凱旋します!

馬ッコ in フランス!岩手からヨーロッパへ、%22馬ッコ文化%22が凱旋します!

ということで、そのための費用などを集めたものです。のべ129名が計120万9000円を出資、出資者総計は85名ですが出資総額は一致しています。この時から銀行振込に対応、代理アカウントは成立前日に8件を出資者一覧に載せています。

めんどうなのでここから先はタイトルだけで説明していきます。

案件3「風鈴ロード〜さんさへ続く道〜 presented by 笑顔の街角プロジェクト

のべ39名が20万7000円を出資、出資者総計は22名、代理アカウントは前日に3件、前々日に1件、さらにその前の日に1件載せています。

案件4「That’s Ohfunato 〜この国を自分の街が大好きな人だらけにするプロジェクト〜

のべ49名が60万3000円を出資、出資者総計は43名、代理アカウントは前日に2件を記載しています。

NPO法人wiz8月決済のようで、事業報告書にはここまでの4件が成約として記載されています。

案件5「ばばばTV〜陸前高田の魅力をPRする情報発信拠点をつくりたい!〜

これまでで唯一達成しなかったプロジェクト。のべ37人が38万3000円を出資の表明、総計は35名ですが、代理アカウントは前日に1件を記載しているのみです。

案件6「馬と共に暮らす古民家再生 〜地域と子どもの元気を引き出す〜

のべ112名が125万9000円を出資、出資者総計は92名、代理アカウントは前々日に13件を記載しています。

案件7「野田村大学設立! 願書受付、開始します

のべ82名が109万1000円を出資、出資者総計は54名、代理アカウントは前日に4件、前々日に4件、その前の日に3件を記載しています。

案件8「「岩手わかすフェスin東京」〜岩手の全33市町村に関わる人を爆発的に増やしたい!〜

のべ158名が200万8000円を出資、出資者総計は134名、代理アカウントは前日に19件、前々日に2件を記載しています。

つづく案件はエイプリル・フール企画なのでとばしまして、

案件10みんなの「BULLZO」プロジェクト〜岩手に愛されるマスコットに〜

のべ209名が376万9000円を出資、出資者総計は121名ですが表記されているのは374万9000円と2万円の差異がありまして、さらに代理アカウントは当日に29件を記載しています。

案件11岩手のこれまでを熊本と大分のこれからに繋げるプロジェクト

のべ134名が105万9000円を出資、出資者総計は97名、代理アカウントは当日に5件、前日に4件、前々日に3件、その前の日に3件、2日おいて6日前に5件記載しています。こまめですね。

で、次の案件12が例のマルカンデパートプロジェクトで、

案件13「「子どものまち」を花巻に!市役所から農業まで!丸ごと創り出すプロジェクト!!

のべ83名が60万円を出資、出資者総計が53名、代理アカウントは当日に1名、前日に11名、前々日に7名を記載しています。

これだけ記載してくるとなんとなくわかりますね。特に最近のプロジェクトに顕著なのですが、発案者が受け付けている銀行振込を記載する代理アカウントが、〆切の直前に大量の記載を行っているんです。原因がこれだけとは限りませんが、「いしわり」のプロジェクトが〆切直前に100%達成する一因には見えてきます。

代理アカウントの功罪

全ての人がクレジットカードを自由に使えるとは限らない以上、広くの人から出資を受け取るには、代理アカウントの存在必要悪とは言えるでしょう。

いっぽうで、代理アカウントには危険が伴います。とくに「いしわり」のクラウドファンディングでは「目標金額を達成しない場合は出資を受け取らない」と言っているにも関わらず、銀行振込の場合は事前に出資を受け取ってしまっています。だいたいの発案者は「達成しなかった場合はお返しします」とは言っていますが、それはシステム上担保されているものではありません

さらに言えば、目標金額はどこまで本当に必要なものでしょうか?50万の予算をたてたプロジェクトに35万集まった時、もしくは2億円の予算をたてたプロジェクトに1500万円しか集まらなかった時、そのプロジェクトは本当に実施不可能でしょうか?やりたいと思っている発案者はそれでもなんとか実現にこぎつけたいと思うものではないでしょうか?つまり、代理アカウントが「代理で受け取りました」という自己申告は、やはりシステム上まったく担保されていないものなのです。

そして、NPO法人wizが受け取る手数料はいくらなのでしょうか。クレジットカード決裁手数料とシステム運用費として協力者から支払われた合計金額の20%と「よくあるご質問」には書かれていますが、実際には合計の20%などではないことが今回の話で明らかになりました。それがなくても、あなたが発案者だったら出資者から銀行振込で受け取ったお金、わざわざクレジットカード経由で再入金して20%取られたいですか?と言われれば答えは明らかにNO、です。つまり出資者総計の金額ですら、20%の分子には成り得ない数字なのです。

余談ですが前述の事業報告書では最初4件分にあたる時期の受取手数料として33万3800円が計上されています。べつに「いしわり」だけやってる団体ではないのでこれに関する手数料だけ受け取っているわけでもないかもしれませんが、仮にそうだとして、4件分、252万5000円の20%には成り得ないな、と思うとお金をやりとりする団体の経理って大変だなと思います。

今回のマルカンデパートに関する騒動をうけて、「いしわり」は

今回の「マルカン大食堂 運営存続プロジェクト」における対応によって、多くの方に誤解を与えた経緯があるため、今後いしわり上では同様の対応を一切行わないこととなりました。

と言っていますが、さてこの「同様の対応」とはいったい何に関する対応なのでしょう。BULLZOプロジェクトの合計金額が一致していないのを見てもわかるとおり、表記されている合計金額はサイト上の出資者一覧と違うものが記載可能になっています。この代理アカウントの存在を含め、今後の「いしわり」の頑張りに期待したいところです。

あとね、これはどっちでもいいんだけど「成功した場合だけ手数料をもらう」システムなのにその手数料をもらう関係者出資するの、李下の冠じゃないかと思いますよ。ある意味オープンでほほえましいけどね。

*1:さっきNPO法人wizの団体情報を見たらJCBの「「5」のつく日。JCBで復興支援(寄付金)」をもらっていることがわかりまして、なのにJCB非対応かよと笑いがこみ上げてきましたが、もちろん寄付金にそんな条件がついているわけはありませんので笑いがこみ上げてくるほうがどうかしています。

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2016-08-31

「いしわり」と、閉店したデパートの大食堂と、クラウドファンディングの限界について

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岩手に縁のある人の中には知っている人もいるかもしれません。宮沢賢治ふるさととしても知られる岩手県花巻市市街地中心部に「マルカンデパート」というデパートがありました。ありました、と過去形なのは、先日惜しまれながらも閉店したからもっとも、惜しまれたのはデパートそのものより、そのデパート最上階にある大食堂だったのですが。

マルカンデパートとは。

マルカンデパート。マルカングループの旗艦店とも思える建物ではあるのですが、実際のところ最上階の大食堂以外は売上は微妙だったようです。地下の食品スーパー2011年2月営業を終了、中層階は100円ショップとなっていまして、人気と言いつつお客さんが入っているのは最上階の大食堂くらいだったようです。この辺は閉店の際に色々なところで語られています

ただ、逆に大食堂はそれらをひっくり返すくらいの人気がありました。寿司からトンカツスパゲティラーメン和食洋食中華だいたいの食べ物が揃っている万能感、マルカンラーメンやナポリカツなどどこかで見たような気もするけどどこでも見られないオリジナルメニュー、そしてなぜか「箸で食べる」ことが推奨されてしまった10ソフトクリーム。メニューの多彩さに加えて、歴史のある建物で子供時代連れて来てもらった人が大人になって子供を連れてくるという好循環、デパートの大食堂という全国各地にあったはずなのにいつの間にかなくなってしまった昭和雰囲気別にブームでそうしたわけでもないけど時代がついてきたウェイトレスメイド服ウェブに限らず、書籍観光案内でも紹介されるほどのものになっていたのです。

だからマルカングループが老朽化その他で閉店を決めたときネット上でそれが失われるのが嘆かれたのはデパートそのものではなく、大食堂でありました。本当に誰も下層階のことを気にしていなかった。100円ショップの陶器がたまに面白かったりしたのですがその辺はあまり語られない話だったりするのです。

保存運動と、町おこしと、クラウドファンディング

なくなるのが惜しい、というのは、単なる郷愁だけから来るものではありません。中心市街地の商店街でまともに残っているのがこの建物くらい*1ということもありますし、観光案内で紹介される観光資源がなくなるというのはいろいろつらいものではあります。市街地の空洞化拍車をかけるかもしれない。でも老朽化で耐震工事必要なのにそれほど売上がない、となれば閉店は致し方ないものとも思えます*2

ですので、花巻の町おこし関連に関わりの深い会社が存続の検討を発表しました。「リノベーションによるまちづくり」を推進するという花巻家守舎です。ここが、大食堂の経営を引き継ぎつつ、耐震工事を行い、中層階のテナント化で収益を見込むことで存続できるか検討する、と発表したのです。これが今年の3月のこと。そして、「5億から6億かか」り、「融資以外に2億必要」と試算して、その2億の調達のためにクラウドファンディングの利用を発表しました。その後、実際に利用することになったクラウドファンディングが「いしわり」というサイトです。

「いしわり」の有能感

いしわり」は「若手のネットワークで岩手を盛り上げる」とWebサイトトップに書かれている感じのNPO法人、wiz運営しているクラウドファンディングサイトです。岩手に関するプロジェクトに関してのクラウドファンディングを募集する、と私は聞いたことがありますが、実際サイトの説明では

「岩手をもっとよくしたい」という思いを持つ人は、法人個人団体を問わず誰でもプロジェクトを申請することができます。

いしわり:よくあるご質問

とありますので申請自体は思いさえあれば誰でも出来るようです。とはいえ今まで募集がかかった案件は全て岩手がらみです。

特筆すべきはその成功率*3の高さ。8/31現在で13*4のプロジェクトが掲げられているのですが、成約しなかったプロジェクトはエイプリル・フール企画を除けば1件しかありません。つまり成功率92%。ここに取りあげられるとまあ大体達成率100%以上が約束されていると言っても過言ではないのです。

たぶんそれは「応募したからといって誰でも募集開始できるわけではない」ところから来ているのかもしれません。「よくあるご質問」を見ると、掲載料は無料ですが、掲載に関しては審査があるそうです。また花巻家守舎の方も

様々な面でご協力いただける

【検討結果報告】マルカン百貨店の運営引き継ぎについて

と書いていますので、それなりのサポートもあるのでしょう。実際、そのサポートの一面が現れたこともありました(後述)。

そのサポートがあるクラウドファンディングで、目標2億円を3ヶ月で集めることができるのか。ちなみに、クラウドファンディングのプラン限定なしお礼商品なしの1000円からはじまり、限定10000個の1万円、その上には3万、5万、10万、50万とそれぞれ限定数を少しずつ絞ったプランがあり、上限は100万円(限定50)でした。仮にここにある限定メニューが全て捌けたなら、賛同者は12700人、総計2億7千万出資が集まることになります。

結果(終了5日前)

このクラウドファンディングはローカルニュースやウェブ上でも話題になりました。マルカンデパートの大食堂には思い入れのあるかたが多くいらっしゃったようで、中には100万の出資を申し出る人もいました。そんななか、8月26日までに集まった金額はいくらかというと「15,383,000円」。1億5千万円ではなく、1500万円です。実はこれはこのサイト上だけで集まった金額ではありません。花巻家守舎がマルカンデパート大食堂存続企画を目的として作った法人「上町家守舎」が「いしわり」にお願いした話には

CF以外の方法で集まったお金システム上にカウントする

【マルカン存続PJ】クラウドファンディング開始について

ということもあったようで、その金額を含めた額になっています。クラウドファンディングだけでなくリアルで集めた金額が集まっても目標金額の7%しか集まっていない。そんな状態でした。

そこから1億8千万が積まれるまで

実際のところ、8月17日には

大食堂の営業再開が伸びれば伸びるほど、残りたい意思が揺らぐ

【マルカン存続PJ】8/16時点での進捗報告

という理由で、当初考えた計画の縮小が発表されていました。そこには、

「目標金額の2億円を1億円に引き下げる」ということをしたいのですが、システムの都合上、一度設定した目標金額を変更できない

【マルカン存続PJ】8/16時点での進捗報告

とも書かれていました。で、実際に出来る方法が8月26日に取られた。それが、「1億8千万円を名目上積み増す」ということでした。

2億が1億どころか、2000万になったのですが、まあそれは自助努力なのでしょう。CF以外の方法で集まったお金をカウントできる機能を使って名目上目標金額のかさ上げを行ったのですが、この区別がつきにくいおかげで、

自ら1億8千万円を上積み (魚拓)

岩手日報:マルカン食堂復活へ資金上積み 花巻・上町家守舎

同社が1億8千万円を加算するなど (魚拓)

河北新報:<マルカン百貨店>大食堂17年2月再開

新聞には書かれていてさらプレスリリースを積み増すことになるのですが、よく見ると

いくつか誤解を招くような表現がある

【マルカン存続PJ】2016/8/29 本日の岩手日報朝刊について

と言われるほどには新聞のほうも間違っていはいないことがわかります。サイト上に書かれた金額が架空のものか実際のものか、区別されてませんからね。

そして、クラウドファンディングの達成

30日、このクラウドファンディングは100%を達成しました。現在の出資者の内訳を見ると、100万円が1名、50万円が1名、10万円が12名、5万円が45名、3万円が65名、1万円が309名、1000円が201名の総計498名、29日の時点では出資プランのうち1000円が141名で、1万円が141名、3万円が238名、5万円が57名、10万円が10名、それより上は変わらずの400名でしたから、1日でおよそ100人寄付をして達成したことになります。

面白いのは、この人数の数え方です。現在のサイトを見て数えていただいてもいいのですが、個々のプランに出資した人数の合計と出資者の総計が合いません。現在の内訳では634名、総計は498名と書かれています。100名以上の方が複数のプランに出資したなどの形になるのでしょうか。ただ出資プランは全て上位互換となっているので「8万円出資したいので5万円と3万円に分けて出資した」みたいな方が100名近くもいたのか、なかなかおもしろい数え方をするなあと思います。合計人数、普通は延べ人数で良いと思うんですけどね。

また、この差額の400万円強はクラウドファンディングだけで達成したものではありません。出資者の数と金額を合算すると、クラウドファンディングで集まったのは160万円ほどです。残りは、それまで集まった寄付などの金額などで足したのでしょうか。

リアルタイムではなく、2,3週間に一度の加算となると思います

【マルカン存続PJ】クラウドファンディング開始について

と書かれていたのでたぶんそうなのでしょう。1億8千万円の積み増しの時になぜ足さなかったのかとか言わなくていいと思います。

表向きのオープン感と、そこから出るモヤモヤ

クラウドファンディングというのは、「事前にできるかわからないが希望の持てるプロジェクト」に対して先行投資をお願いするものです。ですから「目標金額を達成できない場合は出資自体をあきらめる」「出資者の数とその金額はオープンにする」「出資の金額に応じてリターンの約束をする」など、微妙なプロジェクトの後押しをするためのいろいろな約束があります。今回プロジェクト提示者さんの要望もあってそのうち幾つかの条件は緩められましたし、プロジェクトの内容変更にしたがってリターンができないものが発生しました*5

ただ、計算してみると大々的に書かれている総計とプランごとの人数の合計が違うとか、出資者のプランごとの出資金額の合計が冒頭に出されている合計額と合わないとかいうのは、本気になって数えないとわからないだけでなく、外からの監査的な部分でも微妙なために「なんとなく騙された感」が出やすいものです。目標金額を変えられない、というシステムが本当に必要なのかどうかとあわせて、考えさせられます。

さらに言えば、こういう形で人為的に積み増しされた金額に対して、クラウドファンディングサイト側はいくらの手数料を受け取るべきなのか。こういうのがオープンでなされているなら、サイトのよくある質問に「出資金額の20%」とあってクリアなはずなのですが、この場合はどうか。表向き2億なら4000万なのか、それとも実際の金額の2000万で計算して400万なのか、それとも実際にクラウドファンディングで集まった金額約1000万の20%で200万なのか。上町家守舎さんは

今回CFでのクレジット決済分は約1,000万円程度となっておりますので、運営者に支払うのはこの金額の○%となっております。(魚拓)

【マルカン存続PJ】8/30の最終結果発表

と、いしわりの「よくあるご質問」にある、

協力者募集期間内に目標金額に達成した場合のみ、協力者から支払われた合計金額の20%をいしわり事務局運営費(システム運営費、クレジットカード手数料含む)として頂戴しています。

いしわり:よくあるご質問

20%という数字を出されていません。そこがその通りのオープンな話であれば隠すことはないと思うし、まあ計算の分子「1000万円程度」はその線だろうなあと思うのですが、同時に面白いなぁとも思います。

いずれ、動き出しながら検討するプロジェクトに対してクラウドファンディングがどの程度役に立つのか、という点では、いろいろ限界もあるな、と思わされた出来事ではありましたが、それはさておき、今後も最終達成率の高い「いしわり」が活躍することを願ってやみません。

*1:というのは若干言い過ぎですが

*2:他にも営業を辞めたかった理由は噂では聞いていますが本当のことかどうかはわかりません

*3:達成率100%以上

*4:うちエイプリル・フール1件

*5:この件については条件変更に伴いキャンセル可能提示が上町家守舎から出されています

2016-08-18

シン・ゴジラについて、今さらの感想。

シン・ゴジラについて、今さらの感想。を含むブックマーク

いや、実際今さらだと思いますよ。一応1回めは公開2週めの金曜日(つまり8月5日)に見てあれパンフレットないなと思いつつ、2回めは3,4日後の火曜日(つまり8月9日)に「映画館にパンフレット置いてあったぜ」という友人からタレコミでパンフレット買いに出かけて、「あれこのまま見ても構わないんじゃないか?」と思って空席確認して後方中央の良席が残ってたんで観覧、という話なので2回め基準で考えたってもう1週間以上経ってますから。

そもそもこの映画ネタバレを気にするといい感想が書けない。というか一番良い感想はもう島本和彦氏がTwitterで書いちゃってる。あれ以上のネタバレなし感想はもうないですよと。見た人による一番の感想はあれです。この感想。これ読んだらもう見たことある人はうんあれあれってなっちゃう。ネタバレあり感想でもこれだけあればだいたいいい感じ。

かいネタがいっぱいあることについてはまあ詳しい人は詳しいよね。Glory-MARU元ネタからジャックサリーどうぶつ病院とかその他もろもろ。こちとら初回視聴で泥かぶってたお姉さんが前田敦子だってことすらわからなかったくらいのボンクラだしなんていうかあれだけ五十音順俳優スタッフロールに並ぶと、ピエール瀧みたいにカタカナが入ってる俳優さんは目立っていいね、くらいの感じで見ておりました。

ゴジラ最初に出てくるあたりまで

それでも意識してネタバレ感想を見ずに、ヘタしたらネタバレしていない感想すら避けて1回めを見た甲斐はありました。もちろん冒頭でなんかトンネル事故が起こるあたりからゴジラ来るってのはあらすじ聞かないでもなんとなく分かる話なんですけど、でもってなんか歩けそうですよいや体重支えられないでしょ、え、上陸しちゃうの?な流れのところに出てくるゴジラ第2形態(とあとで聞かされた怪獣)。あれ全然ゴジラに見えないじゃないですか。前に見たゴジラっつうとハムゴジって言われてるやつで、あれが出てきた時に思い出したのはその映画でゴジラの他に箱根から狛犬が巨大化して出てくるやつ。あれの記憶はあったものだし、「ガメラ3」で「怪獣ってやたら日本を目指して来るよね」みたいな話もあったから、「あ、これ露払いでなんか軽く蒲田近辺を荒らしてその後でゴジラが出てくる展開かな」なんて思ってたんです。したらなんだかんだあって暴れた後に変形するじゃないですか。なんていうか正直変形する前のほうが怖かった感なきにしもあらずなんだけど、それは単にお互い何もしてないからなんですよね。第3形態に対してはヘリコプターが攻撃準備して攻撃しないだけ、第3形態のほうも何かしそうで何もしないで海に帰るだけ。ヘリコプターが虫笛回したのかと思った。

いずれにせよこの辺のシーケンスは本当に東日本大震災のあたりを意識してるんだろうなとは思わせるものでありました。川のプレジャーボートがわしゃわしゃ遡ってくる場面、ゴジラに押されて水が溢れて津波っぽくなって道に溢れている向こう側の逃げていく青年。遠くからスマホカメラその他で傍観している逃げてきた人。でもってその後の視察で見えた通ったあとの瓦礫の山。あの瓦礫の山、予告編でも一瞬映るんですが、友人の被災経験者はその予告編の当該シーンチェックして「あ、これは私には見られない映画だ」と判断して観るのやめたくらいにはリアルでした。実際の瓦礫の山よりは綺麗でしたが、まあ私が見たのは津波が来てから2週間ほどたった瓦礫だしあっちは海のヘドロも混じってますから綺麗汚いはけっこう別の話かと思います。

ゴジラがいったんいなくなって、また出てくるま

そのあと、ゴジラがいなくなって日常に戻ったところのシーン。在来線京急のみ運休ですけど、あれ新幹線もあのへんは運休してますよねたぶん。新横浜で折り返し運転する電車なんてほかにないから。

京急以外は通常運転しています、って、放送の音声が被りますけど、ああいう音声、この辺でも聞き慣れています。東日本大震災で被災した路線が一部まだ復旧していないんで、この辺でも「東日本大震災などで被災した一部の路線以外は通常運転です」って朝のテレビ交通情報で流れるんです。たぶん地震台風などで復旧の遅れている路線のある地域でもそうだと思います。これもなんだかあるあるでしたね。でもそういう風に言うようになったのって、震災からかなり経ってからなんですよね。被災直後は止まっているところを言う方が大切ですからああいう言い方はしないんです。だからああいう言い方をしているということはそれなりに時間が経ったのかな、と思ったのですが、その辺どのくらい時間が経ったのか明確な言及がわからないんですよね。2回めはそこを気にして見ていたのですがやっぱりわかりませんでした。巨災対できてからあまり家に帰ってない、という描写があるので、1日2日ではないとは思うのですが、そこ考察している感想、見られていないです。放射線サーベイも「ゴジラの経路と一致している」と言うためにはそれなりの数の検査が必要ですし、1週間から1ヶ月くらい経っていてもおかしくないと思うんですよね。(ただその場合半減期の問題が発生するけど)

そう、家に帰らないのもあるあるでした。うちの職場は役所ほどアレではないのですが、震災時は数日間帰れない人が続出しました。なんだかんだ言って職場そのものはほとんど被災していないので、被害にあったところ以外は一見普通の状態になるのもわかります。

で、潜水艦でも潜りきれない相模トラフで休憩していたゴジラが進化して戻ってくるわけですが。今度は万全の形で自衛隊をフルで準備して、タバ作戦。陸空の装備をフル活用してゴジラに総攻撃。でも効かなくて橋ひっくり返されて戦車数台がオジャンになって。1回め見た時には「おお、自衛隊も装備を失う表現に寛大になったんだな」と思ったのですが、家に帰ってから調べてみたら、「ガメラ」の時に墜落に難色を示したのって航空自衛隊だけなんですね。それを踏まえて2回め見たら、やっぱり航空自衛隊の飛行機は落ちてなかった。他の飛行機は落としても航空自衛隊の飛行機は墜落しません。あるあるだな(!?)。万全の形といえば、最初「俺が命令しないといけないの」と逡巡していた総理が武器無制限使用のご決断にいたってはほとんど躊躇しなくなっていたあたり、慣れは必要だし恐ろしいもんだなと思ったりもします。

多摩川渡ったゴジラが都内に入る辺りで暗くなるんですが、停電の中火災っぽい赤い火が浮かび上がってくるのも震災の時に見たような気がしました。直接ではなくヘリからの中継映像だったんですが。実際のものは相当明るかったようで、気仙沼の外れに当時住んでた知り合いは「停電で真っ暗だとおもいきや、市街地火事だったのでその火の明かりが居間まで入りこんできてそれで夕ご飯が食べられた」と笑いを交えて話してましたが、「津波から垂直に陸の方へ自動車を走らせて逃げた」なんてことも言ってた人なのでどこまで本気で言ってるのかはわかりません。

で、グアムからやけに範囲の広い事前通告付きでやってきたB-2がバンカーバスターで攻撃。通常の兵器が効かないのはゴジラあるあるなんですがバンカーバスターはなんとなく効いた感じがするんですよね。内閣の人たちが「さすが米軍」と思ってしまうのもわかります。そこからですよね。第2の驚き。ゴジラといえば放射能火炎ですが、あれ仮に放射能じゃなくてもひどいよ。前段階の炎からしてゲロっぽい流れ方するんだもの。でもって背中から全方位にビーム攻撃。いくらビームが全方位でもかなり高高度のところを飛んでいる爆撃機に当てるのは難しいと思うんですが、出しっぱなしで広範囲をグルグル回せばどこかで当たるのかしら。2番機、3番機は仇も取れずに残念でした、つうかあれで中央、港、千代田の3区が壊滅するわけですが、NHK以外の民放TVは本社港区に集中していますので、あのあとL字画面のバリエーションは極端に減少します(テレビ放送、全て亡くなったかと思ったら、新内閣の紹介画面だけはありました)。本当はNHKのある渋谷区も無事ではないのではないかと思うんですが、愛宕山とかあのへんの裏側になったから助かったのかな。

例の放射能火炎、現内閣の人たちもひとなぎでヘリごと潰すんですが、そこで全員乗るんだ、というのが気になったところ。あそこまで放射能火炎の情報なくて、どっちかというと広範囲爆撃から逃げるためのヘリだったから、1機にまとまって乗ってもしょうがないっちゃしょうがないんですが、もう少し早めに出ないとあれでゴジラが倒されてもやばかったような気もします。あと、あれだけ市街地が燃えたら地下だって危ないよね。

ゴジラが止まって、動き出す直前まで

都内が燃えてからL字のバリエーションが減った、と書きましたが、そこから一夜明けていろんな被害を放送がしている部分、なんとなくラジオっぽく聞こえてきます。音声の品質上FMっぽいんだけど、たぶん東京タワー近辺は災害にあっているので、あれが関東の受信だとしたらスカイツリーからの放送なのかなと。複数聞こえてきますが、あの中にTOKYO FMの声はないんだろうなと(TOKYO FMとInter FMは東京タワーから放送している)。

実際、東京に大災害が起こった時のために、どこの民放系列大阪キー局として放送するための体制は考えています。とはいうものの想定されている災害は首都圏直下型地震くらいで、さすがにゴジラの来襲までは想定してないんじゃないかなと。新内閣の紹介ももしかしたらNHKとは言えBS放送かもしれないなと思いましたが立川なら八王子中継局電波を受けてるかもしれないな。

巨災対のほうも立川にたどり着いてはいるんですけど、半減したらしいんですよね。確かに2回め見たら、人数前より少ないなと思うんですけど、一番ゴジラに近いところ地上部分に主役の人がいたんで、他の人たち死ぬような場所にはいないと思うんですけどね。途中で自分の所属する官庁にでも寄り道したんですかね。1回めの時は「空飛んで行く人はみんな死んで、地上の人はみな生き残った」だと思ったんですがよくわからない部分ではあります。でもって廃棄マークついちゃってるPCは使う人のいないPCらしいんですが、リースじゃないんだ、再インストールして使いまわしたりしないんだ、とそれ聞いてびっくりしました。そんなもんなんだね。

2回め見てから色々ネタバレ感想読んだんですが、検索して見つかった中には2ちゃんねる特撮板のシン・ゴジラスレッドなんかもあったんですね。それ見たら、2016年の3月から4月にかけてネタバレ書いてる人がいるんですね。これがかなりの精度であらすじそのままで。ほぼ内部リークですね。何の話を書いているかというと、これが内部リークだった場合に、本編から消えている内容があるんです。

高レベル防護服に身をまとった陸自環境庁のレンジャーによる生体細胞の回収。サンプルは筑波のBSL4対応施設に。残りは官民を問わずP3レベルに対応可能な研究所に送られる。

送られてきた厳重に密閉されたサンプル金属容器を開けて驚愕する研究員たち。サンプルがすべて外胚葉由来の眼球や歯に変化していた。一方で都内被害地でサンプル収集中のレンジャー達は、融解した建造物の壁面一面に体組織細胞が一斉に変化した小さなゴジラの頭部がびっしりと生えているのを目撃する。

前半部は本編に残っています。つくばに送るだけでなく、扱えるところは全部使う感じの場面。後半の細胞変化は画面としては残っていません。壁にゴジラの体細胞の一部と思われるものが映るシーンや、「群体に変化する可能性」という話はありますので、このあらすじがリークされた後にシーンが変化したのか、そもそもこれを書いた人がフェイクを混ぜたのか。どちらにせよ、このシーンがあるとホラー感は増すものの頑張ってる感は散漫になるような気もするのでなくなって正解の場面だったと思われます。

それにしても休眠状態でも1Svを撒き散らしているゴジラに対応できる高レベル防護服ってあるんだろうか。1Svって生身の人間なら即死レベルの放射能ですよね。この辺、本当に311後でみんなが放射能情報に晒されたからこその説明の省略だなと思いました。

寝ているゴジラが起きるまで15日間なので、2週間で東京の360万人を避難させる、ってありましたが、東京23区で通常時900万人いますから、ゴジラが来た時に既に避難をはじめていたのか、3区壊滅で500万人以上死んだのか、それとも避難区域が限られているのか。その辺の組み合わせだとは思いますが、福島県人口が200万人です(さらにそのうち、県外避難者は6〜7万人しかいない)から、東京が実際災害にあったときに日本がどこまで耐えられるのかはシン・ゴジラを見てもわからないですね、本当に。

いずれ行方不明になった教授が残したデータというのは解読不能のままで「なぜ紙で残したんだ」「なんか折り線みたいな気がする」っていう言葉から設計図折り紙で折って解読するんですけど、その折り紙が別に書かれている折り線で追ってないんですよね。あれどういう折り方で解読したんでしょうか。船に残ってたのは折り鶴だけど、設計図折って作ったのは魚の基本形だったし。まあいいや。この辺から謎解きがスピードアップして、それを追いかけていくだけでいっぱいいっぱいになりますから。実際世界中スーパーコンピュータ連携されて得られたものが「活動抑制である極限環境微生物」なのか「ゴジラに寄生している極限環境微生物の活動抑制剤」なのか、ネット上でも表記が分かれていて。(Wikipediaは前者としてあらすじをかいているが、私は後者として受け取った。)さらにヤシオリ作戦の準備をするにあたりあちこちから協力志願だの練習中だの修理完了だの話が出てくるのですがこれらの話ここまで一回も出てこないものに対する言い訳(この後にどういうものが出てくるのかの計画を話している)なので、何を話しているのか1回めはさっぱりわかりませんでした。2回めは、ああ、あれの準備かとわかったのですけれどね。

寝起きドッキリでゴジラが凍るまで

そう。アレの準備というのが、無人攻撃機無駄弾打たせて、新幹線(無人)で大爆破して、東京駅の周りの高層ビル爆弾を仕掛けて倒して転ばして、ってところ。テンポよく見せるためにけっこうなスピードポンプ車動かしてますが、あんなに高いところに放出口持っていくのはあそこまでのスピードで出来るのかな、とは思いますよね。1回反撃されて部隊が全滅したら、今度は無人在来線爆弾を絡ませてトマホークで別のビル壊して倒してまた転ばして、別の部隊がまた、ってなところ。人によってはあのへんの動きが「うそ臭い」とか「チャチ」と感じた人もいると思います。1回めはびっくりしたシーンなのですが、2回めはちょっとアラが見えたシーンでもありました。うちら911の時にビルが倒れるとどれだけの土煙が立つか見てますからね。あんなにクリアに見えるかな、ってこと考えても、本当はもっと時間がかかっているんだろうな、と思わないでもなかった。

ゴジラを攻撃するのが、空からだとみんな東京湾方向からなんですよね。基本あっち方面を攻撃するのであっち方面の放射線データが大変なことになるんですが、きちんと数字読み取った人によると20Svを越えてたとか。いくら半減期が20日でも当分の間コミケは開けないんだろうな、という気持ちになりました。あと未知の放射性元素だと、α崩壊でもβ崩壊でもどこぞの崩壊系列に含まれていくような気がして、さて本当に2〜3年で大丈夫なのかはさらに気になったのですがそれは誰かが考察してくれるのでしょう。

あとね、野村萬斎がふりをつけた、っていうけれど、しっぽ以外のところが動いているのあんまりわからなかったんで、2回見てもこれの中の人が野村萬斎だとはちょっとわからなかったなあ。

まとめ

途中にいろいろ疑問が入ったところもあるのですが、まあどれもこれも些細なことなので見てて楽しければいい、というか、ここ数年日本の映画館では映画見てなくて、見てたのは設定を聞いただけでラストまでの大体のあらすじがわかってしまうようなタイ映画ばかりでしたので、数ヶ所含まれる驚きは大変新鮮ではありました。地元被災者にも見られない人がいることも書きましたが、それだけリアルな証拠、ということで、時が経ってから見られるようになればいいな、と思います。本人はDVDかBD入手して、当該シーンは飛ばすつもりで見る予定らしいですし。