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2016-05-19

タイを舞台にしたマンガとタイ文字について考えてみる

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最近*1、マンガにタイ文字が書かれていることをよく見かけた。これをきっかけに日本書籍特にコミックにおけるタイ文字の扱いについて考えてみようと思う。

そもそものきっかけ「白竜 -LEGEND-」と「僕が私になるために」

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雑誌は違うが、どちらも3月発売号でタイ文字がコマの中に現れた。まずは「白竜-LEGEND-」漫画ゴラクの人気連載の1つらしいが、自分としては社会派問題を小道具にしたヤクザマンガとしか認識していなかった。現在シリーズ主人公格の一人の"前日譚"を描いたらしいもので、舞台がタイ。

東北地方(イサーン)の出身だったリュウが、人身売買で売られていった幼なじみを追いかけてバンコクにやってきたが、行方を追っているうちに覚醒剤所持で逮捕されてしまう。その関連で関わりのあった、タイに進出してきたヤクザにタイ人女性が「リュウは無実だ」と訴えるシーンが貼り付けたコマ。

「หลิวไม่ควรได้รับอนุญาตให้ออกจากมือไปอย่างแน่นอนสิ่งที่กระตุ้น」(リュウは絶対に覚醒剤(ヤーバー)なんかに手を出さないよ)

「เพราะหลิวเป็นสิ่งที่ส่วนใหญ่เกลียดยาบ้า」(だってリュウは一番ヤーバーを憎んでいるんだもの)

とある

浅学のためこれがどこまで文法的に正しいのかの主張はしないが、「リュウ」という文字が「หลิว」ときちんと表記されていること、「ยาบ้า」という文字が2行めに含まれていてこれは「覚醒剤」を意味する「ヤーバー」であることはわかるけれども1行めには実はその文字が含まれていないところまでは指摘できる(つまり1行めは意訳なのである)。さら単語綴りもおそらく間違っていない。特に慣れていない人だと、文字の上下についているちょっとした記号を省いてしまうものだけど、これ語調などのために必須のものなので、そこまできちんと書かれているのはしっかりしているな、というところ。これ原作モノじゃなかったよね?

連載では収監されたリュウのために今後関わってくる日本人弁護士を探したり、警察官偽証のために賄賂をもらったり、その偽証を翻す裏ワザが駆使されるのではないかといろんな人が暗躍しながら、そろそろ裁判も佳境に入ったところ。今回紹介したところだけでなく要所要所でタイ文字が「タイ語だよ」を示す単なる横組のセリフに混じって出てくるのでまだまだ注目である。

もう一つは「僕が私になるために」

モーニングで先ごろ集中連載が終わった性転換もの(というと誤解を招くかもしれない)のドキュメンタリーマンガ。作者であるところの主人公が性適合手術のためにタイに行ったときの体験をその前後を含めてマンガにしたもので、感想としては【漫画】モーニングで連載されている「僕が私になるために」という漫画がすごい!!!-ねここねの思考手記 サブカルミラクルの章が参考になると思う。

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そのマンガでもいきなりタイ文字が出てきた。「น่ารักจัง」(ナーラックチャン)。これはわかる。通訳が言っているとおり「ホントにかわいい」。まあここ、元々の実体験では「น่ารักจริงๆ」(とってもかわいい)と言っていたのではないかなあとなんとなく思う*2が、そうなると「ナーラックチンチン」になってしまうので、このマンガ的にも別の意味合いが出てしまうな、と。

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この後も、お医者さんの質問ナースの質問、会話を中心にタイ語が出てくる。そしてそのいくつかはマンガの中で翻訳すらされない。おそらく本人はタイ語をほとんどしゃべれないし聞き取れないと思う*3。その不安感を示すために横組セリフではなくタイ文字で表現したのだろう、ひと昔まえならそこは何か適当な文字とかでごまかしたところを。

これ、しっかりしたタイ語であればマンガとしての真面目さも表明できるわけで、いい効果を生んでいると思う。

ひと昔まえのタイ文字の扱い

ひと昔と言ったが、実際タイ語というかタイ文字というものは認識はされるものの意味は通らない文字の代表格ではないだろうか。

フランス語は何を言っているのかはわからなくてもその人がフランス語を喋っているということはわかる言葉」とは行きつけの飲み屋マスターの言だが、これの書き文字版がタイ文字と言ってもいい。なんとなくの感じで使われてきた。

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貼り付けたのは「ナナナバニ・ガーデン-須藤真澄短編集」より、表題作である「ナナナバニ・ガーデン」の扉絵バナナワニ園のもじりにも聞こえる「ナナナバニ・ガーデン」という動植物園看板にはタイ文字「สินคัา อัลบัม ทานดีม」が書かれている、が、これ全く「ナナナバニ」とも「ガーデン」とも書かれていない。最初の文字は「商品」次が「アルバム」(英語のAlbumをタイ文字表記したもの)、最後は「よく食べる」*4。後書きでは須藤真澄本人が

タイ語表記がちらほらと出てきますがこれらは全てナンプラーとかスイートチリソースと書いてあります。せいいっぱいです。あ、あとこんにちはとかもある

と書いているのだけど、この看板ではどの言葉も書いていないというとんでもないことになっていた。まあおそらくナンプラーとかスイートチリソースの瓶に書いてあるキャッチコピーとかをコピーしたのだと思う。

まあ、ちなみに、本当に「ナナナバニガーデン」と書きたいなら、「สวน นานานะ บะนิ」*5とか書けばいいのかもしれない。さらに言うと、ここ「1週間に1便しか船便がない離島にある動植物園」という設定なので、もしここが当時のタイなら、NANANABANI GARDENという文字なんか書かれていない気もするが、全般的ファンタジーなのでそういう細かいことまで気にするとどうしようもなくなる。いずれたぶんタイ人にはこれ日本人にとっての「観光地で見る変な日本語」的に面白いシーンじゃないかなと思ったりして。

ナナナバニ・ガーデン 須藤真澄短編集 (KCデラックス アフタヌーン)

ナナナバニ・ガーデン 須藤真澄短編集 (KCデラックス アフタヌーン)


さてまあ読み切りのファンタジー以外、タイのことをきちんと書いた本ではタイ文字をどう扱っているかというと、ちょうど最近読んだ本にそんな例があった。

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「タイ・演歌王国」という、タイの東北部(と、そこから出稼ぎ上京した人たち)で人気のあるとあるジャンルの歌について書かれた本。表紙にはタイ文字っぽい文字がいくつも書かれているが、これは「アルファベットをなんとなくタイ文字っぽくレタリングしたもの」であって、1つもタイ文字ではないのだ。「GOKURAKU」とか「「UTAE UTAE」とか、「THAI ENKA NO OHKOKU」とか。

少し前に「日本人には読めないアルファベットフォント」*6があったけれど、こちらはたぶん「タイ人には読めないアルファベット」なんじゃないかな、という気もしてくる。

タイ・演歌の王国

タイ・演歌の王国


「ナナナバニ・ガーデン」は2007年アフタヌーンが初出、単行本化は2010年。「タイ・演歌の王国」は1999年初版たかだか10年前のタイ文字の扱いはこうだったという例としてあげてみた。

もちろん、この時代なら全ての作品が適当、というわけでもない。

スパイシー・カフェガール」という作品がある。2005年単行本発売の、謎のタイ料理店を舞台にしたマンガ。マンガ図書館Zに収録かつそこからはスクリーンショットが撮れないので直接アクセスして見て欲しいのだけど、冒頭にある看板、店名の「ドゥアン」こと「เดือน」はタイ語で「口」の意味がある単語で、どの程度タイ料理店らしい店名かはともかく店名としては成り立っている。同じ看板の下にある、「開店」札に大半が隠れた少しかすれたタイ文字は、他のコマでの表記と合わせ考えて、おそらく「อาหารไทย」(タイ料理)という単語だ。

タイ料理店マスターの着ているTシャツの柄とか、暴漢が荒らしまわってひっくり返った机の裏にもタイ文字が書かれている。ネタバレになりかねない意味の言葉が含まれているのでここで訳を提示することは避けるが、おそらく作者はタイ語がそれなりにわかると思う。実際、この作品のリメイクかもしれない同作者の「スパイスビーム」には、食べ物のところにきちんとその食べ物の名前がタイ文字で書かれている。

スパイシー・カフェガール

スパイシー・カフェガール

スパイスビーム (ニチブンコミックス)

スパイスビーム (ニチブンコミックス)

タイ絡みのマンガというのはどのくらいあるのだろうか

そのほか、作者であるところの深谷陽氏はベトナムとかバリを舞台にしたマンガを数多く書いている。

実はこのエントリーを書くにあたって「マンガで実際の外国を舞台に書かれているのってどのくらいあったかな」という疑問を覚えた。マリネラとか架空の国ばかり思い出される中、「そういえばカタカナ名前の日本人旅行者バリ島かどこかの現地人人妻とくっついたりするマンガがあったな」とうろおぼえながら思い出したのが、この深谷陽氏の「アキオ紀行」だったりした。(思い出したのは2014年公開の、同シリーズ読み切り)。

結局定量的比較はできなかったが、自分がタイに興味があるからなのか、タイについて描かれたマンガというのは意外と多いような気がしている。アジアだとベトナムもけっこう多い(ベトナムは戦争の絡みもあるからかもしれない)が、それにも負けないような気がするのだ。ただまあ、日本人が世界をまたにかけて活躍するときの地域の1つとして書かれているものが多い*7なか、最初から最後までタイ人主人公、タイ国完結で通したのが、村上もとかの「水に犬」。1995年単行本発売。Amazonレビューでは「現地経験がないと描けない作品」とベタ褒めだが、1995年基準の緻密な取材、みたいな面はなくもない。ついでに言うと主人公とそれを取り巻く男女関係を見ていると「課長島耕作の不倫セックスと作中での昭和の大企業の間接部門の描写」で言われていた話が別にシマコーに限ったことじゃないなということがよくわかる*8。モーニングって女性読者もいるけど基本青年誌だからそのニーズなんだよな、あれ。

水に犬 (モーニングKC)

水に犬 (モーニングKC)

モーニングつながりだと「大使閣下の料理人」10巻と11巻にタイ編が収録されている。2001年。タイ文字はほとんど出てこないが、タイの屋台、タイ料理は数多く出てくる。特に前半10巻では「日本料理に見せかけたタイ料理」という難題に挑んだりもする。本来の勤務地ベトナムからタイ大使館に一時赴任しても主人公モテまくりなのは"なろう"のチーレム小説を笑えない。

大使閣下の料理人 (10) (モーニングKC (757))

大使閣下の料理人 (10) (モーニングKC (757))

モーニングで料理マンガといえば、「クッキングパパ」は外せないのだが、舞台である福岡イタリアからプレイボーイが来たりメキシコからプロレスラーが来たりする割にタイ料理を取り上げたのは遅く、単行本122巻(2013年発売)だったりする。バンコクではインペリアルクイーンズパークホテルが登場したりしたが紹介された料理は意外と定番だった。

クッキングパパ(122) (モーニング KC)

クッキングパパ(122) (モーニング KC)

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モーニングばかり出してきたけど、同じ講談社のアフタヌーンでは昨年の11月発売号から「マージナル・オペレーション」のタイ編が始まっている。小説の原作つきではあるんだけど、コミカライズでそこそこ現地取材はしているのかな、という雰囲気はあった。ただ、タイ・バンコクに到着した時に、スワンナプーム国際空港の出発用待合室(タイからの出国手続きが終わった人しか入れない場所)の中を歩いてしまい、そのうえその場所で「無事入国」とモノローグするという失態を冒頭、本当に冒頭からやらかしている。スワンナプーム国際空港っていう、タイに行った人なら100%分かる場所でこれはいただけない。これ、単行本ではどうするのか、ちょっと気がかり。

なお、私はスラム街とか歩いたことがないので、実際のバンコクのスラムがあんな場所なのかどうかはちょっとわからない。現地取材がどうかと言っても、あくまでBTSとかそういう近辺のところしか見ていない。あと看板以外ではタイ語ほとんど出てこない。

講談社以外だと、映画のコミカライズ「チョコレート・ファイター」2010年単行本化。もとは日本のヤクザとタイマフィアの抗争をベースにしたアクション格闘映画だけど、日本で出版するマンガ版を出すにあたり、阿部寛以外イマイチ出番がなかったヤクザメンバーをストーリーに絡めてみたり、けっこう秀逸なコミカライズだったりする。とは言うものの、内容的にはタイあんまり関係ない。

チョコレート・ファイター (マンサンコミックス)

チョコレート・ファイター (マンサンコミックス)

自分の中でタイっぽい場所が一番最初に出てきたのは坂田靖子の「タマリンド水」。調べたら1984年初出だった。もっとも舞台となったのは東南アジアのどこか、今は内戦で立ち入りも出来ない場所、とのことなのでタイよりはラオスあたりのほうが近いのかもしれない。

なお、今回取り上げたなかで現地生活エッセイマンガなものは基本的対象外とした。それはそれで面白いものもあるので、そのうちまとめるかもしれないし、まとめないかもしれない。特にアジア紀行ものはバンコクをハブにして動くことが多いので、本の一部だけに含まれている、ってのがやたらあるんだ。

*1:といってももう2ヶ月になろうとしているのだけど

*2:どっちかというとそっちの言葉のほうが頻度が高い気がするので

*3:そのために、現地コーディネーターというか通訳が医者とのコミュニケーションのために同行している

*4:に、1文字意味のないタイ文字が混じっている。切り損ねたのだろう

*5:最初は「庭」あとは「ナナナ」と「バニ」の適当なつづり

*6カタカナ的な文字を無理矢理アルファベットのデザインにしたもの

*7:「優午」のインドシナ編は冒頭に優午がバンコクにて死体発見されるところから始まるが、バンコクについてはあまり描かれないし、似た作者の「スパイの家」でも量子暗号を巡ってタイと日本を股にかけるがこちらもそんなにタイについては描かれない

*8:主人公は汚職には厳しいが、不倫には全然厳しくないんだ、これが

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2016-04-05

本気で「はてラボセンター試験認証」を入れる気なら考えないといけないやばいこと。

本気で「はてラボセンター試験認証」を入れる気なら考えないといけないやばいこと。を含むブックマーク

4月1日エイプリルフール企画として「はてラボセンター試験認証」なるものが取り入れられていた。

センター試験認証とかいうが、早い話がクイズだ。クイズがランダムに5問でて、その回答が正しいかどうか(3問以上正解できるか)で相手人間かどうかを見極めるものらしい。

しかも、はてなスタッフは結果にノリノリらしい。

エイプリルフール終了に伴いいったん本機能を取り下げますが、スパム対策として十分な効果が見られたため、この機能を応用した形での導入について今後検討いたします。

はてな匿名ダイアリーに「はてラボセンター試験認証」を導入しました

本気であれを入れるつもりなのかと思うと頭を抱えるので、今ここでその頭を抱える理由を書いておこうと思う。

まずは……

クイズの答は1つとは限らない。

これ、

表記ゆれフォローがないクイズは正解入力してても×になってつらい。

machida77のコメント

でも指摘されていたけど、いちおう「水」を「みず」「ミズ」でも正解にするくらいの多答許容性は織り込まれていたみたいだ。そのわりに半角全角の英数字を許容していたりしていなかったりと対応が甘いところはあるんだが、その辺は正答を比較する際に正規化でもすればいいことであって作りこめばどうとでもなる。

とはいうものの

鶴を助けたお爺さんが、鶴に恩返されるお話タイトルは?

は「鶴の恩返し」だけが正解で「夕鶴」は正解にはならなかったので、問題作成者の意図した答だけなのは確かにそうだ。

あと、

株式会社コーエーテクモゲームスが発売している日本戦国時代テーマにしたゲーム名前は「信長の○○」?

通常○○、と書いた場合文字数を暗示している場合が多いのだが、後述で出す問題の中には文字数と答が一致していないものもあったので当然答は「野望」だけでなく「野望・全国版」「野望・武将風雲録」「野望ONLINE」等々コーエーが出してきたシリーズタイトル全てを網羅しているんだろうなと無理筋を言ってみたりもしたい。


しかしなによりもまずいのは

自由の女神」は元々何のために作られた?*1

みたいな問題だ。

これ、仮にニューヨーク自由の女神像として、おそらく期待される答は「灯台」だろう。実際に灯台として使われたこともあるし、これは実際にアメリカ横断ウルトラクイズ○×クイズ第1問でも使われたエピソードから

ところが、この問題は○×クイズにしか使えないエピソードでもある。

Wikipediaの「自由の女神」でも調べればわかるが、自由の女神は元々フランスで作られて贈られたものだ。それを考えると「元々何のために」という質問の答は

「米仏友好のためのモニュメントとして」というのが本当の正解になる。まあ普通こういうのはクイズの答にしない。早押しクイズの前フリとして読みに織り込むくらいだ。

ちなみに、「とある雑学が、ある形式のクイズでしか使えない」という問題は一般的にはよくあることだ。

野球が好きで、自分の雅号を『野球』としたこともある俳人は誰?」という問題の答は「正岡子規なのだけど、この問題、ペーパーテストでしか使えない。

正岡子規がつけた「野球」という雅号は、本人の本名をもじったものでもあるため「のぼーる」と読むからで、この問題の面白さは、声に出すと失われるのだ。


あと、過去に聞いたことを半可通で問題にするのもよくない。

畳の原材料は?

は、おそらく「イグサ」を答としたい問題なのだろうが、イグサは畳表の材料にすぎない。畳の材料であれば稲わら、最近なら発泡スチロールが主原料となる。さらに言えば畳表の主原料としてもイグサだけに限定できるわけでもない。もしイグサを答にしたい問題を作るなら「畳表やゴザの材料として一般的で、和蝋燭の芯にも使われる植物は何?」くらいの言及はほしい。

限定が弱い

前出のように、半可通で問題を作るのはよくない、ということはほかにもある。答が1つになるように限定できないからだ。

聖書によると、神は何日間で世界を作ったと記載されている?

も正解が微妙だ。

よく言われているのは「神は7日間で世界を作った」だから答は7っぽいし、実際に許される正答は7だけだった。

ところが、実際に旧約聖書を見てみると、「7日目 神は休んだ。」と書かれている。そうすると、世界は最初の6日間で出来上がっていることになる。

それだけではない。問題には「聖書によると」と書かれている。聖書といって旧約聖書が何の限定もなく出せる人はユダヤ教徒だけだ。(キリスト教徒も含めていいが)

だからこの問題の答は本当は「どの聖書かによって答は違う」になる。せめて「旧約聖書に」と書かないと6か7かも絞れない。

試される大地といえば?

をはじめ、やたらと「北海道」が答になる問題も多かったが、これも微妙だ。

これは「北海道庁キャッチフレーズ」でも答として成り立つ。問題の言葉が短すぎる。「試される大地といえば、どこの都道府県を示すキャッチフレーズ?」くらいの限定がほしい。

誤字が多すぎる

これはもしかするとあえてそうしたのかもしれない。とはいえ、その結果答が変わってしまってはどうにもならない。

最も正解率が低かった質問: 「○○○」「ウィーアーX!」○○○の入るのは?

はてな匿名ダイアリーに「はてラボセンター試験認証」を導入しました

もともと難しい内容の問題でもあったようだけど、「○○○の入るのは?」という致命的な誤字のおかげでこのクイズの答は「」(かぎかっこ)になってしまう。当然期待される答ではない。

○○○の入るのは?ではなく○○○の中に入るのは?か○○○に入るのは?にしなければならない。

正確な文字を覚えていないのでうろ覚え引用はしないが、答がたこ焼きになる問題も日本語になっていなかった。誤字は致命的だと思う。

たぶんこの認証では、本気のAIは簡単に解いてしまう。

これ、人力検索はてな画像認証でも言われているのだけど、チューリングテストって本当に難しい。

はてなの画像認証はランダムな4桁の数字を模様まみれの画像で読ませるものだが、この数字、単体でリロードしても内容が変わらない上に邪魔する画像はランダムに変わってしまう。複数回リロードしてANDを取ればOCRできる数字が取り出せてしまうのだ。まあ、人力検索スパムよけくらいで考えていれば全く役にたたないわけでもないんだろうけれど。

今回のセンター試験認証でも、答が「琥珀糖」になる問題が出ていた。

これ、

寒天を使い表面を乾燥させた干菓子一般に何という?

という問題文からキーワードを抜き出してgoogleに打ち込むと「琥珀糖」が出てきてしまう。

クイズは一般常識を問うものだから、おおまかな答は検索エンジンに格納されている。もしはてなが『人工知能』と人間を見分けるためにこれを実装するとしたら、それは単にgoogleとの戦いになるだろうし、その勝敗はおそらくgoogleの勝ちだ。

もしかしてはてなはgoogleに比肩したいと考えているのかもしれないが、この方向で戦うのはちょっと厳しいんじゃないかな。

*1:問題をコピペ出来なかったので、これはうろ覚えでの引用。これ以外のクイズについては、http://bias-nt.hatenablog.jp/entry/2016/04/01/144500にあったのでそちらをコピペした

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2016-03-16

タイカレーには本当に地域差がないのか

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タイ料理代表トムヤムクンだというのが日本人常識だとして、タイ主食がタイカレーというのもたぶんそれが本当のことなのかは別にして大方の日本人には常識なのだろう。わからないのは、どんな食べ物がタイカレーなのか、ということだ。

そう、北インド南インドでは、カレーに使うスパイスや具材などが大きく異なるのです。これはインドカレーだけの特徴で、タイやスリランカなどの他国のカレーが、地域によって違うという話は聞きません。

北インドカレーと南インドカレーが全く違う理由を調べてみたらインドに行きたくなった

引用先の人はインドコスプレをしてカレーを作るイベントブログにしたい人らしいので、たぶんタイやスリランカのことは興味の範囲外なのだろう。興味の範囲外なら地域によってカレーが異なる話も聞いたことがないのもしょうがない*1

難しい、カレーの定義

カレーについて書くのは難しい。それは、「カレーの定義」なるもの微妙だからだ。「世界のカレー」みたいな本には、冒頭の方に必ずそう書いてある。

とは言うものの、カレーとは何なのだろう?「カレー」という言葉の定義は曖昧で、何かと議論の種になる。

「カレーの歴史」コリン・テイラーセン著、竹田円訳 原書房

実際、それはそのとおりだ。みんな「なんとなくカレーと言ったらこんな感じ」とは言えても、正確には「こういう特徴を持つものがカレー」とは言えないのだ。

例えばどうだろう「基本的に辛くて、それなりにとろみがついていて、主にご飯にかけて食べるものがカレー」という定義を仮に作ってみたとする。そこそこなんでも当てはまるように「それなり」とか「主に」とか逃げのワードを入れたおかげで、それなりに使えそうな定義ではある。

ところが、この定義なら麻婆豆腐丼はカレーの仲間になってしまう。おそらくだいたいの日本人にとって麻婆豆腐丼はカレーの仲間とは言えないだろう。

では少し前に出した「世界のカレー」みたいな本には、ではカレーはどのように定義されているか。「『複数のスパイスで味付けされた汁物』か『カレー粉で味付けされた料理』の総称」あたりが複数の本で挙げられている定義だ。本当にざっくりした定義だが、この定義にはさらツッコミ必要になる。

さらに面倒くさい、スパイスの定義

必要なツッコミというのは、「スパイス」についてのことだ。

スパイスとは何かというと、香味のある植物(ハーブ)を乾燥させたもの、らしい。かなり大雑把な定義なのだが、仮にこれが前出のカレー定義内での「スパイス」と同義なら、タイカレーのほとんどはカレーではなくなってしまう。タイカレーのほとんどは唐辛子をはじめタイカレーペーストを作る際に、生の素材しか使わないからだ。

タイカレーはカレーの一種なのか、そうでないのか。カレーを「インド発祥の汁物」というかなり微妙な定義で考えた場合でも、タイカレーはカレーとは別のもの、とは言えない。

ちょうど日本を含めた東アジア中国の影響を受けて、それぞれの独自文化を育んだように、南アジア東南アジアはインド文明の強い影響を受けている。それは間違いない。東南アジア史の先駆者といっていい歴史学者「ジョルジュ・セデスなど「インド化した国々」というような言い方をしている。カレーもそのインド化の一部と見られなくもない。実際、紀元前から、インド人は広く東南アジアを訪れている。

「カレーの正体」森枝卓士「アジア・カレー大全」旅行人編集部・編

と、あるように、インド人は紀元前からタイの各地には出入りしていて、それを考えるとタイカレーをインド人の食事から独立したものとはなかなか言いづらいからだ。

タイカレーがカレーの仲間であるということを前提にした場合、カレーの定義で言う「スパイス」には、乾燥させる前のハーブも含めなくてはいけない。

「複数のスパイス(またはハーブ)で味付けされた汁物」というのが、タイにおけるカレーの基本的な定義になる。

乾燥させた素材を使わないことによる、カレーの地域多様性

今は輸送技術も発展したのでそれほどでもないが、料理に生のものを使う、というのは、それだけでその料理の広がりかたを狭くする。日本のタイ料理店でなかなかきちんとしたガパオライスが食べられないのは、生のガパオが手に入りにくいことがその一端であることは否めないし、いまだに日本の旅館のごちそうのほぼ全てに刺し身が入っているのも「手に入りにくいものをきちんと手に入れた」印でもある。タイカレー、タイ語ゲーン(แกง)と言われるものの地域多様性はそこに生まれる。

日本でタイカレーと言えばココナッツミルクの風味を避けては通れないものと思うのだけど、ココナッツミルクはココヤシの生えているところでしか採れない。タイといえば暑い国、という印象があるかもしれないが、北部東北部には自生していないのでこの辺で昔から作られるゲーンにはココナッツミルクが入らない。具もそうだ。シーフードレストランと言いながらタイで食べられるエビの多くは川エビなのだけど、その川エビも取れるところはそれなりに限られているので、海に面していないところでは具は必然的川魚になる。それだけでも「具材が大きく異ならない」とは言えないことがよくわかるだろう。

ところで、ゲーンは「タイのカレー」なのか。

ここで実は、ゲーンをタイカレーとそのまま訳してしまっていいのか、疑義があることも言わなくてはアンフェアになる。

ここで、タイのケーンという料理について少し解説しておこう。ケーンは、日本では「カレー」と紹介されることが多いが、あやまりである。先に紹介した「ライギョの汁」のタイ語名をわざと書かなかったが、ケーン・プラーチョンという。ああいう料理もケーンなのである。ケーンとは、ごく一部の例を除いて、大部分は「ハーブやスパイスを使った辛い汁」であり、ウルチ米を食べる地域ではご飯にかけて食べる。

「東南アジアのカレー、のようなもの」前川健一「アジア・カレー大全」旅行人編集部・編

この本は2007年初版発行されたもの、およそ10年前に書かれたものである。今だと「汁ものでもご飯にかけるならカレーの一種では」と思わなくもないが、そこは主観の相違かもしれない。まあそこを全て除外しても、まだまだげゲーンのレパートリーは多い。ただし、トロミをつけるための方法がだいたいココナツミルク一択となる。ココナツミルクの風味というのは日本人にとってはかなり大きい。興味がない人にとっては「ココナツミルクが入っている辛い汁もの」以外の区別ができないのかもしれないという好意的な言い方も出来なくない。まあ、そういう人にカレーブロガーとか名乗ってほしくないけどね。

ちなみに、インドカレーの地域性について

冒頭で上げたブログの人は、インドカレーの地域性についてインド人に聞きに行っているが、個人的には先に本でも読んでおけばいいのに、と思わなくもない。今回引用した本を読むと、一人のインド人にだけ地域性を訊ねることの危険性がとてもよくわかる。はてなブックマークでも指摘されていたが、インド料理の地域性は大きく分けても北と南だけでは大雑把すぎることもわかるはずだ。私はインドには詳しくないのでここでは書かないけれどね。

*1しょうがない、と書いたが内心ではかなり怒っている。大げさに怒らないのは大して調べもせずに「だけの特徴」とか書ける人はだいたい怒っても仕方がない程度の人だからだ

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2016-02-01

iPhoneで「Onedriveにログイン出来ない」人が探ってみるべきもう一つの場所

iPhoneで「Onedriveにログイン出来ない」人が探ってみるべきもう一つの場所を含むブックマーク

なんか、Onedriveが無料容量を大幅に縮小するらしくて、それを回避するオプトアウトの期限が今年の1月31日だそうですね。私も今になってそれを知った口です。あわてて オプトアウトの手続きページアクセスしたら、まだオプトアウト受け付けていたので手続きをしたところ。

さて、そんな話を久しぶりに聞くのは、ここ最近iPhoneからOnedriveにうまく繋げなくなっていたからなのですね。パスワードは再発行すれば登録メアド宛に再発行のコードが送られてきて、それでもって簡単にリセットできるのですが、そのパスワードを入れられない。なんかサインイン出来ないってエラーが出てしまって先に進めない。どこに設定があるのかわからない。

「Onedrive iphone サインインできない」で検索しても「アプリを再インストールしてみろ」みたいなよくある解決策しかない。これから書く解決策は、「Wifiモバイル通信有効になっているか確認してください」とかエラー出てたんだけど普通にネットできているのに何が「モバイル通信が有効」だよ、とか文句垂れているそんな30分前までの私のような人のためにあります

具体的な設定方法

「設定」アイコンタップして、下の方にスクロール。Onedriveの個別設定にいきます。iOS9くらいから「設定項目」内が上の方で検索できるようになりましたが、「Onedrive」って打ち込んでもこの個別設定見つかりませんからね。きちんと下の方にスクロールさせて探してください。アルファベット順でOのあたりにあります。私の場合は、OneCamとOokbeeのあいだくらいにありました。

で、その中にある「アクセスを許可」の中にある「モバイルデータ通信」の欄を有効に。

なんでこんな設定にしていたのか

これ、私はカメラアップロードケータイ回線でやりたくないからオフにしていたんですが、これがオフだとアップロード、ダウンロード(一覧の閲覧を含む)はもとより、パスワード認証、いや、パスワード認証画面への遷移を含むほぼ全ての操作がケータイ回線上から不可能になります。できるのはサインアウトだけ。

ちなみに、カメラアップロードをケータイ回線でオフにする場合は、ここではなく、Onedriveアプリ内にある設定から「カメラアップロード」をオンにしたうえで、その中にある「モバイルネットワークを使う」とオフにすればいい。こうすれば、Wifi回線でつながっている時*1だけカメラアップロードが行われる方向に一歩進みます。

わかってしまえば、そりゃそうだ、な話なのですが、なんかもっと深刻なトラブルで再インストールで回復した、みたいなこともあったようで、こういう設定絡みのものは検索してもこの辺が見つからないのでここに書いておきます。

*1:モバイルルータでつながっている場合もiPhone的にはWifiでつながっている状態なのでそこは気をつけて

cloudsaloncloudsalon 2016/02/04 18:37 こういうヘルプな記事のおかげで、トラブルから助かる道が見えるのでありがたいです。

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2015-12-15

ガパオ警察がやってくる、ヤァ、ヤァ、ヤァ

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最近シャレオツカフェとかで出されることもあるし、たまにテレビで紹介されることもあるので認知度も高くなってきた食べ物に「ガパオライス」がある。

そして、おそらく、その認知のされ方はこんな感じだ ― 挽き肉がアジアっぽい味付けで野菜と一緒に炒められていて、半熟卵卵焼きと一緒に白ご飯の上にかかっているやつ実際にcookpadで検索してみると、実に600件以上のレシピがそんな感じの作られ方をしている

この認知は大きく違ってはいないが、ある一点で大きく間違っている。それは、「ガパオ」の位置づけだ。

「ガパオ」はタイ文字では「กะเพรา」と書く。*1wikipediaを調べるまでもなく和名は「カミメボウキ」なのだが、もしかするとカミメボウキのほうが馴染みがない。とにかくこの香草と一緒に炒めたものが「ガパオ炒め」なわけで、入っていないのに「ガパオライス」とかいうのは微妙なのだが、この香草、名前に馴染みがないだけでなく実物についても馴染みがない。おそらくスーパーマーケットで「カミメボウキ」が売られているところを見た人はほとんどいないはずだ。

とは言うものの、この香草には別の呼び方がある。英語圏での呼び名ホーリーバジル」だ。「holy」な「basil」。「バジル」ならちょっとしたスーパーマーケットでもたまに売られている。だから「ガパオ」が「バジルの一種であることを知っている人は、クックパッドレシピにもきちんと「バジルの葉」を入れている。その数およそ450件。クックパッドのレシピの中に「バジル」が一言も含まれていないレシピが150件以上もあることにも驚きなのだが、話はここでは終わらない。

日本で売られている「バジル」は「スイートバジル」で、和名は「メボウキ」。wikipediaには「バジリコ」の名前で載っている。カミメボウキとメボウキ、ホーリーバジルとスイートバジル。似た名前だし、系統も似ているのだが、これら2つは別の植物なのである。

この辺について、詳しく書かれているサイトがある。詳しいだけでなく、書かれている回数も多い。「タイ料理の『ガパオ』ってなに?」「タイのハーブ『ガパオ(ホーリーバジル)』VS『ホーラパー(タイバジル)』を比較してみました」「タイ料理『ガパオライス』の『ガパオ』は『スイートバジルではなく、ホーリーバジルです』」と、2種類のバジルを比べるだけのエントリーだけでも3つあるうえに、ここはタイ料理をはじめとするエスニック料理試食するブログでもあるのだ。タイ料理店で出ている「ガパオライス」の「ガパオ」の量にもこだわるし(お店でガパオを使っていないときにはマジギレすることもある)、全く使っていないコンビニフードなどに苦言を呈することもある。

実際、日本のエスニック料理店で「ガパオ」が実際に使われないのには仕方ない面もある。少し前に「馴染みがない」と書いたが、これがなかなか手に入らないのだ。香菜ことシャンツァイことパクチーはあまりにも普及しすぎて、いつの間にかタイ料理でも「え、そこに」と思わせるようなところにまで入りこんだけれど、素人がガパオを買おうとすると、アジア専門食材の通販にでも頼らざるを得ない。この辺は上記ブログの著者もある程度認めているようではある。また、自分も別の人から「スイートバジルで作ったってインスタントよりはうまいよ」と言われたこともあるし、それはそれで切ない。

そう、本当に、この「ガパオ」本来の認知されなさといったらない。クックパッドで検索すると、その数なんと17件いくらなんでも少なすぎる。これ、レシピの一部に「ホーリーバジル」って書いてある件数だから「ホーリーバジルなしで作ってみました」も含まれての件数ということだしね。

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しかし、そうなってくると「ガパオ」の意味だんだん「アジアっぽい名前」以上の意味を持たなくなってくる。上げた写真は、某所での「ガパオ風ライス」の写真。目玉焼きの下にある挽き肉炒めにはガパオはおろか、バジルもほとんど入っていない。わかっていて食べればそこそこの味はあるんだけど、「風」つけてもゆるされるのかどうかはわからなくなってくる。

また、岩手県大船渡市のとあるアジア風料理店では「サンマガパオライス」なるものが作られているらしいのだが、ネットで調べてみてもホーリーバジルの雰囲気がない。いや、ガパオライスって合う合わないを別にすればガパオ以外の具はなんだっていいので、サンマをガパオ炒めしたっていいし、大船渡はサンマが名物だからサンマを使いたいとも思うんだけど、せっかくならガパオを使っていることもPRしてほしいところ。でもガパオ使ってるって書いてないと心配しょうがない。

いずれこの事態を何とかするには、「ガパオを使っていないガパオライス」つまり「ガパオライスっぽいおかずかけご飯」については何か別の名前をつけなければいけないんだろうなと思う。もしかして手遅れなのかもしれないけれど、いい代替案があればまだ間に合うと思うんだ。

*1タイ語カバンも「ガパオ」らしいのだが「กระเป๋า」と、rの位置が違う(ただし、タイの二重子音のr(ร)はしばしば省略されるので読みが同じ場合がある)だけでなく、声調が違うのでそこで区別できるらしいことは最近知った。

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