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XRQ技研の業務日誌(XRQ Tech Lab)

2011-08-08 モールス電信

自作電鍵

 今日は立秋、秋の気配が見え始めるころとされている。このところ大気の不安定な状況が続いている。夏らしい強烈な日差しが照りつけることもあるのだが、激しい雷雨になったり、バケツをひっくり返したような大雨が局所的に降ったりしている。荒れ狂う天気という状況だ。落雷で送電施設が被害を受け、止まった電車の中に乗客が長時間閉じこめられる事故も起きた。アンダーパスのような窪地では急な出水への注意が呼びかけられている。

 アマチュア無線の世界でも電気通信術(モールス符号による通信)の試験科目が廃止されるという。「法規」の問題の中で電信に関する理解を問う問題は残されるようだが、技能としての送信・受信の科目はなくなる。

 電波が出ているか否か、その継続時間が長いか短いかという単純な仕組みが電信である。この仕組みでアルファベットや数字、またカタカナ、符号などを送ることができるモールス符号ははじめは有線通信から、そして無線通信が始まってからも使われてきた。音響による通信で、人が解読するので通信速度はあまり速くすることができず情報伝達の効率から言えば決してよい方法ではない。しかし、その分、短い言葉で意思を伝えるよう工夫されてきたのだ。電報とか電信文というと独特の言葉を思い起こす人も多いと思う。

 アマチュア無線では、電信はシンプルな構成で送受信の機器を作ることができ、また小さな電力でも、電離層の影響など伝播状況がよくない場合にも遠くの相手方と交信することができるので人気がある。略号やQ符号により効率的な通信が工夫されてきた。たとえば「before」言葉を送るとき、同じような音の「B4」という略語を使う。「You」は「U」、「GoodMorning」は「GM」、「ThankYou」は「TKS」や「TNX」「TU」である。「QTH?」は「送信場所はどちらですか?」という問いになり、「QTH Tokyo」と答えると「東京から送信しています」という答えになる。

 電信はCW(Continuous Wave )とも言われ、先にも触れたように情報の伝達効率がよくないが故に工夫した通信が行われ、必要なことだけを簡潔に交信することができる。極端な交信ではコールサインを送って自分が呼び返されると「UR 599 TU 73」で終わってしまう。これは「あなたの信号の了解度は5、信号強度は9、音調は9です。ありがとうございました。さようなら」という内容を伝えているのだ。

 CW通信は電波の占有幅が狭く、たくさんの人が電波資源を効率的に使用することができ、混信も少ない。また電離層などの伝播状況にもよるが豆電球がやっと点るくらいの電力で国内の通信ができてしまうおもしろさがある。このようなことから商業通信の世界から姿を消してしまった電信がアマチュア無線では今でも人気が高い。

 モールス符号を自動解読する装置もできている。しかし人には自分の耳で音の断続を聞き、そこから内容を理解する能力がある。符号を覚え、聞き取れるまでには多少の鍛錬は必要とされるが、この技能はは残していきたいものだ。人は力を発揮することを楽しむものである。やりたいと努力することで新しい世界が見えてくる。

 デジタル技術によりメールや画像、映像、データ通信など高速で高品位な通信ができるようになった。しかし、その仕組みはブラックボックスである。使い方はわかっても、どのような仕組みかは「?」である。趣味の世界だからこそアマチュア無線で電信は生き残っていくのだと思う。

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