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XRQ技研の業務日誌(XRQ Tech Lab)

2012-06-24 BreadBoard Kit

Splinter

 沖縄地方では梅雨が明けたという。しかし、今日も九州地方は大雨の荒天で関東でもすっきりしない天気である。夏至を過ぎ、陽射しが日ごとに強くなってきているが、すっきりとした青空が望める梅雨明けにはまだまだ時間がかかりそうである。

 BraedBoardRADIOというところからおもしろいキットが出されていた。会社の名前自体がおもしろいのだが、このキットの名前もSplinterという凝った名前である。辞書によると「木の裂片・とげ、石の破片」という小さなものを意味するもののようである。

 機能は送信機と受信機を一つの基板の上に構成し、整形した木の台に乗せたものである。マニュアルによるとこの装置はもともとコロンビアアマチュア無線クラブで新人ハムがモールス符号を学ぶために作られたのだという。モールス符号の発信器だったのだ。そして、モールス信号を受信するために簡単な受信機を組み込むことになり、それに送信時のサイドトーン発信器が組み込まれ、ついには送信機まで組み込むことになったのだそうだ。その機器がBreadBoardの上に組まれたということから、社名もそれにちなんでBreadBoardになったという。

 日本で言えば「かまぼこラジオ」ということになるのだろうか。私も昔、かまぼこ板の上に鉱石ラジオを組んだことがある。コイルやバリコンを並べるのに木の板は便利なのだ。初期のころの真空管無線機が板の上に組まれているのを博物館で見たこともあるが、アルミのシャーシーや鉄の筐体が普及する前には、このような木の板の上に回路を組むのは一般的なことであった。

 このキットのおもしろいところはトランシーバーのように送信機と受信機が一体化していないところである。受信機は受信機、送信機は送信機と別々なのだ。そのため送信する周波数と受信する周波数を合わせる作業が必要になる。私が無線を始めたころには同一周波数で交信と言うことは珍しく、相手からの周波数と、こちらからの周波数がずれていることなど当たり前のことであった。送信機と受信機が別々であるから相手がどの周波数で答えてくるか受信機のダイヤルをくるくる回しながら探したものである。

 さらにこのキットの送信回路はクリスタルによる発振で単一周波数なのだ。空いている周波数を探して電波を出すのではなく、その周波数が空くのを待って電波を出すのである。これも開局当時を思い出させる操作である。

 もちろんエレクトロキヤーなどの機能はなく、立てぶり電鍵でトンツートンツーと信号を出す。基板上に小さなキーが設けられている。送受信の切り替えはアンテナ回路と電源回路をスイッチで切り替える仕組みである。

 こんな小さな基板の上に送信機と受信機の回路を組むためには現在の素子が使われている。そのため工作が容易で数時間で組み立てることができた。受信性能や安定度は昔の機器より向上しているといえるものができあがった。

 実用で使うにはほど遠いのだが、アマチュア無線の原点のころを体験できる機能を持っている。のんびりとワッチを続けて、お空のコンデションとチャンスに恵まれれば十分に交信の機会が得られそうである。高性能なリグでの交信もよいが、こうしたシンプルなリグでの交信も楽しみが大きいと思う。

 なお、このキットの組み立てで一番時間のかかったのは、木の板の塗装でした。

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