XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

Prison Concert

Paix2  ペペ

 Paix2と書いて「ぺぺ」と読むのだそうだ。ManamiさんとMegumiさんの女性デュオである。この日の衣装は真っ赤なドレスと白いパンツスーツの二人だった。
 「社会を明るくする運動」の活動の一環で当地で開催された催しで、このPaix2がトークとコンサートをしてくれたのを見る機会を得た。Paix2はすでに15年のキャリアがあり、365回を越える各地の刑務所や少年院など矯正施設訪問を行っているのだという。J-Popと矯正施設という組み合わせが意外だったのだが、トークを聞いているうちに納得してきた。

 このお二人は鳥取県の出身でデビュー当時に、地元、鳥取県警倉吉警察署の一日署長をした際、「さわやかな歌声は矯正施設で歓迎されるだろう」と勧められ、「慰問」を始めたそうだ。私語を禁じられ身動きも制限される受刑者たちを前に緊張したコンサートだったというが、回を重ねるなかで、「慰問」ではなくPrison Concertとして続けてきたのだという。
 塀の中にいる人たちはそれぞれに理由を持って収容されているのだが、塀の外には被害者や犠牲になった人たちがいる。また、受刑者の家族や身内の人たちがいることに気づいたそうだ。刑を受けている人たちを慰めるのではなく、自分の置かれた立場と正対し更生していくことの手助けになるようコンサートを行っているのだそうだ。
 この日のトークでも受刑者の家族の手紙が紹介されていた。犯した犯罪は赦せないが、受刑者にも父であったり、娘であったりと誰もが家族を持っている。そしてそれぞれに厳しい状況に置かれている。明るい社会をつくっていくためにはそれらの人々とも共に生きていかなければならない。心から悔い改めて更生して欲しい。塀の外と塀の中は繋がっているのであり、その橋渡しとしてのPrison Concertなのだという。

 日本コロンビアに所属するユニットであり、最近はさまざまな活躍の場ができてきたが、最初の頃は手弁当で大変なことも多かったという。塀の中にはコンサートをする音響機材はないので全て持参しなくてはならず、機材と共に車での移動を続けているそうだ。ブログによると、この日も講演が終わってから次の公演地、大阪・貝塚に向かい、現地に着いたのが24時過ぎだったという。日本全国の施設を車で巡った走行距離は100万キロを超えているというのもうなずける。これらの活動が認められ、東京保護観察所の保護司でもあり、法務省の矯正支援官としても依嘱されているそうだ。
 Manamiさんの赤いドレスとMegumiさんの白いパンツスーツ。このお二人の願いは塀の中のグラウンドから紅白に出ることだという。更生保護という、社会にとっては大切な事業を多くの人たちに理解してもらい、共に生きる社会を築いていくためにPaix2の活動を応援していきたいと思う。