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XRQ技研の業務日誌(XRQ Tech Lab)

2015-09-08 QRP交信装置

MTR QRP Rig&Ant-tuner

 QRPはおおむね5W以下の電力で運用することを指している。小さな電力でも条件が整えば思いもよらない遠距離の地と交信ができるおもしろさがある。

 私はこのところ、7MHz帯はほぼ写真のシステムで運用している。

 リグはKD1JV StevenWeberさんが開発したMountain Top'erというキットを組み立てたものである。初代のMTRは初回頒布がすぐに終わってしまい、2回目の頒布の時、Stevenに夜中にメールを送って手に入れたものだ。表面実装部品が使われ、ルーペを駆使しながらピンセットで小さな部品を押さえ、一つ一つハンダ付けをしていった。DDSチップを裏返しに取り付けてしまい、新しいものと取り替えるというアクシデントもあった。数ヶ月の試行錯誤の末、やっと組み上げたリグである。マイコン制御で押しボタンだけで操作する。最初は戸惑ったのだが、使っているうちに慣れてきた。周波数の指定はパドルで4桁の数字を打ち込むことで指定でき、周波数の移動はアップ・ダウンのボタンで行える。音量調整はできないが、AGC回路を手直ししてからは不自由していない。

 電源は9Vを定格としているが、5VのUSB電源でも動作する。通常は18650の電池2個を直列にして使っている。一日数局との交信で2週間くらいは充電しなくても使えている。出力は2W程度は出ているので、あまりストレスを感じることもない。

 アンテナはロングワイヤーで2階の窓から庭の立木に渡したものである。これにEFHWのチューナーを入れている。QRPなので小さなコアと受信用のポリバリコンで構成したチューナーである。

 パドルはマイクロスイッチを組み合わせたものに、マグネットのベースを付けMTRの筐体に取り付けた自作である。イヤフォーンは通信用等という高級なものではなく、普通のステレオ仕様のものをモノラル仕様として使っている。

 装置は全てを入れても小さな手提げバックに納められるコンパクトさだが、こんな小さな設備でも十分交信はできるものである。

 交信の時、私はあえてコールサインに”/QRP”という表示をしていない。「いつもは大きな電力を使っているが今日は小電力で出ています」という”/QRP”ではなく、私の場合はほぼ全てのリグがQRPだからである。

 QRPという特性から、相手をしてくださる局には迷惑を掛けているところがある。QRPだと電離層の影響をもろに受けるらしく信号強度が時々刻々と変化するフェージングという現象が起こりやすい。安定して届かないため、注意深く受信してもらわなければならない場面がある。でもQRPという特性を持った局と言うことで認めてもらっている。

 短波帯での伝播は自然を相手にしたものである。太陽の活動状態など様々な要因が絡み合って伝播が左右される。そのときそのとき、電波がどのように飛んでくれるのか、その先に相手をしてくれる局があるのか、偶然性を楽しむのがアマチュア無線であると考えている。確実性を求めるのではなく、地球や宇宙という自然の変化を相手にしたところに楽しみがあるのだと思う。

 7MHz帯でも夕方になるとUSAの局が強力に入感してくることがある。数キロWとフルサイズのアンテナを使っている局もあるという。その局にQRPで呼びかけても返事をもらうことは難しい。電波の強さという点で電力差はいかんともしがたいのだが、自然は気まぐれでQRPの電波を外国まで届けてくれることもあるのだ。その偶然性をこの小さなシステムで楽しんでいきたいと思う。