秋の常設展示が始まりました

本日9月1日(火)から、常設展示室が秋の展示に変わりました。


日本画・郷土美術部門の展示は日本美術院の作家たち』と題し、わが国最大の在野の日本画団体・日本美術院に所属する日本画形の名作を、院展出品作を中心に展示しています(10月25日(日)まで)

日本美術院は、東京美術学校(現・東京藝術大学)の創立に尽力し、近代日本における美術史学の礎を築いた学究の徒・岡倉天心によって明治31年(1898)に創設されたわが国初で最大の在野の美術団体です。伝統に学びつつ新たな日本画を追求する革新的な気風のもと、集った俊英たちは研鑽を重ね、数々の名作を発表しました。
本展では日本美術院草創期のメンバーであった横山大観(よこやま・たいかん)の「月下牧童」「八幡緑雨」「木菟」、下村観山(しもむら・かんざん)の「観音図」、菱田春草(ひしだ・しゅんそう)の「雪の山」」「落葉」などをはじめ、大正から昭和初期の再興日本美術院を彩った画家たち─速水御舟の「洛北修学院村」、安田靫彦(やすだ・ゆきひこ)の「紅梅」「鞍馬寺参籠の牛若」、今村紫紅(いまむら・しこう)の「江頭春」、中村岳陵(なかむら・がくりょう)の「黄昏時」、小茂田青樹(おもだ・せいじゅ)の「秋草に少女画稿」、前田青邨(まえだ・せいそん)の「猫」など、当館の代表作とも言える作品を多数展示しています。

なお併設の小倉遊亀コーナーも、本展示に合わせて展示替えが行われました。新しい展示作品は「受洗を謳う」「少将滋幹の母 挿絵」「ゼラニウム」「山茶花」「アネモネ」「佳器」「憩う」「少女」「画人像」「観自在」「桔梗」「古陶と青柿・黒い台の白桃・古九谷マンゴウ」「紅白紫黄」
の13点です。


現代美術部門の展示は『戦後から現代へ』と題し、終戦直後から1970年代までの日米の「戦後」期の現代美術作品と、90年代以降の日本の「同時代」の現代美術作品を、対比するかたちで展示し、その違いと共通性を検証します(12月13日(日)まで)。

展示作品は、戦後美術からは50年代アメリカ抽象表現主義の代表的な作品であるマーク・ロスコの「ナンバー28」、60年代ポップ・アートを代表するアンディ・ウォーホルの「フラワーズ」、60年代末ミニマル・アート(最小限芸術)のフランク・ステラバルパライソ・フレッシュ」、そして日本からは白髪一雄(しらが・かずお)「地猛星神火将(ちもうせいしんかしょう)」、李禹煥(リ・ウーファン)「点より」などが展示されます。
一方1990年代以降の同時代の現代美術からは、森村泰昌(もりむら・やすまさ)「石榴を持つ肖像」、山口晃(やまぐち・あきら)「厩図2004」、福田美蘭(ふくだ・みらん)「清水卯一《鉄耀掛分偏壷》を 収めておく二重箱と梱包物」、柳幸典(やなぎ・ゆきのり)「Study for American Art -192 One-Dollar Bills-」、そして伊庭靖子(いば・やすこ)「untitled」など、現代日本の人気作家の作品が多数展示されます。
同じ「現代美術」という枠にありながらも、異なる背景と展開を見せ、独自の表現を開花させたふたつの作品群を、この機会にぜひ合わせてご覧ください。


常設展示「日本美術院の作家たち」 9月1日(火)─10月25日(日)
     「戦後から現代へ」 9月1日(火)─12月13日(日)
休館日:毎週月曜日(月曜が祝日・振替休日の場合は開館し、翌日休館)
観覧料(共通):一般 500円(400円))、高大生 300円(240円)、小中生 無料 ( )内は20名以上の団体料金。
※企画展の観覧券で常設展も観覧できます。
※毎日、午後2時から美術館サポーターによるギャラリートークを行います。