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書房日記

2017-07-21

防衛省日報問題に関して 国会会議録の記録を眺めて

防衛省日報問題に関する今週の報道は、かなり衝撃的で驚くべき内容であったと考えます。

しかしながらウェブ上には何とも、雑といって良いような擁護論が観られましたので、それへの批判を兼ねて少し会議録を辿って分かったことについて記しておきましょう。

国会審議で言えば2月8日に始まり2月下旬までの時期、この段階を第1段階と整理すると、問題になっていたのは1つには情報開示請求後に敢えて日報を破棄し隠蔽していたのではないかという点と、2つには稲田大臣の再調査による結果判明と報告が遅すぎるのではないか、の2点で在ったと言えます。

これについて稲田大臣は、<1>請求時点では既に廃棄されており、文書規則上保管義務は無かった、<2>については今後の改善事項とする、という線で答弁を行っていました。

この段階での攻防の具体例は資料編の(1)-(5)にざっと挙げておきましたので御参照下さい。

ところが3月15日の報道で事態は一変した訳です。陸自文書データを保管していたことで<1>については再度公開請求に対し意図的に隠ぺいを行ったのではないかという批判が為されましたし、<2>については陸自による保管・公開差し止め・データ消去を見逃した大臣の監督責任が問われました。

これに対し3月16日以降の稲田大臣答弁は、防衛監察本部による特別監察を実施しその結果が判明次第再発防止等の改善措置を取る、というものでした。それに対してはただちに陸上幕僚長以下に事実確認をしないことの是非、即座に責任を取って辞任しないことの是非などが論じられました。具体的には(6)で少しだけ挙げておきましたが、その後3月中に2度3度と同様の答弁は続いています。

さてこのように3月までの動きを振り返ってみると、陸上幕僚長以下による保管の事実確認・公開差し止め・データ消去について稲田大臣が事務次官陸上幕僚長の決定した方針を了承あるいは黙認した、という内容は事実ならば相当に決定的な内容です。報告を受け関与しておきながら、さも自身は不祥事について関与していなかったかのように特別監察を命じた3月の行動は欺瞞ということになります。

そしてもう1つ決定的なのは、陸自から報告を受けたとされるのが2月13日及び2月15日だということです。そう、2月14日、17日、23日などには散々稲田大臣は統幕でのみ文書が見つかり、請求時の対応の不手際で文書の発見が遅れたことだけが問題だとかなりの回数答弁していたのですから、既に陸自でも文書が見つかりそれを秘匿する方針を了承ないし黙認した上での答弁だったら、完全に虚偽答弁ということになります。

ここ数日の、例えば河野太郎議員のブログ記事 http://b.hatena.ne.jp/entry/www.taro.org/2017/07/%E5%8D%97%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%97%A5%E5%A0%B1%E5%95%8F%E9%A1%8C.phpですとか、テレビ番組における元海自の伊藤俊幸氏とかの擁護http://b.hatena.ne.jp/entry/twitter.com/kazue_fgeewara/status/888010680145555456が奇妙なのは、この統幕文書陸自文書の違いを無視している点でしょう。

仮に2月15日前後に稲田大臣が陸自文書の存在を知っていたとするならば、[1]まず第1段階での、自ら再調査を指示し探索範囲を広げたことで統幕で見つかった、という説明は完全に崩壊しますし、[2]2月15日以降の答弁では[1]に気付きながらそれを秘匿する答弁を行った、[3]更に3月16日の陸自問題発覚以降はそれへの自身の関与を秘匿した、ということになるのは前述の通りです。既に統幕分が公開されていた文書だから陸自分の存在は秘匿しても良い、などとお考えのお二人は一体2月・3月の国会審議特に稲田大臣の答弁について何を聞いてらっしゃったんでしょうか。

繰り返しますが、稲田大臣の第1段階での防衛線は第2段階で一旦崩壊し、今また第2段階の攻防ラインすら報道で揺らいでいる訳でして、もしも今週の報道が事実通りだった場合、このような形で二重三重公文書管理について大臣としての責任を果たさなかった稲田朋美氏は批判を免れ得ないものと考える次第です。

資料編 防衛省日報問題について 国会会議録の記録から

手持ちの材料はほぼ「国会会議録検索システム」http://kokkai.ndl.go.jp/ からです。


(0)まず0番として、2017年1月24日の共産党志位委員長の代表質問というものがございます。ここでは日報が破棄されたという問題がある、それについて「総理、日報を廃棄した自衛隊幹部の行為を是とするのか非とするのか、明確な答弁を求めます」という形で触れられているのですね。

 これに対する安倍晋三首相の答弁は、

 南スーダンPKOの日報についてのお尋ねがありました。

 御指摘の日報は、南スーダン派遣施設部隊が、毎日、上級部隊に報告を行うために作成している文書であり、公文書等の管理に関する関係法令及び規則に基づき取り扱っている旨の報告を受けています。

 なお、日報の内容は、報告を受けた上級部隊において、南スーダンにおける活動記録として整理、保存されていると承知しています。


(1)本格的な国会質疑の開始は、2017年2月8日衆議院予算委員会での民進党小山展弘議員による質問と言って良いかと存じます。小山議員の質問の主軸は南スーダンPKO派遣の前提となる安倍政権の認識批判、つまり「戦闘行為」を武力衝突と扱うことでPKO5原則を無理に適用しているのではないかという点にあったのですが、その辺りの議論はさておいて、ここで発見された日報自体に「戦闘」という語があるではないか、という疑問が提示され、それに関連して文書発見の経緯が問われております。

これに対する稲田朋美防衛大臣の答弁は、


昨年の七月の南スーダン首都ジュバにおける衝突事案の期間中に作成された南スーダン派遣施設隊の日報については、情報公開法上の開示請求を受け、日報の作成元である派遣施設隊及び報告先の中央即応集団司令部を中心に探索した結果、既に廃棄をしていることから、文書不存在につき不開示と決定をしたものです。

 開示請求に係る行政文書は、請求から起算して三十日以内に速やかに特定する必要があります。開示請求を受けた防衛省としては、限られた期間の中で当然、陸上自衛隊の日報を作成した部隊や報告先の部隊を中心に日報が保管されているかどうかを探索したところですが、当時防衛省として文書を探索し切れなかったことに関しては、十分な対応ではなかったと認識をいたしております。

 当該日報については、その後も複数の開示請求がなされたことを踏まえ、私から本当に日報がないのかしっかり探索するよう指示をしていたところ、河野太郎議員からも再度探索すべきとの御指摘を受け、私からもさらに探索するように指示し、再度日報にアクセス可能な部局に範囲を広げたところ、統合幕僚監部において日報が電子データとして見つかった次第でございます。

 防衛省としては、再度同種の開示請求がなされれば、日報が見つかったことを踏まえ適切に対応したいと考えております。

(2)その翌2月9日、今度は同じ予算委員会において、民進党後藤祐一議員からこの日報の問題について更に質問が為されました。


○稲田国務大臣 私からは十二月十六日に再度探索するよう指示を出しまして、今御指摘のとおり、発見されたのが十二月二十六日、私宛てが一月二十七日でございます。

 この期間が長過ぎるということについてでございますが、統合幕僚監部においては、派遣部隊等と不開示となった事実関係を確認し、また、これらの資料を最終的に開示するに当たり、不開示とすべき箇所の判断を行っており、これらに時間を要したものであって、隠蔽の意図があったとの一定の御指摘は当たりません。

 また、一度破棄したと説明した資料が発見されたことを明らかにする以上、防衛省としては、その資料の内容をしっかりと国民に向けて説明する必要があり、私に説明を上げるに当たっても一定の準備は必要であったというふうに思います。

 他方、私の指示、十二月十六日、委員が御指摘になったとおりですけれども、資料が見つかったということ、事務方から見つかったという事実自体について速やかに報告が上がるべきであったという御指摘はそのとおりだというふうに思いますので、その点は関係部署に対して指導したところでございます。


(3)2月14日、同じく衆議院予算委員会民進党辻元清美共産党笠井亮議員と再び後藤議員とがこの問題で質問を行っております。

辻元質問に対しては、

○稲田国務大臣 まず、破棄したこと自体は法律違反ではありません。

 しかしながら、私も、あるんじゃないかと思って捜索を指示いたしました。そして、あったら必ず公開しろ、探して、あれば必ず公開しろということで指示をしたわけであります。そして、一カ月後の一月二十七日に報告を受けた。この経過については、しっかりと事実関係を調査したいと考えております。

○稲田国務大臣 まず、隠蔽する意図は全くありませんでした。そして、隠蔽する意図がないから今開示しているんじゃないでしょうか。ですから、隠蔽を組織ぐるみでやったということについて、私は否定します。

 しかしながら、なぜ、一カ月間、これだけ時間がかかったのか、そして、今、総理の答弁がどうだったのかということをおっしゃいましたので、しっかりと事実関係は調査いたしますということを申し上げております。

後藤質問に対しては、

○稲田国務大臣 御指摘の不開示決定については、決定の取り消しを求めて行政不服審査法に基づく審査請求が提起されており、この審査請求につきましては、これを認容することとし、二月九日木曜付で不開示決定を取り消す裁決を行ったところでございます。


○稲田国務大臣 まず、廃棄は、陸上自衛隊文書管理規則にのっとって、目的を達成した後に廃棄することとなっております。それに従って、これまでに陸上幕僚監部からは派遣施設隊及び中央即応集団司令部における業務実態について報告を受けており、日報は、中央即応集団司令部への報告後に用済みとなり破棄していたことを確認いたしているところであります。

 そして、紙媒体については四日以内ぐらいには破棄をしておりますが、電子データについて、今、いつ破棄したかということをしっかりと調査しているところでございます。正確に報告を受けた上で、適切な形で報告させていただきます。

笠井質問に対しては、

○稲田国務大臣 まず、日報に関しては、陸上自衛隊文書管理規則によって、用済み後廃棄となっております。したがって、その規則に従って廃棄をしたということでございますが、私自身も、日報を本当に廃棄したのか、本当に全然残っていないのかということで、指示をして、そして、あった場合には必ず公開するようにということを申し上げました。

 また、この日報を隠蔽する意図も、また内容について隠蔽する必要のないものであったことも、そのとおりでございます。そういう意味において、日報が見つかってから一カ月間、私のところに報告が上がってこなかったことは非常に問題でありますし、また、開示請求が来たときに十分に捜索できなかったことも問題であります。

 また、委員を初め皆様方から指摘されているように、第一次資料の日報を用済み廃棄、そういう規則にしていることはどうなのかという指摘もあります。私としても、しっかりとその目的を達成するというか、ある程度の期間はしっかりと置いておくべきだというふうに考えているところでございます。


笠井委員 国会議員に対して防衛省が明らかに事実と違う虚偽の説明をした、これは隠蔽以外の何物でもありません。

 稲田大臣は、日報にアクセス可能な部局に範囲を広げて探索したところ、統合幕僚監部で見つかったとこの間も答弁、説明をされておりますが、そうやって範囲を広げて探索をしないと出てこないものなんですか。

○稲田国務大臣 日報を作成した派遣部隊、さらにはその報告先であるところの部隊において破棄をされたということでありますので、それからさらに範囲を拡大して捜索したということでございます。

笠井委員 今回、当初は廃棄したと言っていた日報の電子データでありますが、実はそれが統合幕僚監部で発見されたというのが説明でありますけれども、その電子データは教訓センターデータベースというところにあったのではないですか。

○稲田国務大臣 それは統幕の中にございました。



(4)2月17日にも衆院予算委員会において、辻元・後藤両議員の質問が行われました。また2月20日にも民進党升田世喜男民進党長妻昭共産党畠山和也、後藤各議員がこの問題を取り上げています。

2月17日の後藤質問に対して

○稲田国務大臣 先ほどの答弁を少し補足しますと、派遣施設隊の日報それからCRFの日報は短期間で用済みになって、破棄される文書については規則上、破棄した期日を記録することとはされておりません。その上で申し上げれば、文書管理者である中央即応集団司令部防衛部長ないしは派遣施設隊長のもとで適切に廃棄された、破棄されたとの報告を受けております。

 その上で、今御指摘の、統幕において一次要員から第九次要員までの日報を保管しているのではないかということを、委員の御質問を受けまして確認いたしました。そして、南スーダンへの部隊派遣の開始以来、日報を電子データとして保存していることを確認したところでございます。

2月20日の升田質問に対して


○稲田国務大臣 まず、今回の南スーダン派遣部隊がつくっていた日報ですけれども、これは用済み後破棄という規定になっていて、その規則に基づいて破棄をされておりました。

 しかしながら、私はその報告を聞いたときに、自分の経験則、それは弁護士としてもそうですし、一般国民としても、それはどこかにあるんじゃないのかと指示をして、どこかにあるんだったら、早く探して、そして公表しなさいよと。それが、委員がおっしゃる、怖かったから言えなかったということを指されたのかと思いますが、そういうことはないと思います。

 私はそう言って、そして言われた方も見つけて、十二月二十六日にあった。あったので、それはすぐ公表しなきゃいけない、大臣がすぐ公表しろということで、そこからさまざまな作業をして一月二十七日になって私に報告したということでございますけれども、でも、私も、委員がおっしゃるように、あったという事実自体をなぜ早く伝えなかったのか、まずあったという事実を早く伝えるべきであったということは、厳しく指導して注意をしたところであります。


2月20日の畠山質問に対して


○稲田国務大臣 捜索が不十分だったことは確かですが、その際、開示請求を受けて捜索したのは、原本をつくっている派遣施設隊と、そしてその報告先であるところの中央即応集団司令部であったということでございます。

(5)2月22日の予算委員会第一分科会、そして2月23日の予算委員会と、後藤祐一議員による質問が続きました。また2月23日の予算委員会第一分科会では共産党本村伸子議員、升田・辻元両議員も再度質問を行っています。この段階では、文書の発見元とされた統合幕僚監部にも12月に照会がいっていたことの妥当性という問題も問われていました。

2月22日、予算委員会第一分科会


○稲田国務大臣 冒頭、後藤議員から謝罪がございました。そして、その内容、厳しく指導して女性職員が威圧と受けとめたと言われたわけですけれども、先日の会見、読ませていただいても、報告を受けている内容とかなり乖離をいたしております。そして、極めて不適切な言動であったということについて遺憾に思います。この場で具体的にそのことについてこれ以上は申しません。立ち入りません。

 その上で、今のお尋ねですけれども、日報の開示請求に関し、防衛省では、日報作成元の派遣施設隊、報告先の中央即応集団の司令部で日報を探したけれども、廃棄済みのため不存在だった。かかる捜索結果を受けて、幕僚長から不存在のため不開示との上申がなされ、昨年十一月二十八日、大臣官房から統幕に意見照会が行われました。

 統幕参事官付では、日報の作成元である陸上自衛隊が廃棄済みのため不存在とした判断について意見の有無を問われ、政策調整官まで了解をとり、意見なしと回答をいたしました。このとき関与した者は、当該文書について、統幕が報告先でもなく、保存せよとの業務上の指示も受けていなかったことから、開示請求を受けた日報が統幕参事官付内に存在しているとの認識はなかったものです。

 私は、以上のような報告を踏まえ、二十日の衆議院予算委員会で、統幕が回答した時点で当該日報が統幕にあることを知っている人はいない旨をお答えいたしたところです。

 そして、この意見照会に対し、統幕参事官付政策調整官は、部下職員から照会文書の提示を受け、口頭で意見なしとの回答を了解しました。この過程において、文書は作成されておりません。

 なお、本件については、政策調査官の了解をもって回答したものであり、当該照会について統幕参事官本人は承知していませんでした。

 通常、この種の過程は、参事官付の次席である政策調査官を含め、数名の職員がかかわると考えております。

2月23日、予算委員会


○稲田国務大臣 情報開示請求、一旦不開示にしたものを後で探して公開した、それによって全体的に趣旨に沿ったものになっております。

 そして、私はもちろん、今回の、統幕参事官付に七月の日報が保存されているかを確認していなかったこと、これが不十分であったことは認めております。そして、今後の課題として、やはりしっかり探す、捜索範囲を広くする、今回のことを教訓に生かすということを申し上げているわけです。

 しかしながら、本件においては、捜索を指示し、捜索し、公表をいたしております。そういう中で、今後の課題として、今委員が御指摘になった点も生かしていくということを申し上げているわけでございます。

2月23日、予算委員会

○稲田国務大臣 まず、本件は隠蔽じゃないんです。隠蔽じゃないからこそ公表しているんです。しかも、一次隊から全部の書類を今公表しようということで準備しているんです。(後藤(祐)委員「それは私に言われて出しただけじゃないですか」と呼ぶ)違いますよ。

 私は、聞いたときに、報告を受けたときに、これはどこかにあるんじゃないの、とにかく徹底的に捜索して、あるものは全て公表しましょう、それと、やはりこの日報というものが一年未満廃棄でいいかどうか、これはしっかりと検証しましょうということを申し上げたところであります。

 したがいまして、本件は隠蔽ではないんです。確かに不十分だったところはあるかもしれません。それは将来に対して生かしていきますけれども、隠蔽ではないということを申し上げたいと思います。(後藤(祐)委員「全く答えていない。調べる義務があったのかと聞いているんです。質問を忘れちゃっているんですよ。時計をとめていただけますか」と呼ぶ)

2月23日、升田議員に対する予算委員会第一分科会での答弁


○稲田国務大臣 今委員御指摘になったように、日報を探索して、発見されて、そしてそれを私に報告するまで一カ月がかかったということは、余りにも時間がかかり過ぎるということで、私も関係部署に対して指導、注意はしたところです。

 その上で、委員が、一カ月もかかったということは、防衛省と私との間のコミュニケーションがうまくいっていないのではないかというお尋ねですけれども、今回、十二月十六日に、日報が文書不存在のため不開示である、文書を破棄したこと自体は規則に基づいているんですけれども、適法なんですが、それで破棄されたという報告を受けて、私は、自分の経験則弁護士としても、一国民としても、それは、電子データはどこかにあるんじゃないの、とにかく徹底的に探して、そしてあれば、もう全て公表しましょうということを言って、そしてそれが発見されて公開するに至った。そういう意味では、私は、職員との間のコミュニケーション、すなわち、これは探して公表しましょうという中で行われたというふうに思っております。

 また、現在に至るまで、事務方から、そういった経緯、問題点、しっかりと報告をされて、これを踏まえて再発防止に向けた指示を行うなど、コミュニケーションは円滑に行われているところであります。

 しかしながら、今後、コミュニケーション委員が御心配をされるのは、やはりそういうものがないと、委員の御地元の派遣部隊の様子というものが私のところに上がってこないんじゃないかという心配をされているんだと思います。そういう意味からも、やはりしっかりとコミュニケーションをとる。そして、私に上げるに当たって、万全の準備をしてから対応しようと過度に完璧主義に至るんじゃなくて、節目節目で迅速に要点を報告すべく意識を変えていこうということも確認をしているところであります。

 二十五万人の自衛隊員と緊密な関係を築く、そして、派遣隊を送り出されている家族の皆さん方に、今回のこういったことで無用な不安を今後与えないように、しっかりと指導もし、またコミュニケーションもさらに緊密なものになるように、私自身も努力してまいりたいと考えております。

2月23日、辻元議員への予算委員会第一分科会での答弁

○稲田国務大臣 何度もお答えをいたしておりますけれども、私は、私の指示でこの日報が出てきて、公表されたということは評価しています。

 しかしながら、何が問題か。やはり、指示をして見つけるまで、見つけてから公表するまで一カ月もかかってしまったということは非常に問題であるし、そこは改善していく。

 さらには日報の取り扱いですね。日々施設隊がつくっている日報を用済み、破棄としてきた。これは、南スーダン施設隊を派遣したのは民主党政権で、そのときからずっとそうですけれども。でも、この日報を用済み、破棄にしている取り扱いがどうなのか、ここも問題だと思います。

(6)ところが3月15日、統幕の他に陸自でも同様の日報が保管されていたこと、そして保管していたことを隠した上でデータ消去を行っていたことが報道され、更にその翌日には陸自トップの陸上幕僚長らもこれに関与していたことが報じられました。

3月16日の衆議院安全保障委員会では、珍しく自民党中谷真一議員もこの報道について語りながら与党側から質問を行っています。それへの答弁。


○稲田国務大臣 開示請求されておりました昨年七月分の日報については、陸上自衛隊派遣施設隊及び中央即応集団司令部において探索を行った上で、陸上幕僚長から私に対し、廃棄済みのため不存在との上申を受けていたところです。

 その後、私の指示のもと、防衛省がみずから再探索し、当初の探索範囲でなかった統合幕僚監部にて発見し、みずから公開したところであり、これまで、情報公開への対応としては適切であったと繰り返し申し上げてまいりました。

 他方、今般の報道を受けまして、まずは陸上幕僚長事実関係の確認を指示いたしましたが、本件につきましては、私の責任のもと、陸上自衛隊から離れた独立性の高い立場から徹底した調査を行わせることが重要と考え、元検事長を長とし、現役の検事も勤務する、大臣直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を昨日指示したところでございます。また、陸上自衛隊には、本件特別防衛監察の実施に全面的に協力させることとしております。今後、できるだけ早く監察結果の報告を求めたいと考えています。

 大臣直轄の防衛監察本部により徹底的に調査の上、防衛省自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任で改善していきたいと考えております。

 最後に、日報のデータを消去するよう指示が出されたとの報道がなされている点でございますが、私は、昨年十二月に統幕からの報告を受けた際、日報を改めて探索し、公開するよう指示をしており、破棄を指示するようなことは断じてありません。

 本件に関しては、防衛監察本部の特別防衛監察の中で徹底的に事実関係を調査させた上で、しっかりと、文書管理のあり方、また、防衛省自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任でしっかりと改善していきたいと考えております。

民進党今井雅人議員とのやり取り。


○今井委員 民進党今井雅人でございます。

 きょうは、委員外でございますけれども、質問の機会をいただきましたことを皆様に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 きのう質問の準備をしているときに驚くべき報道を目にしたんですけれども、先ほどもちょっとあった、話題が上がったそうですが、御存じない方もいらっしゃると思いますので、NHKの報道、文字に起こしてきましたので、改めてここで読ませていただきます。

 南スーダンで大規模な武力衝突が起きた際のPKO部隊の日報について、防衛省は、陸上自衛隊が破棄し、その後、別の部署で見つかったと説明していますが、実際には陸上自衛隊が日報のデータを一貫して保管していたことが複数の防衛省幹部への取材でわかりました。さらに、これまでの説明と矛盾するとして一切公表されなかった上、先月になってデータを消去するよう指示が出されたと幹部は証言しています。

 南スーダンでPKO活動に当たる自衛隊派遣部隊が日々の状況を記した日報について、防衛省は、現地で大規模な武力衝突が起きた去年七月の記録を情報公開請求されたのに対し、部隊の指揮に当たる陸上自衛隊の司令部が既に破棄していたとして、昨年十二月、日報は存在しないと回答しました。

 その後、再調査が行われ、防衛省は、陸海空の各自衛隊でつくる統合幕僚監部に保管されていたことがわかったと先月七日に発表しましたが、その一方で、陸上自衛隊には存在しないと説明しています。

 ところが、実際には、陸上自衛隊が日報の電子データを一貫して保管していたことが複数の防衛省幹部への取材でわかりました。それによりますと、陸上自衛隊に電子データがあることがわかったのはことし一月中旬で、部隊を指揮する司令部の複数のコンピューターに保管されていました。このことは、陸上自衛隊の上層部に報告され、一旦は公表に向けた準備が進められたということです。このときの方針は、陸上自衛隊で日報のデータが見つかったことを認めた上で、隠す意図はなく、今後公表するという内容だったということです。

 しかし、その後、これまでの説明と矛盾するため外部には公表しないという判断になり、さらに、先月になってデータを消去するよう指示が出されたと幹部は証言しています。

 防衛省幹部の一人は取材に対し、日報の電子データは陸上自衛隊の司令部もダウンロードし、保存していました、しかし、今さら出せないということになり、発表しないことになった経緯があります、今現在、司令部のデータは消去されたと聞いていますと証言しています。

 驚くべき証言ですね。完全な隠蔽です、事実だとすれば。

 稲田大臣はこれまでずっと、自分が指揮して、日報がないか調査しろ、調査しろというふうに私が言ってきたというふうに豪語されておられましたけれども、一体何を調査してこられたんですか、これまで。こういう話はこれまで出てこなかったんですか。

○稲田国務大臣 開示請求されていた七月分の日報については、陸上自衛隊派遣施設隊及び中央即応集団司令部において探索を行った上で、陸幕長から私に対し、廃棄済みのため不存在と上申を受けておりました。その後、私の指示のもとで防衛省がみずから再探索し、当初の探索範囲でなかった統合幕僚監部で発見をして、みずから公開したところであって、これまで、情報公開への対応としては適切であったと申し上げてきたところでございます。

 他方、今委員が読み上げられた報道を受けて、まずは陸上幕僚長事実関係の確認を指示しましたが、報道されている内容が仮に事実であるとするならば、防衛省自衛隊に対する国民の信頼を大きく損ねかねないものであることから、本件については、私の責任のもと、陸上自衛隊から離れた独立性の高い立場から徹底した調査を行わせることが重要と考え、元検事長を長とし、現役の検事も勤務する、大臣直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示したところであります。陸上自衛隊には、本件特別防衛監察の実施に全面的に協力させることといたしております。

 大臣直轄の防衛監察本部により徹底的に調査の上、防衛省自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任で改善していきたいと考えております。

同日、後藤議員とのやりとり。


○後藤(祐)委員 つまり、昨年七月の日報があったのかどうか、いつまであったのかどうかという、予算委員会で膨大な時間をこれによって費やしてしまった、その答弁が変われば予算委員会の時間を返してほしいという話になるものについて、切り離して、早くここに報告することはしないという意味の答弁だと受けとめました。

 大臣、これは予算委員会を何だと思っていらっしゃるんですか。予算委員会の時間をあれだけかけたことについて、大臣の責任、どう考えるんですか。大臣、もしこの二月十四日及び二月十七日の答弁が変わるという結果になった場合には、大臣を辞職されるということでよろしいですか。

○稲田国務大臣 私の責任において、徹底的に事実を解明した上で、再発防止、さらには文書の保存のあり方、そして、委員が何度も御指摘になっているところの、仮に自衛隊防衛省隠蔽体質なるものがあるとすれば、そこは徹底的に事実を解明した上で改善をしていくということでございます。

同じく3月16日に共産党赤嶺政賢議員も質問を行い、翌3月17日にも後藤・笠井議員民進党寺田学議員らが再度質問を行っている。これ以降にも、3月21日、3月23日に関連質疑が行われた。

2017-07-09

外岡秀俊『情報のさばき方』朝日新書

 10年近く前に入手してから時々部分部分を読んできたのだけれど、今回完読。

 「インデックス情報」という名前はいまいちこなれていないけれど、メタデータ一種と見ると成程ここ10年でその重要性は更に高まっている。

 「おわりに」で立花隆ジャーナリズム論が好意的に引用されており、インプットとアウトプットの両面を扱っている辺りは立花の『「知」のソフトウェア講談社現代新書1984年とも似ているけれど、立花が徹底的に手元に資料を集めるのに対して著者が徹底的に「インデックス情報」のみにこだわり本も捨ててしまうのは対称的で面白いところ。

 その著者にして扱いが「意外に難しい」と述べ現物を取っておくのが雑誌記事だという(29p)。これは成程と感じた。

 私個人が本書で最も有益だった箇所は、ルーズリーフに「一日一行」という日々の個人記録の残し方の部分(181p)で、最初に本書を読んだ頃から実践しているが、最低限の個人史の記録として確かにとても役に立った。

それにしても「読者は記者のことを知らず、記者の個人的な経験や思い出にも興味はありません」とまで書いて主観を排すという注意点を記している(206p)だけあって、インターネットで著者のことを検索すればすぐに分かる、著者が文学賞まで受賞している小説家でもあることを読み取れる箇所が全くないことには恐れ入った。あるいは著者なりのユーモアの効かせ方なのかもしれないけれど。

2017-06-30

藤井四段に関する名古屋大学の「大学からのお知らせ」

淡々としていて、標題だけ読むとプロ棋士の紹介記事というよりもアマチュア大会での活躍みたいで(それにしたって凄い記録だろうけれど)、却って面白い。

http://www.nagoya-u.ac.jp/info/29_1.html


それから大阪大学将棋部のOB紹介で、糸谷八段の「愛称」が「プロ」なのも面白かった。

http://handaishogi.fc2web.com/member_ob.html

2017-06-03

2017年度国立大学図書系採用試験の採用予定数

今年分はないのかなあと感じたので、過去2年分の2016年度国立大学図書系採用試験の採用予定数 - Yukimushi2015年度国立大学図書館採用試験の採用予定数 - まだ書きさしのを参考に作ってみました。

変更等発見された場合は、コメントにて御教示下されば対応致します。

既に5月24日をもって出願は締め切られ、7月2日(日)が第一次試験の実施日となっています。

7月27日時点の合計は27名です。予定数の多い地区と少ない地区が比較的はっきり表れた年なのではないかと。

7月25日 神戸大学1名→2名に増加 26名→27名(7月27日変更反映)

6月29日 人間文化研究機構1名追加、大阪大学1名→2名に増加 24名→26名(6月30日変更反映)

6月3日 24名

ブロック法人名採用数
北海道予定なし試験未実施
東北東北大学1
東北秋田大学1
関東甲信越筑波大学1
関東甲信越東京大学2
関東甲信越東京海洋大学1
関東甲信越電気通信大学1
関東甲信越信州大学1
関東甲信越人間文化研究機構1
東海北陸静岡大学1
東海北陸名古屋大学1
近畿京都大学2
近畿大阪大学2
近畿神戸大学2
中国四国島根大学2
中国四国岡山大学1
中国四国香川大学1
九州九州大学3
九州九州工業大学1
九州熊本大学1
九州琉球大学1

ソース(各地区試験実施委員会等の「採用予定数」ページ)

北海道地区 http://www.hokudai.ac.jp/jimuk/soumubu/jinjika/saiyo/01_info/0104.html

東北地区 http://www.bureau.tohoku.ac.jp/shiken/090%20saiyou.html#cont01

関東甲信越地区(大学) http://ssj.adm.u-tokyo.ac.jp/recruit/number/29_daigaku/

関東甲信越地区(共同利用機関) http://ssj.adm.u-tokyo.ac.jp/recruit/number/29_kyodo/

東海北陸地区 http://www.sssj.jimu.nagoya-u.ac.jp/shiken02/saiyouyoteisu/

近畿地区 http://www.kyoto-u.ac.jp/siken/examination/yoteisu/index.html

中国四国地区 http://home.hiroshima-u.ac.jp/jinji/shiken/shiken_saiyouyotei.html

九州地区 https://www-shiken.jimu.kyushu-u.ac.jp/07saiyo-yoteisu.html

2017-04-17

山本幸三大臣の学芸員と文化財への発言に関する一考察メモ

 まあ完全に不見識な発言と言う他ありますまい。

 毎日新聞報道がどうも一番詳しいようです。インバウンド:山本地方創生相「学芸員はがん。一掃を」 - 毎日新聞

まあ冒頭からいきなり「講演は滋賀県が主催し、山本氏は「地方創生とは稼ぐこと」と定義して各地の優良事例を紹介」でズッコケる訳ですが、

山本氏は京都市世界遺産二条城で英語の案内表示が以前は無かったことなどを指摘した上で、「文化財のルールで火も水も使えない。花が生けられない、お茶もできない。そういうことが当然のように行われている」と述べ、学芸員批判した。

はもう完璧に論外です。

この毎日の記事の末尾で取材を受けた学芸員が、

「観光のための文化財活用と文化財保護をいかに両立するかが大事な視点だ。観光に重きを置いている最近の国の風潮を象徴している発言だ」

と述べているのはごく一般的な見方で、文化財の活用は常に文化財の保護との相反という問題を抱えている訳で、この文化財の保護という問題が存在することさえ理解していないのではという批判が出来そうな発言です。

文化財保護のために火も水も認めない、というのは極めて真っ当なルールと感覚で、なにせ文化財保護法の出来たきっかけは法隆寺の金堂壁画の焼損焼失事件なのですから、普段先例や法律をやたらと持ち出したがる閣僚が文化財保護法の根本精神を批判している時点で、不勉強或いはそれこそ「不法」と逆に批判されて然るべきなのです。

さて、私の気になったのは、この二条城の英語の案内表示の話です。妙に具体的でしたので、ひょっとすると何か検索で分かるかもと「山本幸三 二条城」で検索してみますと、以下のインタビューがヒット致しました。20年には訪日客数3000万人 | FNホールディング

で関連する部分を引用しますと、

――今後の観光政策で目指していく方向は…。

山本 中国客の「爆買い」だけを当てにしていては、真の意味での観光立国を実現できない。そうではなく、欧州米国豪州からの訪日客などお金をたくさん持っていて、かつ長期滞在で地方に行ってくれる層をターゲットにしていく必要がある。観光で一番お金を使うのは豪州からの訪日客だという。米国欧州からの客も、日本に来ると長期滞在したくさんお金を落としてくれるが、アジアからの客は2〜3日の滞在が多く、都会は賑わうが地方まで恩恵は広がらない。とはいえ、現時点では日本の観光名所も、外国人観光客の増加に十分対応は出来ていない。一例を挙げれば、日本の文化財保護に熱心に取り組んでいるデービット・アトキンソンさんという英国人が、オックスフォード大学を卒業後に初めて京都二条城を訪れた際、説明書きがほとんどなく、各部屋の意味などが全然分からなかったという。つまり二条城でも、英語が出来るガイドを置いて、この部屋で何が行われたと丁寧に説明したり、昔の格好をした人を置いて当時のやりとりを再現したりすれば、観光客の滞在時間も長くなり、たくさんお金を落としてくれるようになる。また宗教界でも、地方の文化財や社寺観光を推進するため、歴史を調べたり、実際に訪れた証拠を御朱印のような形で取得できたりするようなアプリケーションの開発を進めている。

――日本の観光地では、景観整備などの課題もあるが…。

山本 景観を整備するためには相応のお金がかかるため、地方税としてホテル・宿泊税を取り、それを観光推進予算として使うべきだと提案している。他所から来た人から税金を取るので地元住民の負担にはならないというメリットがあり、米国もこの仕組みを取っている。また、日本の文化財・国宝管理においても、せっかくの茶室でも火を使わせないなどの厳しい制限がかけられているが、むしろ文化財国宝を有料で貸すようにすればいい。海外の例で言えば、フランスヴェルサイユ宮殿は2000万円くらいのお金を払えば結婚式を挙げることができ、それなりに利用されている。日本の文化財・国宝ももっと商業ベースの使い方を考えるべきだ。

という具合で、どうも山本大臣が就任前の2015年から観光戦略について有していた、かなり確固たる見解のようです。

でこのデービッド・アトキンソンさん、調べてみますとゴールドマン・サックス等に所属していた元金融アナリストで、その後小西美術工藝社というところで社長をされています。まあ良く言えば文化財関連会社の社長さんということで、あながち文化財の素人とも言えない訳ですが、別に日本文化を専攻していたとか、学芸員としての経験をお持ちとかという訳でもない、単なる経営者に過ぎないとも言えます。

この御方はいくつか本も出されていて、山本七平賞という似非保守言論人御用達の賞も取られております。そういったところで政界にも影響力があるらしく、山本幸三議員のインタビューでも言及されておりますし、内閣の「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」というところでもプレゼンをされています。no title

でこのアトキンソンさんの資料を見ますと、項目名の一つは見事に「文化財の利活用の推進」で、文化財保護の観点ですとか社業でやっておられる文化財修復の御話などはございません。どうも「文化財専門家」というよりはやはり経営者的感覚をお持ちのようで、その点恐らく大臣と軌を一にされているのではと推測致します。

以上、手元の材料だけで考察した限りでも、大臣が文化財行政の根幹を踏まえたというよりも、観光政策上の文字通りの「アイデア」、悪く言えば思いつき程度の考えで学芸員批判した、という構図が浮かび上がってきております。それもその場の思い付きではなく、2015年のインタビュー以来一貫しているのですから、なおたちが悪いと言えるでしょう。日本の学芸員文化財行政の現場についてロクに調査もせず、一情報源の話を引用してそれで結論扱いしている、火を認めないという文化財保護の視点や文化財焼失の危険性については全く論じない、これでは本当に大臣自身がおっしゃるように「稼ぐこと」しか考えず、文化財の後世への保存はどうでも良いと考えている。そしてそれを公言するような政治家が、現職閣僚として文化財政策に介入していると言わざるを得ません。辞表を提出しても何ら驚かないだけの、大した御発言であられたと恐れ入っている次第であります。