中国の裁判は仕組まれたショーのよう 薄氏妻の英国人殺害事件(CNN.co.jpから引用)

日本も中国と変わらないかそれ以下だ。日本の法律ではなく、日米の既得権者の意向の下に検察が動く様は異様だ。

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(CNN) 失脚した政府高官の薄熙来(ポーシーライ)氏の妻、谷開来(クーカイライ)被告に、2年間の執行猶予付き死刑判決(減刑はほぼ確実)が20日に下されたことで、中国では過去数十年間で最も注目された裁判の1つはある種の結末を迎えた。谷被告は、英国人ビジネスマン、ニール・ヘイウッド氏を毒殺したことを認めている。ヘイウッド氏には、同被告の息子と取引上のトラブルがあったとされている。

今回の裁判は、被告人の社会的な地位の高さに加え、殺人や汚職、セックスまで絡んでいることから多くの耳目を集めたが、中国の司法制度についての新情報は何も提供していない。

中国の司法制度は、非常に政治的である。共産党は、不透明なプロセスで主要人事を決定している。裁判官に任期の保証は無く、いつでも解雇されうる。

裁判所は、財務面も含め地方政府の支配下にある。その多くが政府の役人である裁判所長は、審理には参加しないが判決に対して決定権を持つ。そして、通常は裁判に政治家は介入しないが、もし有力政治家の介入があれば、裁判所や裁判官は抵抗出来ない。

谷被告の裁判には、最高決定機関である共産党中央政治局常務委員会からの指令があった公算が大きいだろう。

谷被告の夫で、重慶市共産党委員会書記だった薄氏も、失脚前には常務委員会入りが取りざたされていた。そのため、今回の裁判は、法廷での証拠に基づいた裁判官の判断に任せるには、政治的にあまりにも重要であり、万全を期する必要があった。
薄氏は何をいつ知ったのか、中国の有力政治家は殺人を隠蔽(いんぺい)できるのか、といった疑問も排除しなければならなかった。

谷被告への量刑にも万全を期する必要があった。薄氏は、少なくとも降格前には非常に高い地位にあった。毛沢東後の政治指導部は、政治闘争の敗者を殺しはしないという確固たる慣行を確立しており、その保護を、最低でも配偶者にまで広げるというのは指導部全員の利益に合致する。

谷被告への執行猶予付き死刑判決は予想通りで、通常は、2年後にほぼ例外なく終身刑減刑され、最終的には、15年程度の刑期に短縮されることもある。

ほとんどの中国専門家は、今回の訴訟手続きは、政府公認のストーリー通りになるように厳密にコントロールされており、また、裁判開始以前に北京で判決内容が決められていて、訴訟手続きは一般大衆向けのパフォーマンスだと見ている。

中国の政治や司法制度には、ほとんど変化が見られない。

例えば、刑事裁判は通常、犯罪の発生地か被告人の居住地で行われるが、谷被告の裁判は、合肥市で行われた。重慶市には、潜在的な支援者が多すぎるというのが明白な理由で、政治的判断である。
谷被告は、中国の法律に基づき汚職裁判に経験を持つ弁護士を雇おうとしたようだが、政府に拒否され、刑法の知識があるのかも分からない地元の弁護士に依頼するしかなかった。

中国の法律は、一般的には裁判の公開を求めており、今回の訴訟も公式には「公開裁判」とされている。しかし、傍聴人は慎重に選ばれており、公開裁判だとは全く言えないだろう。

この裁判から得られる教訓は2つある。1つ目は、中国の司法制度は、有力政治家が介入した場合には、政治に直接的に従属するという状況に変化は無いということだ。

2つ目は、この司法制度の現状が、中国社会に広く蔓延(まんえん)しているように見えるシニカルな雰囲気を引き起こしているということだ。中国の司法制度についてほとんど知識を持ち合わせていないような人でも、今回の裁判の結果として何か重要なことが決定されるなどと考えることはないだろう。

中国の司法制度における根本的な変化の兆候を待ち望んでいた人たちは、これからも待ち続けるしかないようだ。
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