2014年10月30日 下林俊典氏 (終了)

日時: 2014年10月30日(木)16:30〜18:00 
場所: 首都大学東京 8号館301号室 
講師: 下林俊典氏(京都大学
題目: 組成非対称な脂質二重膜面上における相分離転移現象:実験と数値計算

要旨: 生体膜には或る特定の脂質種によって構成されるナノスケールの局在ドメインが存在するという「脂質ラフト仮説」が提案された[1]。複数の脂質種から再構成された人工脂質二重膜における液-液共存相に関する多くの研究は、このドメインの背後にある物理化学的な原理に対して実りある結果を与えてきた。しかしながら、測定されるドメインサイズはin vivoとin vitroで大きく異なり、そのメカニズムについてはよくわかっていない。
我々は、人工相分離膜の内膜・外膜における脂質組成を非対称にすることで、完全相分離相が紐状相を経由し、ミクロ相分離相へと転移することを見出した。また、最終的なミクロドメインサイズはサブマイクロスケールに達する事が確認された。本セミナーでは、これらの実験結果に加えて、数値計算結果との対応についても議論したい。

[1] K. Simons and E. Ikonen, Nature 387, 569 (1997).