ネットのバンテージポイントとリアルの世界のバンテージポイント

バンテージポイントは見晴らしのきく地点,よい観戦場所という意味。次に世界で何が起こるかがよく見える,そういった場所で20代を過ごすことで, 試行錯誤の中,自分のキャリアが見えてきたと梅田望夫さんは語っている。


若者はバンテージポイント(有利な場所)でキャリアを磨け

世界で何が起ころうとしているのかが見える場所に行け。シリコンバレーなら、まずはGoogleGoogleがダメだったらApple。いやYahoo かな。Oracleだっていい。シアトルならMicrosoftだな。こういうところは皆、「a great vantage point」((見晴らしのきく地点、よい観戦場所)なんだ。そういう会社で職を得れば、世界でこれから何が起ころうとしているかが皆見える。the next big thingが来たとき、そこに陣取っていれば、見ることができる。


また,今ネットが梅田さんのバンテージポイントになっているのは前半生でリアル世界での試行錯誤や築き上げた人脈・信頼関係の賜物だと述べている。


シリコンバレーからの手紙−場所にいっさい縛られないそんな自由を求めて

たとえばいま私が「ネットに住む」ように暮らして充実した知的生産活動を行なえるのは、前半生にリアル世界でもがき続けて積んだ経験により、「情報を大量に注ぎ込める容器」のようなものが身体の中にできあがっているからである。情報の価値はリアル世界での豊富な経験とあいまってこそ倍加するし、玉石混淆の 情報から質の高いものだけを瞬時に取り込む判断能力も、リアル世界での試行錯誤を経て身につけたものだ。


さて,ネットがバンテージポイントになりうるのは,リアルの世界でのもがき苦しむ経験が必要なのだろうか。受け手の情報を入れる容器としての資質を高めるという意味では,リアル世界での経験は必要だと思う。しかし,情報が集まる場所という意味では,ネットは疑いなくバンテージポイントになっている。リアルの世界のバンテージポイントが限られており,参入障壁が高いという現実がある一方,ネットの世界のバンテージポイントに入る障壁はそれほど高くない。英語力や少しのウェブリテラシーで十分だろう。つまり,ネットの世界のバンテージポイントには,「いなければ損をする」時代なのだろう。