若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

『テス』

テレビで、映画『テス』を見ました。

トマス・ハーディの原作は、イギリス文学の傑作ということになってると思います。

暗くて陰気な話じゃないかと思って読んでませんでした。

映画を見て、予想というか期待というか、それらをはるかに上回る暗さ、陰気さでした。

その暗くて陰気な映画を一気に見たんですから、よくできた映画だと思います。
映画はよくできてるけど、原作がひどい。
英文学の傑作に対して失礼だとは思いますがそう思いました。

頭はよくて美人で頑張り屋のテスが、親にも男にも恵まれず、最後は殺人まで犯してしまうという、ホントに救いのない気の毒な話で、見ててうんざりなんですが、「ウイキペディア」によれば、ハーディという人は、社会改良の意欲に燃えてて、悲惨な話を書いて、読者の関心と同情を集めようとしてたそうです。
だから、これでもかとひどい話を書いたんですかね。

原作がどういう評判か、アマゾンで調べました。
日本では、十数人が評を書いてて、皆さん高評価です。

イギリスのアマゾンでは600人、アメリカでは千人以上が評を書いてて、今も傑作として多くの人に読まれてることがわかります。

ただ、日本とちがうのは、ボロカスにけなしてる人もたくさんいることです。

「読んでて気が滅入る」という人が多いです。
「この時代に生まれなくてよかった」と書いてる人もいます。

あと、英語が古い、読みづらいと書いてる人も多い。

岩波文庫を読んだ人が、「こんな難しい日本語を読まされるなら、英語で読んだ方がましだ」と書いてましたが、原作の英語も今となってはかなりの難物のようです。

時代の制約で、男女関係について具体的にはっきり書けなかったみたいで、イギリスの高校で読まされたという人が、主人公の身に何がおきたのかクラスの半分が理解できなかったと書いてます。

「肝心のことをはっきり書かないくせに、風景の説明や建物の描写だけで何ページも使ってる」とぼやいてる人もいる。

その点映画はいいです。
一目でわかります。

当時の農業労働の苛酷さも、映画では一目瞭然です。
「肉体労働の厳しさ」なんですが、それに「蒸気機関に追い立てられる厳しさ」が加わってます。

バスチァンルパージュというフランスの画家が描いた「疲れ果てた農民」の絵を思い出したんですが、イギリスでハーディの作品の表紙一つにその絵が使われてのをアマゾンで知りました。

で、フランスではどれくらい読まれてるのか気になって、フランスのアマゾンを見ました。
フランス語は読めませんが、何人くらい評を書いてるかはわかります。

で、フランスのアマゾンの「本」のところを見ようと思ったんですが、フランス語で「本」を何というのか知らないことに気付いた。
で、とにかく「tess」と入れてみたんです。
そしたら、女性下着の写真がずらずら出てきました。
なんじゃこれは?

「19世紀イギリス社会のお勉強」という意味では、原作を読むより映画のほうがいいと思いました。