滞っております

お久しぶりです。蔵松敷兵ヱでございます。
更新をいたしませんで、申し訳ありません。最期の履歴を見ますと、もうすぐ丸1年になるんですね。早いものです。なにぶんにも本業の学問が忙しいもので、こちらに手を出せませんもので、どうぞご理解ください。
映画はですね、徳川夢声の「吾輩は猫である」や社長シリーズなど見てはいるのですけれども、レビュー執筆までには至らず。
必ず再開いたしますので、今しばらくお待ちください。

名演!喬太郎「ハワイの雪」

今日は晩の6時半から千日前のワッハ上方にて柳家喬太郎笑福亭三喬2人会。
さて、前座代わりに桂吉之丞くんの「米揚げ笊」、マクラのくすぐりでは多少笑わせるものの、全体的に静かな高座でした。セリフとか声の大きさにもっとメリハリがつくといいように思いますね。いかにも前座らしい高座でした。
お目当ての喬太郎、「猫久」マクラからかなり来ます。今日はCSの収録も同時にあったんですが、うまくネタに使って。肝心の話ですが、やはりうまい。それぞれの人間の演じ方が堂に行ってますな。また、相変わらず古典を喬太郎流に崩す、この手法も見事としか言いようがないですよ。緩急もうまくつけて、笑いどおしの高座でした。
そして笑福亭三喬、「住吉駕篭」上方落語食わず嫌いの蔵松敷兵ヱですが、それなりには面白い。じゃけど、ループがあるんですよね、この噺、同じ繰り返しからの笑い。どんどん噺が展開していくのが好きな私としてはちょっとあれかな、と。また、これは三喬師ではなくて上方古典落語全般に言えることですが、ギャグがえげつないんですわな。そういうところは苦手ですね。でも、お金出して聞くだけの芸ではあります。
仲入りでまた三喬、「子盗人」江戸落語で言うところの「穴どろ」ですわね。もうちょっとすっきり出来るところもあろうけど、秀逸でしたよ。泥棒が赤ん坊をあやすところなんてのはなかなかのもので。
さあ、トリはお目当ての喬太郎、「ハワイの雪」これがですね、本当に空前絶後の出来でした。私が今まで落語を聞いてきてこれほど感動した噺はありませんですよ。前半、というよりもサゲの直前までずっと笑いをとりっぱぱなしなんですよ。ドッカンドッカン受けて。爆笑落語で、このまま笑いを取って落ちでまた笑わせて終わるんじゃないかと思えどもさにあらず。
それがですよ、サゲの直前。照明も落として一気に人情噺風になる。これがまたうまくてね、泣きに持っていくわけですよ。それも、円楽みたいにお涙頂戴を前面に押し出すわけじゃない。筋立てとして上手に持ってくんですよ。後5分、話が長かったら私も落涙しちょったかも知れん。少なくとも終わった時点で目は赤くなッちょったんじゃないかとは思います。
あれだけ笑わせながら同時に泣きにも持っていける、喬太郎おそるべしですよ。まだ40代半ばくらいで若いですし、成長していくでしょうし、すぐに川の向こうに行くという心配もないし、ことによると名人の領域も、ですかね。
感動の落語会、本当によござんした。

落語野郎シリーズ

どうもお久しぶりです。年明けのご挨拶からもう2月の末でございまして、だいぶ間が空きましたですね。やっと大学が春休みになりまして少しばかり余裕がある、ということもないのですがこちらだけの更新を。
昨日から落語野郎シリーズを見ております。「落語野郎大爆笑」「落語野郎大脱線」「落語野郎大泥棒」「落語野郎大馬鹿時代」の4本です。題名に落語野郎とついているだけあって、役の大半を噺家が勤めています。三遊亭歌奴(現圓歌)や桂米丸立川談志月の家円鏡歌丸、司ん馬や馬の助等々であります。主要な役は大体圓歌米丸牧伸二辺りが占めておりまして周りを他の噺家が固めているという構図。
また、これは落語のほうの人しか分からないかもしれませんが、監修が安藤鶴夫。落語評論家で、落語会では大きな権力を持った人です。アンツルが監修とはさすが落語野郎、と分かる人には分かる仕掛けです。
肝心の内容ですが、要所要所に落語のネタが散りばめられていて、分かる人にはそれなりに面白いものであるとは思います。しかしながら全体的に大味で傑作とは言いがたい。あくまで B級作品と思っていただいたほうがよろしいかと思います。
しかしながら、上に上げております中の「落語野郎大馬鹿時代」、これは傑作ではありませんがなかなかの良作ではあります。オープニングが圓歌の名作「授業中」を模したつくりで、どもりの役を円蔵、浪曲児童を圓歌本人がやってまして、好きな人にはたまらない仕掛け。
また、ストーリー自体は商店街と地上げ屋のドタバタと平行して若い2人の恋模様という、ありきたりなものですが、そこそこ。悪くはないよ。
今度時間が出来たら、観賞記に書きましょうかね。
さあ次にお会いできるのはいつの日か、またその日まで。

明けまして

平成20年も無事明けましたようで、おめでとうございます。昨年はサイトの更新が大いに滞りましたることお詫び申し上げます。本年も何回更新できるか分かりませんが、細々とやっていくつもりであります。どうぞお見限りなきよう。
さて今年の予定。まず1月に快楽亭ブラックのDVD「非国民」の発売。これは発禁にならないうちに購入。古典落語「子ほめ」の改作で皇室ネタ「紀子ほめ」に期待。3月に東京浜松町で「川柳川柳喜寿記念落語会」川柳師はうちのおばあさんと同い年じゃからね、生きているうちにしっかり見ちょかんと。また、同月あたりに大阪だか名古屋だかで三遊亭白鳥も。2月になんばのトリイホールで無声映画の会。憧れの澤登翠先生が弁士を務めるらしく、招待券も貰えそうなのでほぼ確定。作品は番場の忠太郎。いざとなったら弁士の弟子入りでもしようかね。
とりあえず目先のこととして、今日の午後はBS2の昭和なつかし亭、明日は10時間時代劇、その後に雪之丞変化あんみつ姫、新春歌舞伎、その他諸々テレビを見て過ごすんでしょうな。NHKの初笑い東西寄席も見にゃならんのう。大晦日の年忘れ漫才競演は見忘れてしもうたで、こちらは是非にも。
とにもかくにも皆さんのますますのご発展ご健康ご多幸をお祈り申し上げます。
本年も皆々様にとってよいお年になりますように。

14日なのに

忠臣蔵がありません。そりゃCSなんかではやってるんでしょうけども、地上波でやらねば意味がないのです。地上波でやって、老若男女「ああ、忠臣蔵だなあ。もう年も暮れるんだのう」と思わねばならないのです。そうやって文化を守ってこそ時代劇の発展もあるのです。
近いうちにNHKの木曜時代劇は30分に縮小され、朝日放送は時代劇枠そのものがなくなります。残念なことですが事実です。困ったことですな。

元禄忠臣蔵

少しづつ見ています。まとまった時間が取れりゃいいんですが、本職の学業が忙しくてどうにも相済みませんことでございます。
この作品は戦中に作られたものでありまして、最初のタイトルの後に「情報局なんたら作品」と思わず最敬礼をしたくなるような文言が出てまいります。時代ですね。
メモ書き程度ですが、印象に残った点。前編の終盤ですが、浅野大学による御家再興が成功しそうになって大石があわてる場面。あれいいですね。ただの口実、成るはずもないことが現実にならんとする。こういう忠臣蔵のストーリってのは他ではなかなか見られませんね。ほとんどは予定調和で御家再興は☓という。
断言してはいけませんが、同じ題材を使いまわすのが時代劇です。少なくとも定番ものといわれるのでは。で、そういったのは日本国民みんながそのストーリーは知っているという状態ですね。忠臣蔵なんてのはその代表例です。そのみんな知っている話をいかに違った角度から、違った見方から新鮮味を持たせて脚本を書くか。これが時代劇の醍醐味じゃないんでしょうかね。忠臣蔵なら忠臣蔵で数々の巨匠が書いているわけです。その同じ土俵に立って同じ忠臣蔵という題材で自らも書く。それができるのは時代劇だけだと思いますよ。新作じゃあなかなか。
話がずれました。まあ、忠臣蔵はやはり面白い、と。

一から三へ

林家一平が林家三平を襲名するらしいですよ。どうなんでしょうね。
蔵松としての考えですと、こぶ平が三平を継いで、そこからまた10年なりして精進次第で正蔵というのがいいと思ってたんですよ。でも正蔵襲名してしまいましたからね、もうどうしようもない。
それはそうとして一平の三平襲名、まだ早いんじゃないのかね。まあ、そういう名跡ではないというのはそうなんでしょうけど、なんか違う気がするんですよね。
それぞれの家に名跡の管理権がある、というのが問題なんでしょうか。協会による名跡一元管理とかできないものですかね。