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2010-04-29 近未来SF経済スペクタクル(時代劇ファンも必見!)

shimizu43102010-04-29

[][]徳川家広バブルの興亡 日本は破滅の未来を変えられるのか』

バブルの興亡 日本は破滅の未来を変えられるのか (講談社BIZ)

バブルの興亡 日本は破滅の未来を変えられるのか (講談社BIZ)

未曾有の大暴落は、いつ日本人を襲うのか?

欧米金融マフィア精通した著者が、病んだ資本主義の終末を予言


「危機の2年後には、必ずバブルが来る」

バブル発生とその崩壊は、絶対に防げない」

歴史上の四大メガバブルをじっくり分析した著者は、

そこから「バブル経済のサイクル」をくっきりと浮かび上がらせる。

そして、それを大不況の現代に当てはめ、何と2011年から12年に、

日本に未曾有の巨大バブルが発生することを明らかにしてゆく。


さらに、そのバブルが崩壊した後は、

廃墟経済」としか言いようのない状況になり、

銀行は大量に破綻し、企業連鎖倒産し、

日本不動産中国人ロシア人が買いあさる。

失業率は30%を超え、売春凶悪犯罪感染症が激増して、

先進国としての日本」は完全に終焉する――。


世界経済と金融のダイナミズムを知り尽くした

徳川将軍家直系19代目の著者が、ついに緊急書き下ろし

amazonの紹介より)


ふだんなら、まず絶対に手にしないジャンルのこの本を

わざわざ図書館で探して読んでみたその理由は……

先輩だからです(笑)

類稀なるストーリーテラーとしての才能が存分に発揮されていて、

近未来SF小説として読んでも面白いですハイ!


本編(?)は大体上記のような物語なんですけど、

さすがだなーと思ったのは、

この「結末」を決して「悲惨な末路」として捉えていないんですね。

廃墟経済」になっても、仕事日本からすべて消えることはない。ただ、求められる能力のわりに報酬の高い「おいしい仕事」が消滅するだけのことだ。その結果、「格差社会」と言われている現在日本の、さしたる根拠もなく恵まれてしまっている層が大打撃を受けるのである。同じ労働であれば報酬は同じになり、労働市場はわかりやすい能力主義へと移行していく。人々の労働意欲生産性は、全体として向上するのではないか。(p.266〜267)

うーん。達観してますねー。


で、このスタンスはどこから来るかというと、

私は徳川将軍家の直系として生まれ育ったため、江戸幕府の瓦解と大日本帝国の崩壊という、普通に考えればすでに歴史上の出来事となっている二つの国家体制の滅亡を、まるでわが事のように感じながら生きてきた。これは一面ではなかなか辛いことなのだが、おかげで、超悲観論としか言いようのないシナリオをわりと冷静に考えられるようになったのは、プラスだったと思う。(p.269)

さすがは大政奉還してきたお家です。

つまり、「マネー敗戦 (文春新書)」どころじゃない、

マネー大政奉還」だってどんとこい!という姿勢

すがすがしいですね。「そりゃそうだ!」と江戸の町民も納得です。

台風の後に晴れわたった夏の空が出てくるような読後感。

いっそ映像化するといいんじゃないでしょうか!

何年かおきに経済モノにチャレンジする東映あたりで

映画化を検討してくれないかなあ。

(「暴れん坊将軍」もやってたんだし)


あと、こちら↓の映画版ポール・グリーングラス監督!)の

字幕翻訳もされているそうなので見なくちゃです。

2009-05-17 第二回「市川ジュンまつり」!

shimizu43102009-05-17

[][]市川ジュン『鬼国幻想(上/下巻)』

鬼国幻想 上 (LGAコミックス)

鬼国幻想 上 (LGAコミックス)

鬼国幻想 下 (LGAコミックス)

鬼国幻想 下 (LGAコミックス)

後醍醐天皇大塔宮護良親王北条家や足利兄弟が割拠した南北朝の争いを

ある姉妹の長い長い愛憎劇として料理してしまう豪腕に脱帽!

美形キャラ化された足利直義さんのほのかなMっ気が

男子から見てもステキでした(苦笑)


茗子センセーション (MF文庫)

茗子センセーション (MF文庫)

などの現代ものも含めて、どんな時代を舞台にしていても、

基本的には「目つきの強いヒロイン」があらゆる敵を打ち負かし、

美形男どもと丁々発止する……というパターンは共通していて、

それがまた面白かったりします。

今後は自由民権運動とか『実録日本共産党』(by笠原和夫さん)とか

東條内閣打倒とか日本赤軍(starringフーちゃん)とかの漫画化も

お願いしたい気がします…もちろん「ヒロインもの」として!!

2009-03-26 「アイ・アム・ジャパニーズ・トランペット」

shimizu43102009-03-26

[][]浜野保樹『偽りの民主主義 GHQ・映画・歌舞伎の戦後秘史』

偽りの民主主義  GHQ・映画・歌舞伎の戦後秘史

偽りの民主主義 GHQ・映画・歌舞伎の戦後秘史

今月末で休館する日比谷図書館

たまたま見つけた本ですけど、

すごーーーーーーく面白かった!

題名の『偽りの民主主義』はちょっとハッタリ効かせ過ぎというか、

中身は『“オキュパイド・ジャパン”芸能秘録』といった印象。

大河ドラマにできそうなボリュームですので

各章と主要人物を列挙しておきますと……

第一章 日本映画最大の悪役(デヴィッド・コンデ)

第二章 「戦争をやる価値がある」(ボナー・フェラーズ)

第三章 『七人の侍』の原風景(東宝争議)

第四章 歌舞伎一斉に消ゆ

第五章 歌舞伎の救世主(フォービアン・バワーズ"伝説")

第六章 『羅生門』と黒澤明(映画芸術協会と大映)

第七章 グランプリとストラミジョーリ(イタリフィルム、本木荘二郎)

第八章 日本映画が輸出産業のホープ(『地獄門』、東南アジア映画祭、TOHO CINEMA)

第九章 日本映画敗れたり(『いついつまでも』『アナタハン』他)

第十章 アメリカ映画は娯楽の王様(蓄積円と合作映画)

第十一章 逃亡制作の急増(『ローマの休日』『東京ファイル212』他)

第十二章 『蝶々夫人』はもう沢山(『八月十五夜の茶屋』『トラ・トラ・トラ!』他)

第十三章 俺は映画の殉教者(永田雅一から徳間康快へ)

第十四章 疵(長谷川一夫)

第十五章 アズマ・カブキの海外公演(吾妻徳穂)

第十六章 ガルボのラブレター(松尾國三、中村歌右衛門、三島由紀夫ほか)

『虎の尾を踏』んだ黒澤明さんが『トラ・トラ・トラ!』で挫折するまで

要所要所で登場したり、

読売争議で活躍した徳間康快さんが大映再建で不意に現れたりというように

様々な人物が時代を越えて登場する、

まさに大河ドラマみたいな語り口が面白いです。

日本円の国外持ち出し制限で生まれた「蓄積円」や

ハリウッドのユニオン対策としての「ランナウェイ・プロダクション」から

いわゆる<変な合作映画>が続々と生み出されたことなど、

映画史テリトリーではなかなか知ることのできなかった話が新鮮でした。


で、全編に出没して場を盛り上げるのが

「アイ・アム・ジャパニーズ・トランペット」こと永田雅一さん!

CIEのコンデ氏を共産主義者と認識して

「永田流の京都でのもてなし方」として

河上肇さんに会わせようとするのから始まって、

昭和45年の東京スタジアムでの胴上げ*1まで

ケッサクな言動のオンパレード。

特に、『羅生門』の試写の後のコメント

………………………………………………………………

……………………(約3分間の沈黙)……………………

………………………………………………………………

……なんやようわからんけど、高尚なシャシンやなあ!

は、今でもある種の映画に応用できそうな名句でしょう。

その生涯を通しての言動の無責任さは植木等主演映画級!

ムヤミな義侠心、ムダな男気に感涙必至です(笑)

渡米したアズマ・カブキ一行に若富・勝新兄弟が参加していたり、

大学生ジョン・ミリアスくんがロスのTOHO CINEMAで黒澤作品に出会ったり

張藝謀さんが『君よ憤怒の河を渉れ』を下放先の野外上映で見ていたり

(スクリーン手前側に1万人、スクリーン裏側に8000人いたそうです)

という「なるほど!」なエピソードがあちこちにちりばめられていて

よくぞ調べました!編集しました!という面白さ。

(ところどころでちょっと筆が滑り過ぎてる気もしますが-笑-)

大映創立70周年でも大映テレビ独立40周年でも結構ですので

ぜひともドラマ化してください!

2009-02-08 ”まんが”じゃない漫画の誕生…『げきが道』!

shimizu43102009-02-08

[][]辰巳ヨシヒロ『劇画漂流 上巻』

劇画漂流 上巻

劇画漂流 上巻

昨年新刊を目にして以来*1

読みたいなー、でも定価が…と思っていたら

またもやブックオフにて半額で遭遇!ありがとうS店!


上巻は「漫画少年」投稿世代の興隆から

漫画のヌーヴェルヴァーグ=劇画的表現の胎動までが

辰巳兄弟(ヨシヒロさん&兄の桜井昌一さん@水木キャラ

の青春期とともに語られていくんですけど、

なんといっても魅力的な舞台が「日の丸文庫」!

目の下にクマがある秀三社長とステテコ&腹巻姿の喜一専務(上図)、

アクの強い山田兄弟が社を構える船場の雑居ビル「安二ビル」に

若い作家たちが続々と集まってくる展開にワクワク。

特に好きなのが21話、映画的なコマ運びを模索し始めた主人公と

映画好きの専務とのこの会話↓

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こういう環境が「劇画」誕生の源になっていったことを伺わせて

いいですね〜(『彼奴を逃すな』という映画のチョイスも最高!)

ああ〜下巻が楽しみです(ブックオフS店に期待します…)


ところで「日の丸文庫」で仕事した作家さんを調べてみると

さいとうたかを、松本正彦、佐藤まさあき、水島新司、山上たつひこ、山松ゆうきち、政岡としや、巴里夫(いそじましげじ)、高橋真琴、篠原とおる、K・元美津、石川フミヤス、影丸穣也、山森ススム、梅本さちお、望月あきら、平田弘史、本宮ひろ志

という錚々たるメンバーが並びますし、

同時期に関西では横山光輝さんや楳図かずおさん、

徳南晴一郎さん、川崎のぼるさんたちも活動されていた訳ですから、

こうした貸本漫画全盛期をどなたかにドラマ化していただきたいですね。

在阪の製作者さんが「大阪劇画水滸伝」的に映像化してくださることを熱望!

文化史に疎そうでいらっしゃる某橋下知事の"教育"のためにも…!

2008-07-03 実話系いろいろ。

shimizu43102008-07-03

[][]長谷邦夫『マンガ編集者狂笑録』

マンガ編集者狂笑録 (水声文庫)

マンガ編集者狂笑録 (水声文庫)

最初はマンガ編集者の評伝だとばかり思ったんですが、

読んでみたら、戦後から現代までの漫画発展史がよくわかる

バランスのよい人選をモチーフにした「勝手に小説化」でした!

(モデルのご本人は読むのがコワいでしょうが……)

長井勝一(青林堂「ガロ」)

加藤謙一(講談社「少年倶楽部」、学童社「漫画少年」)

松坂邦義(研文社、わかば書房ほか)

丸山昭(講談社「少女クラブ」)

壁村耐三(秋田書店「まんが王」「週刊少年チャンピオン」)

峯島正行(実業之日本社「週刊漫画サンデー」)

内田勝・宮原照夫(講談社「週刊少年マガジン」)

長野規(集英社「週刊少年ジャンプ」)

長崎尚志(小学館「ビッグコミックスピリッツ」ほか)

モーゼルの勝ちゃんが闇市の改造本で"編集開眼"したり

学童社の家族経営がやたらに感動的だったり

漫画サンデー峯島氏は小粋な(架空)対談だったりと、

いずれも読みでたっぷりな9編ですが、

特に全編一人称でクダを巻く壁村耐三氏には

タイゾーファン感涙。

(写真をお見かけしたこともないので、

 吾妻ひでお先生の『失踪日記』↑を引用しました)

連続ドラマの原作にぜひ!(「銀河テレビ小説」が健在だったら…)


[][]宮崎学『近代ヤクザ肯定論』

近代ヤクザ肯定論―山口組の90年

近代ヤクザ肯定論―山口組の90年

大正時代の沖仲仕から港湾荷役へ、同時に土建業、芸能興行、

そして現在の多様な「(負の)サーヴィス業」へ進出する様子が

宮崎せんせい得意のマル経論法でエネルギッシュに語られていて

「あの世界」の発達史としても山口組の"社史"としても面白かったです。

ホントなら『社葬』や『陽はまた昇る』みたいな

東映ビジネス路線で映画化していただきたいところですが、

あるいはミュージアムさんで……(もうしてるか)

浜野 蟹浜野 蟹 2008/07/04 01:04 せんせいの特集の最終日には、エロジジイトーク…じゃなかった、偉大なる脚本家の有難いお話を拝聴しに行く予定です。ほほ。

43104310 2008/07/05 01:03 おお!ラピュタは明日が最終日ですね。
http://www.laputa-jp.com/
永遠のプリンス・白坂せんせいの雄姿を存分に鑑賞されることを期待します。
(せんせいの女性ファン層も気になるなあ)