Hatena::ブログ(Diary)

さくら通り法律事務所

2014-03-04

特定秘密保護法に関する質問事項(1)

 情報保全諮問会議では、いま、メンバー7人と事務局の秘密保護法
条文の解釈・理解を共通にするために、メンバー全員から質問事項を
事務局に提出し、事務局が質問事項をまとめ、これに回答するという
作業をしている。回答はまだ届いていないが、回答に疑問があればさらに
質問事項を提出し、事務局に回答してもらう。
 それから、秘密保護法の別表事項の細目化や適性評価制度の調査項目
などについて突っ込んだ検討をすることになる。
 以下は、わたしが先週、事務局に提出した質問事項だ。
 細かいと思う人もいるだろうが、情報管理は多くの人が携わることに
なるので、その基準はなるべく疑問点は解消しておいた方がいいのだ。

第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の
確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク
社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全
保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を
保障することをいう。以下同じ。)に関する情報のうち特に秘匿すること
が必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で
収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の
保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定める
ことにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の
確保に資することを目的とする。

【質問事項】
1 「我が国の安全保障」についてはカッコ書きで「(国の存立に関わる
外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。
以下同じ。)」と定義しているが、2条以下及び別表における「安全保障」
についても同様の定義でよいのか。
2 「侵略等」の「等」はどのような場面を想定しているのか。
3 「これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び
活用することが重要である」とあるが、これは公文書管理法の見直しを
考えていると理解してよいのか。どのような見直しが必要だと考えている
のか。
4 「我が国の安全保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して
国家及び国民の安全を保障することをいう。以下同じ。)に関する情報の
うち特に秘匿することが必要であるもの」が別表の1号乃至4号に共通
するという理解でよいか。


(定義)
第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣
の所轄の下に置かれる機関
二 内閣府宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)
第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち、国家
公安委員会にあっては警察庁を、第四号の政令で定める機関が置かれる
機関にあっては当該政令で定める機関を除く。)
三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定
する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令
で定める機関を除く。)
四 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年
法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び
第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の
特別の機関で、警察庁その他政令で定めるもの
五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の
機関で、政令で定めるもの
六 会計検査院

【質問事項】
1 第二号の「内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条
第二項に規定する機関」とは、具体的に何を指しているのか。
2 第2条に掲げられている行政機関において特定秘密に相当する情報が
存在するか否かについて調査したか。調査したとすれば、その結果はどう
であったか。


第二章 特定秘密の指定等

(特定秘密の指定)
第三条 行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあって
は当該行政機関をいい、前条第四号及び第五号の政令で定める機関(合議制
の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第十一条
第一号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる
事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が
国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが
必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年
法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを
除く。)を特定秘密として指定するものとする。ただし、内閣総理大臣
第十八条第二項に規定する者の意見を聴いて政令で定める行政機関の長に
ついては、この限りでない。

【質問事項】
1 「公になっていない」という制限については、秘密指定の対象となる
情報であるから、公になっていないことが当然の前提である。しかし、情報
公開制度の運用実務では、公開対象の新聞記事の中に個人名や個人の姿写真が
あると、「個人識別情報」として非公開処分がなされ、裁判所もこれを追認
している。これらの情報は実施機関が「公表公開していない」というのが理由
である。これだと、「だれもが知っているようなことでも、行政機関が公表
公開していないのだから、「公になっていない」情報だ」と、裁判所が判断
する可能性がある。国民にとって何の秘密でもないことが「秘密」になると
いう馬鹿げた事態が起こり得る。本法律の条文解釈としては、どのようになる
のか。
2 「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、
特に秘匿することが必要であるもの」は、「著しい」「特に」によってかなり
の絞り込みがなされているように読めなくはないが、「その(情報の)漏えい」
が「我が国の安全保障」に「支障を与えるおそれがある」という状態を具体的
に想定することがきわめてむずかしい。どのような場面を想定すればよいのか。


2 行政機関の長は、前項の規定による指定(附則第五条を除き、以下単に
「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する
記録を作成するとともに、当該指定に係る特定秘密の範囲を明らかにするため、
特定秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるもの
とする。
一 政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、
電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することが
できない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは
物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、
当該表示の記録を含む。)をすること。
二 特定秘密である情報の性質上前号に掲げる措置によることが困難である
場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を
受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。

【質問事項】
1 秘密指定記録は、特定秘密の管理上、必要不可欠である。現在、防衛省
その他秘匿性の高い情報を管理している省庁では、どのようなものを作成して
いるか。
2 秘密指定の表示は、現在、どのように行われているのか。


(指定の有効期間及び解除)
四条 行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年
を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。

【質問事項】
1 防衛省等で現在行っている秘密指定期間はどうなっているか。
2 「5年を超えない範囲」としているが、1年、2年、3年などの単位の
区分けは可能か。


4 前項の規定にかかわらず、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務
を全うする観点に立っても、なお指定に係る情報を公にしないことが現に我が
国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、
その理由を示して、内閣の承認を得た場合(行政機関会計検査院であるときを
除く。)は、行政機関の長は、当該指定の有効期間を、通じて三十年を超えて
延長することができる。ただし、次の各号に掲げる事項に関する情報を除き、
指定の有効期間は、通じて六十年を超えることができない。
一 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。別表第一号
において同じ。)
二 現に行われている外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)
政府又は国際機関との交渉に不利益を及ぼすおそれのある情報
三 情報収集活動の手法又は能力
四 人的情報源に関する情報
五 暗号
六 外国の政府又は国際機関から六十年を超えて指定を行うことを条件に提供
された情報
七 前各号に掲げる事項に関する情報に準ずるもので政令で定める重要な情報

【質問事項】
1 一号に「武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。
別表第一号において同じ。)」とあるが、これらの物はいずれも商品として世界中
で取引されるものであり、特定の国だけで秘匿できるものではないのではないか。
武器商人は、自分の商品を売り込むためにその性能を詳細に相手側に説明するで
あろうし、相手の購買意欲を引き出すために、どこの国や集団が購入しているかを
説明するかもしれない。軍事目的の航空機や船舶についても同様である。それ
でも、60年を超える秘匿性があることがあり得るというのは、どのような場面を
想定しているのか。
2 二号に「現に行われている外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下
同じ。)の政府又は国際機関との交渉に不利益を及ぼすおそれのある情報」と
あるが、「現に行われている」という絞り込みはどれほどできるのか。同時に、
「不利益」とは何か。「及ぼすおそれ」とはどのような状態を想定しているのか。
どのような場面を想定しているのか。
3 三号に「情報収集活動の手法又は能力」とあるが、このような事項は大きく
変化して行くものではないのか。60年を超えて秘密にしておく高度の必要性が
あるのか。どのような場面を想定しているのか。
4 四号に「人的情報源に関する情報」とあるが、「人的情報源」が日本語として
不明確である。情報源となる人、いわゆるスパイを指すのか。
5 五号に「暗号」とあるが、暗号は頻繁に変更するのが常識だ。積極的に公開
すべき事項ではないだろうが、60年を経過しても秘匿性の高い情報として管理
する必要があるものなのか。
6 六号に「外国の政府又は国際機関から六十年を超えて指定を行うことを条件に
提供された情報」とあるが、ここにいう「条件」は当該情報を「提供された」
ときに付けられたもののはずである。そうだとすると、その後のときの経過によって
当該外国政府や国際機関の評価判断は変更になっている可能性があるし、さらに
60年経過した時点であれば変更している可能性は大いにある。したがって、当該
外国政府や国際機関と秘密指定の解除に向けた交渉、確認がなされるべきでないか。
その点はどのように考えるのか。
7 七号に「前各号に掲げる事項に関する情報に準ずるもので政令で定める重要な
情報」とあるが、「準ずる」ものとは具体的にどのような情報を想定しているのか。
8 「内閣の承認」は政治上極めて重い。しかし、閣議の議事録は公表されて
いないどころか作成さえされていない。これでは十分に検討されたことが記録上も
残らない。情報公開の時期や条件はともかく、議事録を作成すべきではないか。
この点の検討はしているのか。


6 行政機関の長は、第四項の内閣の承認が得られなかったときは、公文書等の
管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第八条第一項の規定にかかわらず、
当該指定に係る情報が記録された行政文書ファイル等(同法第五条第五項に規定
する行政文書ファイル等をいう。)の保存期間の満了とともに、これを国立公文書館
等(同法第二条第三項に規定する国立公文書館等をいう。)に移管しなければならない。

【質問事項】
 本条では、公文書管理法8条1項の規定を適用しないで、「保存期間の満了と
ともに、これを国立公文書館等(同法第二条第三項に規定する国立公文書館等を
いう。)に移管しなければならない。」としている。保存期間が満了すれば速やかに
廃棄すべきことになるところを、本条では、保存期間が満了したことを理由に廃棄
してはならず、国立公文書等に移管することを義務づけた。これにより恣意的な
廃棄を排除する効果が期待される。国立公文書館等に移管された後は、国民は
これらの情報について利用請求することができるが、広範な利用制限(第16条
第1項)があるので、必ずしも閲覧できるわけではない。この点に関する公文書
管理法の規定を見直すことを予定しているのか。
 

7 行政機関の長は、指定をした情報が前条第一項に規定する要件を欠くに至った
ときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を
解除するものとする。

【質問事項】
1 このような規定がなくても、行政機関の長としては秘密指定の必要がなく
なれば、いつでも指定解除することはできたのではないか。できたとすれば、
実際にそのような運用はなされて来たのか。来ていたとすれば、その実情を
明らかにされたい。
2 指定解除と同時に廃棄処分ができてしまうのでは、指定解除は無意味である。
秘密指定期間をこえる保存期間の設定を義務づける必要があるのではないか。


(特定秘密の保護措置)
第五条 
2 警察庁長官は、指定をした場合において、当該指定に係る特定秘密(第七条
第一項の規定により提供するものを除く。)で都道府県警察が保有するものが
あるときは、当該都道府県警察に対し当該指定をした旨を通知するものとする。

【質問事項】
 「指定した場合」とは、すでに警察庁が保有している情報があることを前提に
都道府県警察に指定通知をするのか。警察庁が保有していない情報についても
都道府県警察に対して指定することができるということか。その指定方法はどの
ようになるのか。すでに事実上行っているのであれば、どのように行っているのか。


5 前項の契約には、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことが
できることとされる者のうちから、同項の規定により特定秘密を保有する適合
事業者が指名して当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる代表者、代理人、使用人
その他の従業者(以下単に「従業者」という。)の範囲その他の当該適合事業者に
よる当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について定める
ものとする。

【質問事項】
1 「従業者の範囲」は部署や肩書を指すのか、個人の氏名まで特定するのか。
後者であれば、「従業者」の一部に変更があるたびに契約書を書き換える必要が
ある。第5章の適性評価は、「従業員」について行うものとされていることから
すると(12条1項1号参照)、代表者、代理人、使用人その他の従業員を個別に
特定して範囲を契約書に記載することになるのか。
2 「その他の当該適合事業者による当該特定秘密の保護に関し必要なものと
して政令で定める事項」として、どのような内容を想定しているのか。現在の
自衛隊法施行令第113条の5(契約業者における防衛秘密の取扱いの業務)
では次のように規定している。これに類する規定を設のであれば、契約条項に
して、これを実行させればよいのではないか。これまでの運用で深厚な支障が
存在したか。あったとすれば、どのようなものだったか。

投稿したコメントは管理者が承認するまで公開されません。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/shimizulaw/20140304/1393941561