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さくら通り法律事務所

2014-03-05

秘密保護法に関する質問事項(3)

第五章 適性評価

【質問事項】
1 過去の漏えい事案から考えると、公的情報の適正な管理と情報保全システム
の適正化によって基本的に再発防止はできるのではないかと考えられるが、どの
ような場合がこれらによる対応では不十分なのか。
2 適正評価制度を積極的に採用する理由は、一定の事項について個人情報を
集めると、対象者の情報漏えいの危険度が客観的に計れるということか。
3 適性評価精度は、公的情報の適正な管理や情報保全システムの適正化と相互に
関連づけて対応する必要があるのではないか。現在、どのような組み合わせとして
考えているのか。


行政機関の長による適性評価の実施)
第十二条 行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、
その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことに
ついての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。
一 当該行政機関の職員(当該行政機関警察庁である場合にあっては、警察本部長
を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第五条第四項若しくは第八条
第一項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特定秘密を保有し、
若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取扱いの
業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者に
ついて直近に実施して次条第一項の規定による通知をした日から五年を経過して
いない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らす
おそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められる
ものを除く。)
二 当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、
若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取扱い
の業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について直近に実施した適性
評価に係る次条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定
秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者
三 当該行政機関の長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務
を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該
おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの

【質問事項】
1 現在行っている省庁と人の範囲はどうか。
2 警察においてもすでに行っているのか。
3 すべて一律に同じ内容の調査項目になっているのか。
4 適性評価の結果、警察本部長が不適格と判断される場合が起こり得るのでは
ないか。その場合、警察本部長は特定秘密について関与できなくなるということか。
5 5年単位とする根拠は何か。合理性があるか。
6 「引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情」を
行政機関の長はどのようにして知ることができるのか。
7 「引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情」を
行政機関の長は、実際にどのようにして知ることができるのか。


2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、
次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。
一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に
支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤
若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬する
ことができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは
貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入する
ための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国
及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号に
おいて同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは
他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、
又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)
との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、
事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、
子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号に
おいて同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有して
いた国籍を含む。)及び住所を含む。)

【質問事項】
1 「特定有害活動」はいわゆるスパイ活動だと説明されているが、「特定有害活動」
の定義(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与える
おそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤
若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット
若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられる
おそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動
であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、
又は害するおそれのあるものをいう。)は、国際的に共通する内容か。諸外国の秘密
保護法制で「スパイ活動」を定義しているか。しているとすれば、どのような定義に
なっているか。
2 「特定有害活動」はかなり曖昧な概念になっているが、この概念内容を危険視
する根拠事実ないし背景事情をできるだけ明らかにしておかないと、その内容が曖昧に
拡大してしまう危険性がある。この概念内容を危険視する根拠事実ないし背景事情は
どのようなものか。
3 「特定有害活動との関係に関する事項」は、どのような項目を想定すればよいのか。
4 テロリズムの定義(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人に
これを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な
施設その他の物を破壊するための活動をいう。)は、自衛隊法81条の2に規定されて
いる文言とほぼ同じだが、これは自衛隊の施設等の警護出動の要件を規定しているので
あって、「テロリズム」を定義した条文となっているわけではないのではないか。本
法律の「テロリズム」の定義規定は国際的に共通する内容か。国際テロ対策を諸外国
と連携して対応するという考え方を採用しているのであれば、諸外国の定義と共通に
する必要があるのではないか。諸外国の秘密保護法制では「テロリズム」をどのよう
に定義しているか。
5 「テロリズム」はかなり曖昧な概念になっているが、この概念内容を危険視する
根拠事実ないし背景事情をできるだけ明らかにしておかないと、その内容が曖昧に
拡大してしまう危険性がある。この概念内容を危険視する根拠事実ないし背景事情は
どのようなものか。
6 「その他の主義主張」はどのようなものを考えればよいのか。
7 「国家に強要する」というのは具体的にどのような場面を想定しているのか。
8 「他人に強要する」の「他人」の人数には下限がない。どのように考えればよい
のか。
9 「重要な施設」は具体的にどこまで限定されるのか。「その他の物」はどのよう
に限定するのか。
10 本法律は特定秘密の漏えいだけを問題にしているが、サイバーテロは秘密保護の
問題ではないという問題意識なのか。


二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項

【質問事項】
1 秘密情報の漏えいの危険性との関連性はどのようなことか。
2 「犯罪」「懲戒」の種類や過去をどこまで遡るのか。「犯罪」の経歴には逮捕歴
を含むのか。在宅事件の起訴猶予も含むのか。
3 「懲戒」は、公務員については国家公務員法地方公務員法の懲戒処分に限定する
のか、それより軽い訓戒や注意処分などは入らないのか。


三 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項

【質問事項】
1 「情報の取扱いに係る非違」がある者に、特定秘密を取り扱わせることは問題
だと考えられなくはない。しかし、失態の真実の原因が常に明らかになるわけでは
ない。組織内の弱者が責任転嫁をされる危険があることからすると、過去の非違の
認定が的確であったことを前提にしなければならない。この前提をどのように確保
するか。
2 実際に非違の経歴があったとしても、どれほど過去のものかによっても、現在の
適性に影響ありと評価すべきではないし、当該非違によって問題を深刻に受け止め、
適正管理に対する姿勢が著しく向上することもあり得るから、この点への配慮は不可欠
である。配慮しないのか。配慮するとすれば、どのように配慮するのか。


四 薬物の濫用及び影響に関する事項

【質問事項】
1 現に薬物を濫用している状態であれば、特定秘密の取扱い者としての適性以前に
通常業務に明らかな支障を生じているのではないか。そうであれば、適性評価の対象者
にする以前の問題ではないのか。
2 「薬物の濫用及び影響に関する事項」としている。薬物の影響に関する事項と
言った場合、合法的に治療として処方されている薬物にもさまざまな副作用がある。
眠気による注意力減退という症状はよくあり、ミスを犯す遠因にはなりうるが、この
ような「影響」も問題にするのだろうか。
3 「影響」の内容を具体的に限定する必要があるのではないか。どのように限定
するか。


五 精神疾患に関する事項

【質問事項】
1 精神疾患も広い概念である。特定秘密を漏えい(過失による場合も含め)の
おそれがある精神疾患とはどのようなものか具体的に示すことができるのか。
2 自覚症状があって治療を受けているものもあれば、自覚症状はあるが治療を受けて
いないもの、「精神疾患」でありながらそのことを自覚していないものもいる。見落とし
のないように取扱い予定者全員について精神疾患の有無を徹底的に調査するとすれば、
きわめて問題である。どのように考えればよいのか。


六 飲酒についての節度に関する事項

【質問事項】
1 飲酒の節度は飲酒をするすべての者について問題になり得る。それでは広過ぎるの
ではないか。
2 飲酒の席で口が軽くなって重要な情報が漏えいする危険があるということが問題
なのであろうが、そうだとすれば、そのような危険は、飲酒をすると常にすぐに眠って
しまうか全くの無口になってしまう者でないかぎり、だれにでも起こり得ることである。
だれについても詳細に調査するということになるのか。


七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項

【質問事項】
 借金状態、経済的困窮状態や生活の派手さ加減などを問題にしているのであろう。
預貯金の実態や借金の詳細などを資料として提出させるのか。そうだとすれば、私生活
の実情を監視されているのと変わりないことにもなるのではないか。


3 適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者
に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。
一 前項各号に掲げる事項について調査を行う旨
二 前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは
資料の提出を求めさせ、又は照会して報告を求めることがある旨
三 評価対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨

【質問事項】
1 これまで事実上行われてきた調査では、本人の同意を得ていたのか。同意を得ていた
のだとすれば、どのようなことが行われているのか。
2 一号は、「前項各号に掲げる事項について調査を行う旨」と規定しているが、1号
ないし7号の条文がそのまま書かれているのか、各号についてどのような事項を質問する
のか具体的に示すのかでは、任意の同意と言えるか否か全く異なる。前者では単なる条文
の確認であって、あえて同意を得る意味がない。どのように考えればよいのか。
3 評価対象者への質問、資料提供の要求は、本人に対するものなので、1号の内容が
具体的に明らかにされていれば、同意するか否かを決め易いが、そうでなければ同意は
ほとんど無意味である。どのように考えればよいのか。第三者への照会は、どのような
情報についてだれに照会するのかを事前に明らかにされる必要があるのではないか。


4 行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関
職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価
対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な
事項の報告を求めることができる。

【質問事項】
1 行政機関の職員は、「評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問
させ」ることができるとあるのは、そのような権限が認められるということである。
これにより、行政機関の職員は評価対象者に質問したり、その「知人やその他の関係者」
にも質問することができる。「知人やその他の関係者」は範囲を限定するのか。職員の
裁量に委ねるのか。
2 「質問」という対話形式で情報を得るとなると、実際には決められた質問事項以外
のことについても聞いてしまうことになる。「必要な範囲」を超える情報を得てしまう
ことが往々にして起こり得るのではないか。そのような情報は本来、収集目的に入って
いないのであるから、記録化しない、行政機関の長に報告しないということになるのか。
3 「評価対象者に対し資料の提出を求めさせ」の「資料」は、「第二項の調査を行う
ため必要な範囲内」という条件の下で要求されるものである。私生活や健康状態、生活
状態など広範にわたる情報の提供を求められる可能性がある。提供させるべき資料の範囲
を限定する必要があるのではないか。
4 「できる」というのは、その者に権限を与えることは明らかであるが、相手に対応
義務を負わせているのか、少なくとも負わせていない場合もあると解すべきなのでは
ないかという問題がある。国会での政府答弁は、回答義務があるということであったが、
一律に義務があると解すべきなのか。医療に関する個人情報のように秘匿性が高く、秘匿
性を守ることについて患者の要求の度合いが高い情報について回答義務があるとする
ことは、医療機関が患者の秘匿性の高い情報を第三者である行政機関に提供してしまう
ことを意味するから、そのことを意識して医療を受けない、医療を受けても本当のことを
言わないという、治療にとって明らかにマイナスの事態が生じる。これはきわめて問題
である。一律に義務づけるという構造にしてしまうと、回答を義務づける事項を限定しな
ければならなくなるのではないか。
5 医療機関以外の者についても、一般的に回答義務があるとしてよいか。義務はないと
するか、あるとしても限定する必要があるのではないか

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