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さくら通り法律事務所

2016-06-05

昨日のスノーデン氏の講演

2013年に米政府の個人情報収集を暴露したエドワード・スノーデン元米中央
情報局(CIA)職員が、昨日、東大構内で開かれたシンポジウムに、インターネ
ットで画像参加した。わたしは、彼がいまどんな話をするのか関心があったので、
彼の発言がある第1部だけ参加した。

彼がどのような経緯でNSA(国家安全保障局)から情報を持ち出し、世界に問
題提起した経緯は、『スノーデンファイル 地球上で最も終われている男の真実
』(日経BP)に、彼が暴露した情報の中身は『暴露 スノーデンが私に託したフ
ァイル』(新潮社)に詳しい。

彼は、ここでも冒頭に自分は愛国者であると断わりを入れた。これは、ポーズで
はなく、彼の本心だ。彼は国家を愛するからこそ、国家のためにインターネット
でスパイ活動をしていた。その内容が国家のためになっていると思えるうちはよ
かった。それがそうではなくなった。国民全員のデータのやりとりを国家が監視す
るようになってしまった。国家が国民に内緒でこんなことをするなんて。スノーデ
ンはこのままスパイ活動を続けることに我慢ができなくなった。

もちろん、それは、いつも政府が国民全員の日々の行動を監視しているというこ
とではない。「だから、悪いことをしていない人は心配いらないのだ」という楽観
論があるが、これは間違いだ。日々監視しているわけではいけれど、いつでも監
視しようと思えばできるという情報環境になっていることが問題なのだ。ターゲッ
ト・サーベイランス。メルケル首相も日常会話の通話が盗聴されていた。アメリカ
政府はこれを誰に対してでもできる。

アメリカ政府はなぜ、そんなことをするのか。安くて簡単にできるから。それに何
か役に立ちそうだから。(この感じは日本社会の監視カメラの普及とそっくり。)

アメリカだけでなく、ほかの国々も、「テロ対策に必要だ」「テロリストを探すため
に必要だ」と考えているようだ。しかし、人工知能がいくら進んでもメタデータから
テロリストを探し出すことはできない。(テロ対策としてやるべきことはそういうこ
とじゃないだろう、という感じ。)

日本のマスコミについては、記者クラブの排他性が問題だと指摘。ジャーナリス
トに期待する、とのこと。

事前に本を読んでいても、なかなかおもしろい講演だった。そう簡単に会える人
ではなさそうだし、行ってよかった。

会場には200人くらいの人が集まっていた。狭い会場はほぼ満員。
中央後方席にはテレビカメラがずらりと並んでいた。知り合いのマスコミ記者も
幾人か見かけた。彼らは記事を書くのだろうか。紙面に出るだろうか。さて、ど
んな記事が出るだろうか。

ネット上には神戸新聞の記事があった。
見出しは、≪スノーデン氏、日本社会に懸念 特定秘密保護法を問題視≫

確かにこの話も出てきたが、メインではなかった。

≪日本の特定秘密保護法制定や憲法9条の解釈変更などを問題視し、日本社
会に「権威主義が忍び寄っている」と懸念を示した。≫
報道番組の看板キャスターが最近相次いで交代したことなども挙げ「日本の
報道の自由は静かな圧力により、危機にひんしている」と述べ、報道の自由を
守る必要があると訴えた。≫

確かにこのような言及はあった。
しかし、スノーデンは特定秘密保護法の専門家ではないし、所詮、だれかに聞
いたかどこかで読んでことを言っているだけではないか。スノーデンが言及する
のはいいけれど、あえて記事にする部分ではないのではないか。報道番組の看
キャスターが最近相次いで交代したことについても同じ。
スノーデンの記事はスノーデンだからこそ語る内容(超監視社会)を報道すべき
なのではないか。神戸新聞は自分が書きたい部分を書いたに過ぎない。これは
国民の知る権利に応えていないのではないだろうか。

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