小林リズムの紙のむだづかい(連載185)

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四六判並製160頁 定価1200円+税

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小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
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小林リズムの紙のむだづかい(連載185)
小林リズム

 【いったい何を望んでいただろう?君が漏らしたわけを知りたい】
   

 膀胱炎になってもいいからこの人の隣を今は離れたくない   柴田瞳

 電車のなかで読書をしていると、歌人のほむほむこと穂村弘さんの本のなかでこんな短歌が出てきて、5度見くらいした。どうしよう、どうしよう、どうしよう…。公共の場なので平静を装いつつも心のなかはフィーバー。この現代短歌、すごくいい。恋愛を詠んでいるのに膀胱炎が出てくるあたりが。焦りと悩みがとても現実的なところが。何より、膀胱炎になってもいいから席を立ちたくないほど、強く相手を求めている感じが。女の子ならではの短歌に、胸がきゅうっと鳴ってしまった。

 もしかしたらこれは飲み会のシーンなのかもしれない。一度席を離れて戻ったときに彼の隣に別の人がいるかもしれないとか、一緒に話したことを忘れたみたいにして彼がほかのことをやっているだとか、そういうあらゆる可能性を考えたうえの「膀胱炎になってもいい!!」という感情の激しさ。これぞ、女。いいなぁ、柴田瞳さんと飲みたいなぁ…。

 ところで、わたしの父は建築関係の仕事をしているのだけど、あるときトイレの展示会があったらしい。最新型のトイレだとか人気のトイレだとかがずらりと並んでいて、水は流れないにせよ便座の形だとか蓋のつくりだとかを見て触れられるようになっている。日本のトイレって世界からも高く評価されているみたいだし、日本ではウォシュレットなんて当たり前みたいに取り付けられているけれど海外の人からしたら機会に自動的にデリケートゾーンを洗ってもらうなんてアンビリーバボーだったりするんだろうなぁ。

 とにもかくにも、展示会も終盤に迎えたある朝、社内がやたらと騒がしくなっていた。みんなでトイレを囲っていて険しい表情をしている。何かと思って父が近づくと、なんと展示されたとトイレに便が出没していたらしい。もちろん展示物だから水は流れないし、それどころか水がないから臭いしで大変だったそうだ。「なんでそんなことする人がいるの!?」と父に聞くと「愉快犯じゃない」と笑いながら答えていた。愉快犯って…。確かにはたから聞いたら正直ちょっと面白いけれど、明らかに展示物だとわかるトイレで用を足すなんて、ちょっと考えられない。いったいぜんたい、どういう気持ちだったんだろう…。
 どのタイミングでそんなことをするのか。まさか流れないことを知らなかったわけじゃあるまいし。他人様に見られてしまうのを承知で…。膀胱炎になってもいいからここを離れたくない!と同じように、水が流れなくってもいいからここで用を足したい!という特別な何かがあったとしか思えない。なんなんだろう?好きな人といっしょに食べたものの排泄物を人に見せつけたいとか…?好きな人と過ごした時間に自分の腸のなかにあったであろう便を誰かと共有したかったとか…?なんだか頭がこんがらがってきた。こんなことを考えること自体がおかしい。

 とりあえずも便は無事に片づけられ、次の展示会からはトイレのなかにくまさんのぬいぐるみが置かれるようになったらしい。いくら愉快犯でも可愛いぬいぐるみに排泄したりしないだろうと。トイレの展示物のなかにくまのぬいぐるみが入れられている理由がそれだなんてまさか誰も想像しないだろう。愉快犯は勝手に男性だと思っていたけれど、もしかしたら恋する女だったりも…?ああ、わからない…。

(ps そしてタイトルをひそかに短歌にしてみたのです)

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