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清水正ブログ

2013-10-18

小林リズムの紙のむだづかい(連載204)

小林リズムの紙のむだづかい(連載204)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。

清水正の著作はここをクリックしてください。

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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。

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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。

http://www.transit-web.com/miss-id/

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小林リズムの紙のむだづかい(連載204)

小林リズム

 【そんなにたくさんは持てないから】

    細い鎖のネックレスを西日にかざしたら、反射して嘘みたいに綺麗に光った。八百屋で並べられていた柿が籠のなかでぴかぴかしていておいしそうだった。駅の構内でボロボロの服を着た腰のまがったおじいさんが、さらに腰を曲げて頭をさげていた。横には募金箱があった。派手な柄の黒いTシャツにジーンズを合わせてキャップをかぶった若者がそこにそっと小銭を入れていた。おじいさんは「ありがとう」と言って顔をあげた。若者は軽く右手をあげて去って行った。コンビニの横で煙草を吸っていたサラリーマンが、足元に誰かが捨てた吸い殻が落ちているのに気づいて拾っていた。吸い終えたあと一度だけ空を仰いで何事もなかったようにして改札を通って消えた。

 全部本当のことなのに、ときどき小説のなかに出てくるワンシーンに出くわしたのかと思うことがある。自分の目で見た光景なのに信じられなくなる。確かめるようにして何度も思い起こすのだけど、今日も西日はまぶしいし、八百屋の柿はプラムに変わっている。若者もサラリーマンの顔も、もう思い出せない。そのときのかすかな感動だけが心に残って消えない。その消えない何かを大切に持って過ごしていけたらいいと思う。フリーターのわたしの、お金のないわたしの、恋人のいないわたしの、わずかな持ち物。

 欲しいものがある。やりたいことがある。欲は尽きることなく満たされることなくわたしを追い立てる。焦りは増幅し、求めることを抑えられない。終わりがないからきりもない。果てしない。いつまでたっても完成しない。いつまでたっても満足しない。のどが渇く。欲しがる。おなかがすく。欲しがる。足りないことを原動力にして毎日を動かす。朝起きる。歯を磨く。服を着る。化粧をする。そんなゆるくて退屈な日々のなかにも、はっとするくらいに心を揺さぶるものがひそめられているのかもしれない。見ていないだけで。気づかないだけで。

 人が生活するということ。生きるということ。永遠にみえる営みのなかの、ほんの一瞬。くだらないこと。無駄なこと。小さな棘と小さな光とを繋ぎ合わせて眺める。世界が素晴らしいかわからない。世界が美しいかもわからない。わからないからとりあえず今日も起きて、ご飯を食べて、動く。自分の目で見て耳で聞いて何かを受け取り、何かを発信する。今日は柿を剥いて食べよう。


小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」

http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。

星エリナのほろよいハイボール(連載30)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。


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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。

ドラえもん』の凄さがわかります。

http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。

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星エリナのほろよいハイボール(連載30)

可愛いひとにはなれない

 可愛いひとにはなれない

星エリナ

 正直言って、性格ブス。まわりには嫌われるタイプだと自分で思う。ただ、開き直ってどうぞ私を嫌ってくださいスタンスになってる。だからさらに嫌われる。負の連鎖ってやつ?

 開き直ったのは小学校二年生のときだった。今でもよーく覚えてる。保育園から小学校一年生、二年生、ずっといじめられていた。保育園でヒーローごっこをするときは、いつも敵の悪い魔女役だった。いっつもレッド役の男の子がいて、私は彼が好きだったけど、ピンク役の女の子が彼と手を繋いで笑ってた。

「エリナちゃんは魔女ね! あそこが魔女が住んでるとこだよ」

 滑り台つきの遊具を指差して言われ、私はそこで待機する。さらにでしゃばりな女の子が「わたし人質役!」といって私の隣にくる。ずっとニコニコしながら「助けてー!」と叫ばれて、ヒーローたちが殴りこんでくる。私は戦いたくないし、そういう演技も好きじゃなかったから、テキトーにやられてたら、「敵なんだからちゃんとして!」って女の子に怒られる。だんだん嫌になってやる気がなくなると、レッド役の男の子が助けてくれる。敵も良いやつになって、みんな仲直り。私のことが嫌いな女の子たちはレッドを称え、楽しそうにするんだ。

 一年生のときも、我が強い女の子が一人いて、その子が私をものすごく嫌った。隣の席の男の子は私と仲良くしてくれたけど、その子もあの女の子には勝てなかった。ある日私たちの前に立った女の子が私の服をバカにした。するとクラスのみんなも私のことを罵倒した。隣の男の子も、私をからかった。別に泣きもしなければ言い返すこともしなかったので、すぐに終わったのだけれど、隣の男の子は申し訳なさそうに私を見ていた。そして後で、謝ってくれた。ごめん、ああしないと、オレもいじめられちゃうから。

 そうして二年生、女の子五人組にいじめられた。いろいろなことをされた。砂場で砂をめちゃくちゃかけられたし、連絡帳に私の母へ謎のメッセージを書かれたりした。で、私が開き直った原因がこの五人組だった。

 父親にもらったヘアピン。プラスチックでできた安物なんだけど、すごく気に入って、もらった翌日に学校へ付けて行った。五人組以外の女の子たちはかわいいねって誉めてくれた。嬉しかった。一時間目が終わったころ、五人組のリーダー格の女の子に声をかけられた。

「かわいいね、それ。私に貸して?」

 拒否はしたのだが、奪われた。そして自分のもののように付けて、颯爽と歩いていった。彼女は教室で「エリナちゃんがくれた」と嘘をつき、みんなからはかわいいと誉められニコニコしていた。放課後、やっぱり返してもらわなきゃ、と思い彼女を探した。でもすでに帰宅していたようだ。教室を探していると、ゴミ箱にそのヘアピンが捨てられていた。私は拾って、一人で帰ったことを覚えてる。

 翌日の放課後、いつものように五人組に呼び出された私は、五人に囲まれて罵詈雑言を浴びた。昨日のヘアピン似合わないとか、音楽の時間お前の歌が音痴すぎてつられるとか。その日はたぶんたまたまなんだろうけど、リーダー格の女の子の機嫌が悪かった。彼女は私をビンタした。それにブチギレてしまった私は彼女のおなかを殴った。

 この日、私は開き直っちゃったのだ。何回かあの子を殴ったと思う。まわりの女の子たちは悲鳴をあげて逃げてった。先生に見つかった私たちは事情を話して仲直りを強制されたけど、私はあの子を未だに拒否している。

 もう誰に嫌われてもいいから、イヤなものはイヤだって言うし、好きなら好きって言う。私は私だ。

 大人しくて清楚で彼氏の言うことなんでも聞いて、そんな可愛いひとには絶対なれないし、なりたいとも思わなかった。

 ちなみにあの五人組のリーダーちゃんは、後日先生と共に謝罪をしにきた。私をいじめていた理由は「エリナちゃんが好きだから」だって。これからは仲良くしてね、って泣きながら言ってた。女の子ってわかんない。

  


肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。