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清水正ブログ

2013-10-20

日芸図書館は林芙美子生誕110年を記念して『世界の中の林芙美子』を刊行すべく着々と編集をすすめている

日芸図書館林芙美子生誕110年を記念して『世界の中の林芙美子を刊行すべく着々と編集をすすめている。私は「世界文学の中の林芙美子」というタイトルで、芙美子の代表作品に出てくる作家と作品を調べて抜き出す作業を進めている。こういった地道な作業から見えてくるのは、いかに芙美子が読書家であったかということである。今日は『創作ノート』を読みながら、林芙美子が本物の作家であることを改めて痛感した。

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以下に『創作ノート』から私が感動した林芙美子の文章を紹介する。

 モオパツサンは、どんなつまらない事でもつやゝかな作品にしおほせる人である。このやうな仕事をした人が、狂人になつてしまふと云ふことを考へると、此作家は肉体の方まで、文学の虫に食うはれてしまつたかのやうな気がしてくる。(244)

巴里にゐた頃、ジヤン・コクトオを読んだけれど、いゝ感覚で、鋭い作品だと思つたが、いゝ文学とは思へなかつた。感覚を安易にみせびらかす作家の作品は花火のやうなもので人の心に永く残ると云ふものはない。(246)

もう一度、日本の文学界に空襲を与えて、五破算になつたところから初々しく逞ましく孤独で立ちあがつてゆかなければならない。作家が、技術だけを心得て、ぬるぬるとした気持ちの悪い小説を書いてゐるけれども、何故、もつと捨身で苦しむ決心がつかないのか不思議だ。文学は血みどろでなければならぬ。(248)

老大家も新人も、仕事の上だけは血みどろになつて、へどを吐ききるまでやるべきだ。モオパツサンも狂人になつたけれど、あのやうな作品を書いてゆくには、狂人になるより果てる道はない。(249)

日本の保守的な道徳観念も、一度崩壊しなければならない。作家が人間を忘れて修身の犬になりさがる必要はない。(254)

私はあらゆる書物に放浪したけれども、作家の魂が露出してゐない作品にはよりつけない。(256)

以前は、チヱホフや、トルストイ、ツルゲニヱフ、ゴオゴリ、プウシキンなんか好きであつた。いまでも好きな事に変りはないけれど、チヱホフの「可愛い女」なんかを読むと、日本の沢山の女性が、あの小説を一度読んで明るくなつてもらひたいと思ふ。(257)

林芙美子の『創作ノート』は昭和二十二年八月に刊行されている。渾身の力を込めて書き上げた遺書のようにも思えた。本物の作家の魂とはこういうものだ。 

日芸アートギャラリーにて『日本のマンガ家 つげ義春』展が開催されている(6)

日芸アートギャラリーにて『日本のマンガ家 つげ義春』展が開催されている。平成23年10月9日より10月28日まで。10月14日と日曜日は休館。午前10時より午後6時まで。つげ義春関係の書籍、単行本など展示してあります。また写真学科教授甲田謙一氏が所蔵するカメラ(つげ義春がコレクションしたものと同じカメラが六台)も展示してあります。

清水正監修『日本のマンガ家 つげ義春』(日芸図書館刊行)をご希望の方は日芸図書館へお問い合わせください。 03-5995-8306

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小林リズムの紙のむだづかい(連載206)

小林リズムの紙のむだづかい(連載206)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。

清水正の著作はここをクリックしてください。

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ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。

ドラえもん』の凄さがわかります。

http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。

http://www.transit-web.com/miss-id/

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小林リズムの紙のむだづかい(連載206)

小林リズム

 【自己完結型恋愛】

   好きな人ができた。やだもう、好き!超好き!あの人はわたしのことどう思ってるんだろう?きっと好きだよね。うん、好きに決まってる…!だってほら、このメールの文章も心なしか優しげだし。特にこの文末が質素に「。」で終わるあたりが、照れ隠しというか…!文章がいつも簡素で短いのも、返信が尋常でないくらいに遅いのも、そっけなさを装いつつ様子を伺っている感じ?もう、シャイだなぁ…!

 わたしの恋はいつも一方的にはじまる。それもかなりポジティブに相手も自分のことが好きなのだと思い込ませることからのスタート。かといって特に相手にアプローチをするわけでもない。だって、「わたしが思うあなた」はわたしのことが好きかもしれないけれど、「現実のあなた」はわたしのことなんて気にも留めていないだろうし。わたしのことを好きでないあなたなんて、好きじゃないもの。ひとりよがりな片思いをじっくりと味わうのが好きなのだ。

 しかしそんな仮想恋愛がなんの因縁なのか変な具合にねじれてうまくいき、あれ、この人マジでわたしのこと好き…?となってしまったときには、手のひらを返したように不安になる。あの人は“もうかれこれ3年彼女がいない”とか言っているけど、そんなの嘘に決まってる…。女の子を褒め慣れているあの感じがムカツク。好きだなんて…!この人はなんて思い込みが激しいんだろう?わたしの心の葛藤も知らないくせに、よくそんなことが言える…。

 と、最終的にはいつも「本当のわたしなんか知らないくせに病」にとりつかれ、ひとりで勝手にショックを受けて寂しくなってそっぽを向く。表では平静な22歳女性を装いつつ、中身が中二病。“本当のわたし”なんて、そんなのはわかる。こうやって痛々しい一人芝居をし続ける自己完結型恋愛をするのが、本当のわたしだ…。ああ、面倒くさい…。

 「たぶん、私があんまり誰かを本気で好きになれないのは、自分のことを好きじゃないからだよね。だって好きな人が良いって言うと、今まで興味のなかった音楽とか本とかが急に特別に思えてくるじゃない。自分を良いと思ってないから、自分越しに見てる世界も愛せないんだと思う」(島本理生 『クローバー』)

 生身の人間と向き合うのって難しい。自己愛に満ちた自分から見る世界は、あまりにもいびつで、すべてが自分の思い通りになっている(ように見えるレプリカ)。その金はメッキでできてるよ、だって軽いもん。と、ペリッと剥がして見せつけられてもきっと今のわたしには認められない。それは純金だよって言い張って、剥がれたメッキを無理やり瞬間接着剤でくっつける。こんなにも安っぽいのにね。現実を受け止めたり、折り合いをつけるのって大人になったらできると思ってた。さて、どこから始めましょうか…。



小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」

http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


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