小林リズムの紙のむだづかい(連載499)


清水正ドストエフスキー論全集』第七巻。2014年7月31日刊行。D文学研究会発行・星雲社発売。A五判上製585頁。定価7000円+税



清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載499)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D


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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru)から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。
http://lindapublishers.com/archives/publications/dokonidemoiru
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小林リズムの紙のむだづかい(連載499)

【夢見るフリーター生活をふり返る5】
 

◆会社を辞めてから2番目にやったこと:合コンに参加する

 アイドルオーディションの書類を書き終えて送ったあとの審査中、私は暇で暇で仕方がなかった。なんといっても無職およびニート。お金は、学生時代に貯めた貯金を切り崩しながら生活していた。5万円ほどの格安な賃貸マンションに住んでいるとはいえ、減っていくだけの貯金残高を確認するたびに自分の置かれている現状の心もとなさに呆然としていた。40万の貯金から、家賃と光熱費と奨学金が自動的に引かれていく。住む場所がなくなったらいったいどうすればいいんだろう……そう考えると、気がめいるというよりは、変にわくわくした。
 それまでの私は中高大とさほどまようことなく、周りがなんとなく進学するから、就職するから、という理由で流されるままにきた。そうでない道を選ぶことは「負け」だと思ったし、そんな「まっとうじゃない生き方」をしたら、幸せになれないと思っていたのだ。それなのに、いざ辞めてみるとぞくぞくした。もちろん、不安や心配はあったけど、今この瞬間の自分の人生を自分で掴んでいるという、たしかな手応えがあった。それを感じたとき、私はようやく気づいたのだ。この「手応え」こそが、私がこれまで何よりも求めていたものだったのだと。

 「会社を辞める」という、もっとも怖いことを行ったあとの私は、そうやって何かがふっきれたように気持ちが爽快だった。人生のレールを踏み外すという大きくシフトチェンジした私に、これ以上怖いものはないと高をくくっていたのだ。どうせなら1か月は無職生活を謳歌しないと……。そんなふうに考えていたとき、友達に合コンに誘われた。

「彼氏の友達と恵比寿で合コンすることになったんだけど来る? 相手は大手広告代理店の社員と、ベンチャー企業の経営者だよ、奢るからおいでー」
 そんなメールが送られて来れば、もちろん行くしかない。無職の私には恵比寿も奢りも美味しい物に思えたし、広告代理店という職業も美味しいものだった。もしかしたら、仕事を紹介してくれるかも……。そんな淡い期待を寄せて、気合いを入れて白のワンピとベージュピンクのジャケットというぶりぶりな服装をチョイスして、約束した時間に場所へ向かうと、アロハシャツを着てサングラスをかけているチャラチャラした男性や、ロン毛の髪をひとつにしばってチャラチャラしている男性、金髪に黒のTシャツを合わせたチャラチャラした……と、合コンのメンツは見事にチャラチャラづくしだった。派手な職種にして派手な人柄という、いかにもな出で立ちにおおっ……とのけぞる。
「リズムちゃんは何の仕事してるの?」
 初対面で名前+ちゃん付けというチャラさっぷりに眩暈を覚えながら、
「今、無職です」
 と答えるとチャラチャラボーイ(といっても30代)は「えっ……」と目を見開いて絶句した。
「勤めていた会社の経営者がひどかったんですよ。卑猥なことばっかり言ってきて、すごく気持ち悪くて。セクハラとか、ほんとありえないですよね。社会に出ている女性をバカにしています」
 と説明する私に、どんどん遠ざかっていくチャラ男さん。ノリと下ネタが欠かせない合コンで、真面目にもセクハラについて話し始める女はキツいか……と気づいた頃には時すでに遅し。顔をひきつらせながら矮小化していく彼ら。すさまじいスピードで遠ざかっていくビジネスチャンス。私はただぼうっと眺めることしかできなかった。きっと、軽いセクハラにも目くじらを立てる女だと思われたに違いない。気持ちを取り直して、私はハイボールのジョッキを空にする。飲み干してから、カルーアミルクとかカシスオレンジとか頼んだほうがよかったんじゃ……、と思わなくもなかったけれど、なんだかもういろいろと面倒くさかった。ただでさえ「何もない状況」になったのに、これ以上自分を取り繕ったって無駄だ。
 ちっとも面白くない合コンは気持ち的にも害だから、せめてもお酒をたくさん飲もう。奢ってもらえるようだし。そう思って、次々とお酒のおかわりを頼んだ。意識がぽやーっと遠のいていく。気づくと私はトイレにいて友達に背中をさすられていた。それからまたぱっと気づくと、私はタクシーへ乗せられて自宅へ向かっている……。





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