「Fate / stay night」映画化を思う。

明けましておめでとうございます。仕事の忙しさにかまけてたら、1ヶ月以上も放置してしまいまして。この休暇で、読書したり文章書いたりといったアタマが何とか戻ればと思っています。


さて、Feteですが。今月の23日(土)から劇場公開が始まるそうです。

http://www.fatestaynight.jp/index.html

結構前にPCゲームをやった時の書き殴りめいた文章を上げましたが(「Fate/stay night」読了 - 雑想ノオト - 良いモノに触れたときの感動は代替不可能だから)、Fate映画化のチラシを見た際、その時の面白さを思い出してしまい・・今やっとこさTV版を全部見終わったところです。


Fate/stay night 1<通常版> [DVD]

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元々3つのストーリーが平行してある作品なのですが、それらの内ひとつ(「セイバー」ルート)をメインに据え、残りふたつをサブ的に噛ませるという構成でした。器用にまとめたもんだなぁと最初は思ったりもしましたが、東浩紀先生の「ゲーム的リアリズムの誕生」で散々出てきた論をよくよく思い出してみましょうよ。3つの物語(=可能性)が同時に平行してあるんだとプレイヤーが感じることが出来て初めて楽しめる、そういうものだったじゃないですか。この手のノベル・ゲームって。器用も何も、単に一番無難な「セイバー」ルートをベースにして、ちょっと他のルートから味付けを持ってきただけじゃないかと。1回限りのアニメだから仕方のないことなのかも知れませんが、特にノベル・ゲームを原作にする以上、原作が本来もつ、主人公が選択していく雰囲気と言いましょうか、あの感じを出さんとイカンのじゃないかと。



で、見てみての感想ですが、まぁ何と言いますか、原作PCゲームの面白さを「桃屋のつゆ」原液とすれば、アニメ版は素麺用に水で3倍に希釈した感じでしたね。残念ながら。Fateを何とかアニメで表現しよう、といった気概や工夫は、ついぞ感じることは出来ませんでした。すごく失礼な物言いをすれば、「やっつけ仕事」臭が漂ってくるんですね。さすがに「ヤシガニ*1級の酷さってことはないのですが(パッと見の作画は及第点だし、声優も良い)、それでも原作Fateで感じた衝撃を前にしたら、その物語の根幹にかかわる質の落差は、ちょっと致命的なんじゃないでしょうか。

物語の枠組みがダメなのを差し引いたとしても、戦闘シーンとかのアクションは今日び平均以下だし、アニメ版特有のカットやアングルといった映画的なこだわりがある訳でもないし、原作が売りにしてたディティールを細々と説明するシーンもイマイチと・・。

そこで、劇場版ですよ。普通ならこれで高クオリティなFateが見られる、と思うところなのですが。製作会社・スタッフ共に、ほぼスライドだそうですよ〜/(^o^)\ まぁそれでも救いがあるとすれば、映画のサブタイトルに「UNLIMITED BLADE WORKS」とついている所。これはどういうことかと言うと、「セイバー」ルートをベースにして、他の2つのルートを混ぜこぜにしたようなTV版ではなく、始めから「凛」のルート一本でいきますよ、というサイン・・だと思いますきっと。

つかね、別にFateでも何でもいいんですが、ハマった原作がレ○プされていくのを見るのは、もうコリゴリなんです。世の制作関係会社の皆様、ホントお願いしますよ・・。

*1:(いわゆる「ヤシガニ問題」。アニメ業界の暗部が、皮肉にもフィルムそのものに表象されてしまった現象。参照:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%9C%E7%94%BB%E5%B4%A9%E5%A3%8A/