番外編・本棚を晒し、語る。
大学の頃所属していた某組織から、「本棚の写真を撮ってコメントをつけよ」との指令が下ったので、この場を使ってやってみることにする。blogの更新にもなって一石二鳥だ。
本棚を晒す――。よくよく考えてみたら、これって相当に「恥ずかしい行為」なんじゃないか。その本棚の持ち主の趣味・嗜好はもちろんのこと、性格や為人までを色濃く反映させるんじゃなかろうか。web上で本棚を再現する「ブクログ」というサービスがあるが、あんなものじゃ比較にならない。「どんな本棚に」「何を」「どう」並べているのか。他人の部屋に上がりこんだような、妙なリアル感を感じさせるんじゃなかろうかと、内心ビクビクしているのだが・・。
基本スペック
まぁご覧のとおりである。1500wの2450h。デカい。デカいのだが、薄型なのと白色の外観で圧迫感はさしてない。というか全然ない。東京にいた頃だから、買ってから4年にはなるだろう。組立式で確か3万ぐらいだったと思う。本の重みで棚板が湾曲している箇所も多いが、安物なので仕方がない。当時、某先輩に手伝ってもらって半日かけて組立てたのが懐かしい。画像をクリックして、オリジナルサイズで表示させると背表紙が見えます。他にも色々見えます。本来ならモザイクものだな。
購入したサイト⇒http://www.e-syodana.com/
運用履歴(1)
この本棚を買うにあたって、当時持っていた本の数を数え、全てが収まる大きさをチョイスした経験がある。それまでは、押入れのダンボールに本を詰め込み、直近で買ったものや特にお気に入りのものだけを、カラーボックス的な何かに並べていたような有様だった。収納というより放擲に近い。本好きなら絶対共感してくれるだろうと思うのだが、己の蔵書を棚一面にビッシリ並べ、全ての背表紙を睥睨するという自己満足的行為。あれがやってみたくてたまらなかった。という訳で、当時(というか今もだが)本棚などにかける金としては異例の額をはたき、購入に踏み切ったのだった。
が。本は増える。それは「地球は回る」と同様、普遍の真理である。なぜなら全ての本読みは読書中毒だからである。「1年に1冊しか読まない」とか、「昔は読んでいたが今は1冊も読まない」とかいう人は、おそらくまずいない。ゆえに全ての人間は「本を読む人間」か「本を読まない人間」に二分され、それゆえ蔵書というものは増える運命にある。新古書店などというモノがそれに拍車をかけたことは言うまでもない。
まぁ何が言いたいのかというと、あれだけデカい本棚を買ったのに、すぐに一杯になっちゃったんですね。当たり前の話。東京を離れ、今住んでいる所に引越すに当たって、でもう一本増設しようかと真剣に悩んだりもした。
運用履歴(2)
そんな折読んだのがコレ。
- 作者: 永江朗
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/05
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 13回
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出版・書店業界御用達のライター・永江朗さんによる「不良のための読書術」である。書店人・ライターを経た業界での経験値と、おそらくは膨大なのだろう読書経験から語られる「読書感」に目からウロコが出っぱなしだった。中でも「本を閉じてからの大切なこと」という章は、自分の読書行為を一変させるエウレカであった。
増えれば増えるほど、本は活用できなくなる。
溜まってしまった本を前に、どの本を残してどの本を処分するのか悩むのも、これまたひとつの読書である。
本棚は常にあなたの「現在」を表わしたもので無ければならない。
何たる至言! 肩の荷が降りたような気になったのを、今でも思い出せる。本にしがみつき、本が「在る」こと自体に価値を見出すことの愚かさ。この本を読んで以来、本棚に入らない本は一切持たなくなった。気に入ったマンガがあれば全巻買いするし、久しぶりに大型書店に行けばまとめ買いもする。蔵書の量を制限したからといって、読むペースが落ちたなんてことは全然ない。
棚割図
職業病ですね。分ります。ちなみにジャンル内での並べ方は著者名の五十音順。ウチに来た友達の大半が、マンガ喫茶的な行為に及ぶのだが、それも悪い気がしないってもんです。かつて麻雀に狂っていた頃は、「天牌」全巻や麻雀の戦術書、「雀鬼」関連本など麻雀関係の本の占有率が異様に高かったが、やらなくなってからというもの、さっぱりと売り払った。本棚は常に現在の私を表わすのだ。
こうしてジャンル毎に並べていると、面白い実験ができるのでひとつ紹介してみる。本には平均単価というものがあって、文庫で618円とか、コミックが493円とか、これが結構詳細に決まっている。棚一段あたりに入る冊数も、棚幅何センチなら何冊という目安があるし、ウチ程度の冊数なら実際に数えることもできる。という訳で、現在持っている蔵書の概算金額を試算してみた。
結果、約634,000円(税込。CD除く)と出た/(^o^)\ 古本で買ったものも多いので、実際はこれよりかなり少ない金額なんだろうけど、それでも数十万。物心ついてから買っちゃ売りしてきた訳だから、感覚値だが、生まれてこの方この3倍は優に買ってるだろうし、雑誌なんかも含め出すともう何が何だか・・。本道楽というと稀覯本を集めるような骨董的なイメージを抱くけれど、私のような「ちょっと人よりは本が好き」程度の読書家でも、これだけの金をかけていることになる。「俺はかなりの読書家だぜ!」といえるような人なら、この2倍は余裕であるだろう。読書は金のかかる趣味。これは定説。