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2005-09-26

大瀧雅之『動学的一般均衡マクロ経済学』(東京大学出版会大瀧雅之『動学的一般均衡のマクロ経済学』(東京大学出版会)を含むブックマーク

http://www.bk1.co.jp/product/2595897/?partnerid=p-inaba3302385

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 著者からご恵投いただく。快癒されたとの情報はしばらく前に入っていたが、何よりである。

 さて、合理的期待形成を陽表的に取り込んだマクロ動学モデルで、ケインズ的不完全雇用均衡を説明しようという最新の試みである。要するにケインズ経済学のソリッドなミクロ的基礎付けをやろうというわけ。

 さて当方にとって困ったことに、本書は一般物価水準をミクロ的経済主体の期待形成から内生的に導き出しており、中央銀行による貨幣供給とは独立のものとして取り扱っている(貨幣数量説の否定)。いきおい、ケインズ的拡張的金融政策の効果に対しては前向きな評価がなされているが、しかしその効果はリフレ派のいうようなインフレ率の変化を通じてもたらされるものとはされていない。むしろリフレ政策は貨幣への信認を掘り崩して有害無益と断じられている。『教養』での無遠慮なラベリングを援用させていただければ「実物的ケインジアン」の最新バージョンというわけだ。

 さて、専門的研究書とはいえ、教育的配慮が行き渡ってリーダブルな良書であるようだから、きちんと読ませていただくが(しかし当方最近はむしろ法学勉強にいそがしい)、本格的な検討は当然素人の手に余る。とはいえ「リフレ政策はむしろスタグフレーションに導く」(127頁あたり)とか、「労働生産性の総体的上昇のマクロ的効果は、一時的なデフレを経てインフレ・低失業に導く、というものである(そして日本の90年代もこういうものだったのかもしれない)」(125頁あたり)といった趣旨の発言は、理論的な可能性の指摘としてはともかく、近時の日本の経験に適用するにはかなり乱暴なような気が、直観的にはしてしまうのだ。 

 「貨幣愛」の設定が恣意的だと批判される小野モデルなどに比べて、かなり巧妙なモデルを作っているらしいだけに、ものすごく気になる。ぼくも読みますから、いろいろな立場の専門家のご意見を伺いたい。なにしろリフレ派の某O氏によれば「日本リフレ派の最大弱点は算数に弱いこと(計量的実証派や実務家が多く、本格的な数理モデルの使い手がいないこと)」だそうだし。ねえ飯田君。

ロマサガ ロマサガを含むブックマーク

 一周目やっとクリア。82時間。これで更に二周、三周(いや八周?)と回れというのかスクエニ。ふざけんな。つうかサルーイン弱すぎ。ジュエルビーストの方が激強い。それからエンディング長すぎ。スタッフロールに何分かけてんだ。

 クリアするだけなら(時間はかかるが)どうってことはないが、効率よくこなさないとイベントがろくに見れないのがつらい。

okafujiokafuji 2005/09/26 16:58 トーシロ(=小生)が入れられるべきスジガネ
の一端を垣間見た気がします。

有り難う存じました。

E田E田 2005/09/26 23:20 奇遇にも今朝から新著『「資本」論』を読み始めました.難しいのでたいした感想は書けないと思いますが……阪神優勝決定後にでも「ロック的但し書き」と産業予備軍の関係について小文をお目に掛けられればと思います.んなわけでblogを見たらいきなりのご指名ですねw私も大瀧先生から恵投いただき現在格闘中.理論弱いんでつらいですが,大瀧先生が病前からとりくんでいた完全に内生的な硬直価格の話ですね.ただ,十分に経験的・実証的な根拠のある仮定(staggerd price settingなど)は”ad-hoc”ではないと私は感じるので批判的に検討したいと思います.

shinichiroinabashinichiroinaba 2005/09/27 11:53 「物価」とか「貨幣の中立性」とかいった基礎概念の理解自体が実は論者によってまちまちで、それがコミュニケーションの齟齬を生み出しているのではないか、と素人ながら悩みつつ読んでいます。

chigichigi 2005/10/05 02:01 大瀧氏の本を読んでいると、経済学の人は、研究者レベルの経済学と素人レベルの経済学が乖離していると嘆くわりには、私のような素人に理解させようという気はないのかなあ、と思ってしまいます(頭の悪い人間のひがみ……)。いまだにちゃんと読めないのですが、2章でとりあえず気になっているのは、労働の限界生産性βが定数(一定)らしいことと、2期モデルで労働者が貨幣のみで貯蓄をするように見えることです。
 貨幣だけではなくて物でも貯蓄できるとすれば(現実には土地やらを買いますが、モデルとしては、たとえば第1期の財を来期に持ち越せるとすれば)、話は全然変わってくるように思うのです。もし来期の物価があがると予測すれば、みんな貨幣で貯蓄しようとはせず、財をため込もうとするので、第1期の需要は増加し、来期の物価が下落すると予測すれば、みんな貨幣で貯蓄しようとする結果、今期の需要は減るというモデルになるのではないかと思いました。早合点でしょうか。
 図々しいですが、このあたりどなたか説明していただけばと切に願うものであります。

shinichiroinabashinichiroinaba 2005/10/05 20:04 「教科書」ではない「研究書」としてみれば、ラグランジュ法と凸集合の分離定理とダイナミック・プログラミングの解説、更に基本文献案内付きの本書は、かなり教育的配慮に飛んでいる方です。それでも意欲ある経済学部生以上が基本的ターゲットですね。
それと、やはり問題は世代重複モデルでしょう。このありがたみがやはりまだ素人には今ひとつ伝わりにくい。ここで言う「貨幣」ははたして我々の考える貨幣のどこからどこまでをモデル化してくれているのか、よくわからんところがあります。(このモデルって賦課方式の年金の存立根拠にも使われるし。)
ブランシャール&フィッシャーはこの世代重複モデルにずいぶん紙幅を割いて解説してますが、素人にはしんどいですね。
簡潔でわかりやすいのは岩井克人のサーベイ「経済成長論」(根岸隆還暦記念『現代の経済理論』東大出版会)でしょうか。しかし割と冷淡な扱い方です。
ほんと、専門家の解説がほしい。

chigichigi 2005/10/09 00:55 いなばさん、ご教示大々々感謝です。遅レスですみません。ブランシャール&フィッシャーは……持ってました(汗)。でも、ぜんぜん読んでなかったっす……。ちょっと見ましたが、こちらは貨幣ではなくて、財で貯蓄するモデル(賃金は現物支給?)のように見えますね(見えるだけ? しかも利子がついているような……)。岩井克人の「経済成長論」にもトライしてみようと思います。しかし、私のような素人には、モデルの前提になっている想定をもっと詳しく説明し、現実の経済との違いもわかりやすく書いておいてくれないことには、何を言っているのかわかりませんよう〜(泣)。

松尾匡松尾匡 2005/10/09 16:33  計算はフォローしてませんが、やっと目を通しました。院に弟子がいたら是非読ませたい。教育用にも計算下請けのためにも。今の大学では夢のまた夢だけど。前期に院の授業の唯一の履修者に宇沢二部門成長モデルを解かせる課題を出したら翌週から出てこなくなった。ぐっすん。
 第2章のは、実質貨幣供給一定の貨幣発行則により体系に同時性が発生し、一般論では、貨幣を含むn商品に対して、n-2の相対価格が決まり、独立式n-1で決まらないところに、Nash交渉などの仕込みを入れて不完全雇用を出す余地があるのだと思います。この仕込みのない同章のLucasモデルも同じですが、結局、将来貨幣との交換割合である物価上昇率がn-1番目の相対価格になり、これが一種の利子率として均衡値が出ます。そのため絶対価格は不確定になり、Lucasの場合は貨幣数量説の式を別に入れて決めている仕組みのようです。だからそもそもリフレ策は不可能な前提のモデルだと思います。
 お問い合わせの実物貯蓄の場合は、第4章で、貨幣と実物資本で貯蓄するモデルで検討されているようです。これは、絶対的リスク回避度一定の効用関数を使っていることから、貨幣需要は残差で決まり、やはり同時性が発生しているように思います。その証拠に内生変数に実質貨幣が効かないように見受けられます。したがって、この部分の金融政策に関する記述はあまり信じられません。このモデルは、各市場の均衡式を明示的に並べていないのでよく分からないのですが、完全雇用均衡のように見えます。しかし著者のように最初から時間を通じた物価不変を前提してしまうと、n-1番目の相対価格たる物価上昇率がなくなるので、式が一本あまり、不完全雇用になる均衡解が発生する気がします。もしそうなら、そちらの方の解の性質を検討した方が「貨幣的ケインジアン」の本質に通じ、おもしろそうという気がします。

松尾匡松尾匡 2005/10/09 19:04 追伸ですが、私の計算違いかもしれませんが、p.209の(4.43)のdcの前の[]は正となっていますが、(4.41)によってゼロではないでしょうか。(4.41)自体、exp(αc)は外に出て消えるので、kだけの式にできるような気がします。だからp.208のP-P線は垂線だと思います。いずれにせよ、生産関数の事情だけでk*が決まり、それだけでc*が決まっており、貨幣供給は一切事態に影響せず、物価水準も不確定になっていると思います。すでに(4.39)の時点で、ωやcは外に出て消え、初期分配は投資に影響しなくなっています。

松尾匡松尾匡 2005/10/09 22:25 すみません。「同時性」は変換ミス。「同次性」でした。絶対価格水準が意味を持たず、全部相対価格だけが効くという意味のつもりです。

松尾匡松尾匡 2005/10/10 00:26 続報。一人で何度もすみません。第4章第4項モデルにこだわりますが、p.208の図はC-C線も間違いのようです。(4.42)に(4.41)を代入するのは、もう一つの曲線上で成り立つ式を代入することになり不適当だと思います。だから水平線ではなくて、k*で頂点をもつ曲線(たぶん逆U字型)になると思います。いずれにせよ、生産関数の構造でk*が決まり、後全部それで決まるので、投資主体=労働者の数Lが内生変数に何にも影響しません。したがって著者は完全雇用のつもりのようですが、このLは任意です。たまたま雇われた投資主体数から投資が決まり、そこから有効需要原理で決まった雇用が最初の投資主体数と一致しているという構造になっているようで、均衡相対価格が共通する連続無限個の不完全雇用均衡があると解釈できるように思います。

chigichigi 2005/10/10 23:51 うおーっっ!! これがプロの読み方なのですか、松尾さん!(なれなれしすぎますか?) さっぱりわからず、眩暈くらくら……。非才なるわたくしには、4章なんかはるけき彼方でございます。でも、私がなぜ2章にこだわるかというと、稲葉御大が「リフレ政策はむしろスタグフレーションに導く」(127頁あたり)と引用されておられるように、大瀧氏は2章でも現実経済への示唆と受け取れる発言をされているからなんです。もしはじめからリフレ政策が不可能な前提のモデルなら、リフレ策への言及に何の意味があるのでしょうか? だから2章のモデルをリフレ策の可能なモデルに改造する手段はないか、そのほうが現実経済に近いのではないかと、無い頭で考えているわけなのですよう(私には無理っぽいですが)。

shinichiroinabashinichiroinaba 2005/10/11 11:48 むしろ4章のほうが理解しやすいはずですよ。

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