フランク・シブレイ(Frank Sibley)の主要論文リスト

まずシブレイの基本的な美的用語の分析として提出される「美的概念(Aesthetic Concepts)」論に関しては以下の論文を参照

  • ‘Aesthetic Concepts’, Philosophical Review, 68 (1959), 421-50 (revised version in Joseph Margolis, ed., Philosophy Looks at the Arts (Philadelphia: Temple University Press, 1978), 64-87).
  • ‘Aesthetic Concepts: A Rejoinder’, Philosophical Review, 72 (1963), 79-83.

なお「美的概念(Aesthetic Concepts)」から発展した「記述的価値用語(descriptive merit-term)」、「評価付加的用語(evaluation-added term)」といった分類に関しては彼の後期の以下の論文を参照

  • ‘Particularity, Art and Evaluation’, Proceedings of the Aristotelian Society, Supplemetary Volume, 48 (1974), 1-21

美的用語に関する分析はこちらの方が洗練されているので、最初はとりあえずコレを読んでみるのがいいのかもしれぬ。


美的特徴と非美的特徴の差違と関係、そしてその依存性(supervenience)に関わる議論に関しては以下の論文を参照。

  • ‘Aesthetic and Nonaesthetic’, Philosophical Review, 74 (1965), 135-59.


さらに彼の美的用語の分析から発展する独創性と価値の問題においては以下を参照。

  • ‘Originality and Value’, British Jounarl of Aesthetics, 25 (1985), 169-84

ここでも彼は独創性の概念の記述的な使用と評価的な使用の間に区別をもうける。従来の美学では独創性=芸術的価値とみなされることが多かったが、彼はその記述的使用においては、独創性は作品の識別できる美的特徴の一面であり、価値は本来的に独創性の中に存在しないと主張する。


美的判断の客観性やその正当化、非美的性質と美的性質の違いに関しては上記の‘Particularity, Art and Evaluation’と共に以下の論文を参照。

  • ‘Objectivity and Aesthetics’, Proceedings of the Aristotelian Society, Supplemetary Volume, 42 (1968), 31-54

これらの論文でシブレイは美的判断を色の判断といった非美的判断と比較することで、その差違と類似性から美的判断の客観性の特徴を分析している。この議論は「知覚的証明(perceptual proof)」という美的判断に特異な正当化の仕方が語られる初期の‘Aesthetic and Nonaesthetic’の議論から流れてきたものであり、シブレイの実践的な批評と美的鑑賞の教育への興味が伺われる。そもそも彼の思想の出発店である‘Aesthetic Concepts’においても、ただ美的用語の言語分析を行うだけではなく、それを実践の場でいかに適用できるようになるかという問題は常に彼の中心にあることだ。


さらに音楽の批評、記述の問題としては以下の論文を参照

  • ‘Making Music Our Own’, in Michael Krausz, ed., The Interpretion of Music: Philosophical Essays (Oxfard: Clarendon Press, 1995).


視覚、聴覚以外の美的領域や自然美などに関する議論は以下の論文を参照。

  • ‘Aesthetics and Looks of Things’, Journal of Philosophy, 56 (1959), 905-15
  • ‘Art and the Aesthetic’, tape-recorded lecture for the Open University, Milton Keynes, 1992
  • ‘Aesthetic Judgements: Pebbles, Face and Field of Litter’, Approach to Aesthetics: Collected Essays F. N. Sibley, ed., John Benson, Betty Redfern, and Jeremy Roxbee Cox (Oxford: Oxford University Press, 2001).


美学以外の心の哲学などに関連する議論は以下の論文を参照.

  • ‘Seeking, Scrutinizing and Seeing’, Mind, 64 (1955), 455-78.
  • ‘Ryle and Thinking’, in Ryle: A Collection of Essays, O. P. Wood and G. Pitcher, eds. (Garden City, NY: Anchor Books, 1970).

ちなみに後者の論集はシブレイの師匠であったギルバート・ライル(Gilbert Ryle)のトリビュートものだ。日常言語学派から心の哲学へという英米哲学の大きな流れの中にフランク・シブレイを位置づけることができるのもここから明らかだろう。


その他、共著も含め著作は多数ある。くわしいビブリオは下の論集に載っているので。
Aesthetic Concepts: Essays After Sibley
Emily Brady Jerrold Levinson
0198241011

さらにここであげた美学に関する彼の主要な論文は以下の本にまとめられている。
Approach to Aesthetics: Collected Papers on Philosophical Aesthetics
Frank Sibley John Benson Betty Redfern
0199204136

アマゾンで軽く買えるから買ってしまうおうかな。
それとも研究室にあるみたいから借りるかな。