漢字なのか英語なのかも判らなかったあの落款解読に挑戦。

数日前に、解読できない落款として下記のような落款を掲載した。

この落款が、偶然表紙に書いてあるのに出会い、「アッこれだ」と思い早速調べてみた。



上記の落款とほぼ同じだ。さし絵家は「細木原青起」に間違いない。しかし、どうも腑に落ちない。細木原青起の名前はよく見かけるが、確かこんな落款ではなかったはず。そう思って、細木原の挿繪を探してみた。手元にあった「マンガ明治大正史」(『現代マンガ大観』第3巻、中央美術社、昭和3年)に下記のような挿繪を見つけることができた。


そうそう、こんな風に名前を漢字で書くのが細木原がよく使う落款だ。でもよく眺めてみると、「青起」の「起」が、最初のサインや2番目となる表紙にあったサインとよく似ている。走ると書く篇はそうにょう篇というのだがこんな風には書くんですね。それにしても普通なら名前上の文字「青」を使うのではないかと思いますが、名前の下の文字を書くなんて、普通じゃないよね。

ついでに、昨日の難解だった落款、浅野薫の「薫」も引いてみた。

すると、決して不思議な文字ではなく、ちゃんとこの本の右下にも記載されている正式な文字なんですね。てっきり自己流の創作文字だとおもっていた、が私のほうが無知だったようです。この優れもの『五體字類』は15年ほど前に購入して本棚の肥やし化していたが、今回初めて役に立った。