装丁家・大貫伸樹の装丁挿絵探検隊

2008-04-24 吉川英治が描いた見事な『宮本武蔵』のさしえが…

吉川英治は挿絵もたっしゃだ(なぜか画面に絵がでな〜い、写真をたくさんアップしすぎかな? 皆さん見えてますか?)

『現代名作名画全集 第一巻 宮本武蔵 石井鶴三集』(六興出版、昭和29年)の見返しに、かつてのこの本の所有者が貼ったと思われる、新聞か雑誌の切り抜きが貼ってあった。古本ならではのうれしい拾い物、思わぬ収穫だ。出典は不明だが、これが吉川英治が描いた『宮本武蔵』の挿絵だ。

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装丁:花森安治(『現代名作名画全集 第一巻 宮本武蔵 石井鶴三集』表紙、六興出版、昭和29年)。この装丁はきっと花森安治の装丁に違いない、そう思って散々探したが、どこにも装丁家名の記載がなく、落款もない。花森なら「ha」「Y.hana」等の落款がどこかにあるはずなのだが。


ありました、ありました。このシリーズの第三巻、「自由学校 宮田重雄集』に挟んであった内容見本(チラシ)の「全集の全貌」に「装幀 花森安治氏の苦心になる近代色豊かな豪華版」と、あるのを執念で発見しました。


花森は昭和23年『美しい暮しの手帖』創刊以来の編集長として活躍しながらも、昭和29年には、28万部を記録してベストセラーになった伊藤整『女性に関する十二章』(中央公論社)や伊藤整伊藤整氏の生活と意見』(河出書房)などの装丁を手がけ、新書本のブームをつくったとも言われて、当時の売れっ子装丁家でもあった。


話は、吉川英治が描いた宮本武蔵に戻って……。

なんの目的で描いたのかはわからないが、かなりうまい。これが挿絵家への指示書だとしたら、挿絵家としては胸中穏やかならぬものがあるはず。新聞挿絵の場合は絵型といって、挿絵家に箇条書きの文章を渡したりするが、吉川英治はこんなすごいものを、イメージ画として渡していたのではないだろうな。


この絵には「木曽街道 お通 城太郎」とあり、城太郎が、お通を乗せた馬の手綱を曳きながら木曽街道を歩いているところだ。果たして、石井鶴三が新聞小説に描いたこのシーンは、どんなものだったのか?

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この2点が、石井鶴三が描いた『宮本武蔵 空の巻 普賢』にある木曽街道の絵だ。連載を引き受ける前に下調べをしただけあって、谷川の感じなどが見事の描かれていて、さすがに鶴三と、いいたい。

昔の本には、奥付に検印紙が貼ってあった

この本にも下記のような検印紙が貼ってあり、鶴三の落款と思われる赤い印が押してある。気になるのはこの検印紙をつくった版画家だ。「S.M」と落款があるが、いったい誰が彫った版画なのか? う〜ん、昔、聖書を手描きで書いていた頃の写字生の絵で、かなりいい絵だが、誰のものかはわからない。誰か〜、教えてください。

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水夫(かこ)清水夫(かこ)清 2008/04/28 15:51 記事の内容に関係のないコメントで失礼します。
俳句は世界に広がっています。その様子を私の現代俳画のブログを通して
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