大きな文字や挿絵の印刷はこの木製凸版で

これ、なんだと思います? 昨日事務所の押し入れから袋一杯に詰め込まれ出てきた木製凸版です。活版印刷する時に、活字にはない大きな文字や挿絵などは、このような木製凸版で版を作ります。明治から昭和初期のものか?


 私がデザイナーデビューした頃はまだ活版印刷が盛んで、雑誌などにも活版頁がありました。板橋凸版への出張校正のときでしたが、鉛の活字にない文字があると、小さな活字でも職人さんがすぐに木活字を彫ってくれました。印鑑のように彫るのだが、木活字は新聞や雑誌の本文の小さな文字を彫るのですから、拡大鏡でのぞきながら釘のような細い彫刻刀で彫る、まさに職人技で、でき上がってきた木活字をながめて「すごいね!」と感嘆させられたことがありました。
 写真には、「赤羽王子薬業会選定」「東京蒲田三角堂」「安産妙●」などの文字や、爪切りのようなイラストが確認できる。なぜこのようなものを私が保管していたのか? 必要ないとは思いながらも、また自宅に持ち帰ってしまった。