ナッチャンRera就航
青函航路に「ナッチャンRera」という高速フェリーが今日から就航しているのだそうです*1。タスマニア製。あまり船の宣伝の多くない東京でさんざんTVCMが流れるというのはけっこう珍しい。
このニュースで、どうしても思い出してしまうのが例の「スーパーライナーおがさわら」ですね。スーパーライナーおがさわらに乗ることは半永久的になさそうな今、ナッチャンReraは乗ってみたい船ではありますが、似たような船でありながら方や無事就航。いったいどういう事なのでしょうか…。
公表されているデータから、軽く比較してみましょう。
ナッチャンRera | スーパーライナーおがさわら | 生まれ故郷 | オーストラリア インキャット・タスマニア | 三井造船 玉野事業所 |
船型 | 波浪貫通型双胴船 | 空気圧力式複合支持船(TSL-A) |
長さ×幅(m) | 112.6×30.5 | 140×29.8 |
総トン数(トン) | 10,841 | 14,500 |
定員 | 800 | 725 |
貨物 | 乗用車なら355台 | 210トン |
主な材質 | アルミ合金 | ← |
機関 | ディーゼル+ウオータージェット | ガスタービン+ウオータージェット |
燃料 | 軽油 | ← |
出力 | 9,000kW(≒12,240PS)×4 | 34,000PS×2 |
建造費(百万円) | 9,000(を少なくとも2隻建造) | 11,500 |
採算性についても、青函航路は人(片道5,000円から)だけでなく乗用車やトラックを運ぶ需要がバンバンあるのに対し、ほとんど離島観光しかない小笠原航路ではそうは行きませんね。スーパーライナーおがさわらでは、現行のおがさわら丸(片道22,570円から)よりも飛躍的に値上げしなければならないでしょう。
これらを比較するだけで、スーパーライナーおがさわらがなぜ失敗したかが非常によく分かります。だったら小笠原航路*2も最初からこのような船でやっておけばよかったですね…。
ナッチャンReraを輸入し実際に就航することで、日本の造船技術(あるいはコスト見積り能力や政治家の能力も影響していますが…というのをいちおう補足しておきます)が意外に大したことはない事が確認された、というのが大方の論調のようです。
ちなみに東京からナッチャンReraに乗るには、渋谷・池袋から函館まで、高速バスと組み合わせた運賃(片道12,000円)も設定されているようです*3。
*1:東日本フェリー http://www.higashinihon-ferry.com/
*2:ちなみにナッチャンReraはホバートから東京までノンストップ5日間で回航されてきたそうなので、航続距離的にも問題ないですね。
*3:ブルースター号(その後廃止) http://www.5931bus.com/kosoku/hakodate.html