BOPビジネスという言葉

よくよく考えたら、BOP BUSINESSという呼び方は日本では広まっていっているようですが、あんまり一般的ではないですね。


欧米で多いのはInclusive Businessなんですが、この間も、UNDPとWBCSDのメンバーと話していた時に、Inclusiveって単語はどうなのよ、という話になりました。


日本人の私からすると、「包括する」という単語はちょっと、なんというか、ビジネスが中心にあって、というか多国籍企業のビジネスが途上国に到着して、都市部とかで展開して、その中心にどんと構えていて、BOP層と呼ばれる貧困層をその中心に向かって包括していく、というイメージがあり、あなたたちが目指しているのって、そうではないでしょう、と話していたところでした。


私の感覚としては、ビジネスがBOP層の住んでいるところまで「こんにちは」とたずねていき、ビジネスがそのコミュニティに関わらせてもらう、joinさせてもらう、というのが正しいから、包括するという言葉なんだか侵略みたいに聞こえるよ、という話をしました。


こういう発想はなかったようで、なるほどねー確かに、面白いという話になり、じゃあ、日本ではなんて読んでいるの、と言われ、「うーん、いい言葉が見つからないから、BOPビジネスってみんな呼んでるみたいだよ、適当に…」という話に。ドイツ人には笑われましたが、そこが日本語のいいところでもあるかもしれません。(笑)


結論として、ぐちゃぐちゃ酔っぱらないながら話していたのですが、「サステイナブルな方向性に企業が向かうためのプロセスの一つ」みたいな感じだねえ、ということで皆の意見は一致して結論はおさまりました。


現在、日本でBOPという言葉がもてはやされすぎて、ちょっと心配なんです、という声をたくさん聞きます。


私も心配です。特に来年以降の動きが心配です。


特に、新興市場戦略の一環としてだけの捉え方+社会貢献、という考え方でBOPビジネスを「素晴らしい」と考える人がいたら、正直なところ、その夢は捨てた方がいいですよね。
決して美しくもなく、必ず社会にいいインパクトを与えるとも限らず、必ず市場を確保できるとも限りません。

それは他のビジネスとなんら変わりがないのですが、ひとつ違うとすればサステイナブルにビジネスを継続させていくための要素をたくさん盛り込んで考慮すればするほど、このビジネスの実現可能性は高まる、ということだと思います。


この頭の切り替えが非常に難しいのだな、と感じています。
そして、頭の切り替えができていないビジネスがたくさん途上国に到来してしまわないことを祈るばかりです。