お別れしましたが、新たな出会いが待っています

日、昼過ぎにバイク屋さんが来て、下取りのためにバイクを査定し、交渉が成立したので引き取られていきました。
10年以上連れ添った相棒と、お別れ。
いや、相棒なんて言ったら怒られるだろうな・・。
ここ数年は、全然乗ってあげられなかったし。
そこは本当に申し訳ないことをしたなと、つくづく思う。
バイクはやっぱり走ってナンボ。
走る機会も無く、軒先でカバーをかけられ、徐々に朽ちていくだけの毎日というのは、きっと寂しかったろう。


バイクにそれほど詳しくない人が見ると、大型車にしか思えない大きな車体。
ツーリングで出掛けた先で、「これ、ナナハンくらいあるの?もっと大きい?」って話しかけられる事もしばしば。
ほとんど見かけることのない珍しいバイクだから、正体不明なんだろうね。
「ヨンヒャクですよ」と教えると、「えっ!大型じゃないの!?」とビックリされる。


大柄で重い車体に非力なエンジン。
前後タイヤはオフ車サイズ。
当然、キビキビ走るのは苦手。
加速も、減速も、コーナリングも、「ヨッコラショ」って感じでワンテンポ遅い。
良く言えばドッシリと安定した乗り味。
急がず、長い距離を淡々と走るのが得意。
悪く言えば、鈍重。


でも、この乗り味のお蔭で、ノンビリと景色や空気を楽しみながら走ることを知ったんだ。
大柄で重いから、ちょっと寄り道して細い道に入ってみよう・・なんていうのは億劫だったけど、とにかく急がずに道中を楽しむことを教わった。
これは、本当にこのバイクのお蔭。
「あぁ、オレって、こういうのが楽しいんだ」って気付かせてくれた。


今度の新しいバイクも、同じジャンルのバイク。
ただ、現行モデルなので、20年前のバイクから乗り換えるオレにとっては、高性能すぎてちょっと怖い^^;
車体は、これまでの相棒とほぼ同じ大きさ。
車体重量も、あまり変化なし。
しかし、エンジンのパワーは倍以上。
でもね、基本的にはこれまでと同じく、長距離をノンビリと、淡々と走るのが楽しいバイクを選んだはず。
これからは、エンジンパワーが足りないからノンビリ走るのではなく、パワーはあるけど自分の楽しみのためにノンビリ走ることになる。
いつかどこかでパワーを炸裂させたくなるだろうけど、そこは我慢だね。
せっかく知った自分なりのバイクの楽しみ方を、今度は最新のバイクで試してみるつもり。


相棒よ、今までありがとう。
君を預けたのは、とても信頼できるショップだから、そこでしっかり整備してもらって、また新しいオーナーのもとで元気に走っておくれ。
発売当初からあまり人気が無く、すでに市場での取引もほとんど無い絶滅危惧種となった君だけど、ここにきて、ツアラーとして再び見直されていると聞く。
コストカットを優先したプラスティッキーな最新モデルには無い、どっしりとした重量感と、とにかく頑丈な隠れた名車として、必死に探している熱心なファンもいるらしいので、きっと、新しいオーナーは君を大事にしてくれると思う。
スピードを求めさせない君の独特の乗り味。
スピードを諦めさせる代わりに、道端の小さな草花や、空気の匂いの微妙な変化に気付かせてくれる。
目を三角にしてレースまがいの走り方をするのだけがバイクじゃない。
力を抜いて、風景や、風の中に身を投じて自然を感じるのもバイクの素晴らしい楽しみ方。
是非、是非、次のオーナーにも君ならではの楽しみ方を伝えていってほしい。
無茶な運転をして事故でケガをしたり、あるいは命を落とす前に、ゆっくりノンビリと、力を抜いて、焦らず急がず、四季折々の自然を味わいながら走ることを教えてくれた君に感謝。
本当にありがとう。
そして、さようなら。