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一条真也の新ハートフル・ブログ

2013-02-22

もしドラ講演会

一条真也です。

21日は、朝から東京・赤坂見附のホテルで3件の打ち合わせ。
その後は羽田空港に向かい、スターフライヤーで北九州に帰りました。
サンレー本社に寄って稟議書チェックに打ち合わせを数件した後、リーガロイヤルホテル小倉に向かいました。今夜は、わたしの尊敬する「ダンディ・ミドル」こと大迫益男さんが会長を務められる北九州中小企業経営者協会(中経協)主催の講演会に参加するためです。

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講演する岩崎夏海氏



講師は、岩崎夏海氏。そうです、あの大ベストセラー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(ダイヤモンド社)の著者です。本の書名は長いですが、『もしドラ』の通称で有名ですね。じつに255万部、電子書籍15万部を突破されているそうです。いやあ、すごいですね!
演題は、「なぜ今ドラッカーが求められるか」でした。じつは、来年のドラッカー学会の全国総会が福岡で開催され、わたしに基調講演およびパネル・ディスカッションへの参加のオファーが来ています。それで、少しでも参考にさせていただくべく今夜の講演会に伺わせていただきました。

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最前列で岩崎氏の講演を聴く大迫会長



わたしの姿を見た大迫会長はちょっと驚いた表情をされました。
わたしに「あんた、僕の隣に座りなさい」と言われましたので、お言葉に甘えて最前列の大迫会長のお隣で講演を聴かせていただきました。
正直に申し上げて、わたしは『もしドラ』をまだ読んでおりません。元AKB48の前田敦子チャン主演の同名映画も観ておりません。それでも、ドラッカーがテーマというだけあって、岩崎氏のお話は興味深く聴くことができました。

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イノベーションの話が参考になりました



特に、アマゾンの話が面白かったです。アマゾンは地方の書店を駆逐する気で配送無料キャンペーンを行い、次の標的は家電量販店だというのです。また、ブラック企業について、社員をゴリゴリ削っていかないと競争で生き残れないと言われていました。ここで、ようやくドラッカーの名が登場します。
ドラッカーは「情報化社会とは競争化社会である」と予言し、つまるところ「顧客が際限なく強くなる社会」を予見したといいます。



マネジメントとはマーケティングとイノベーションの2つに尽きるが、いずれも誤解されている。マーケティングは販売戦略と誤解している人が多いが、むしろ商品開発であり、サービス開発である。また、イノベーションが技術革新というのは弊害のある誤解で、多くの製造業、特に家電メーカーがその誤解によって苦境に立たされている。すでにハイビジョン・テレビで満足している消費者にさらに4Kテレビを売ろうとするなど、その最たるものである。イノベーションとは価値の革新であり、その目指すところは「競争しないこと」だというのです。


もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら


岩崎氏は、『もしドラ』を書く際にもマーケティングを行使されたそうです。
ドラッカーの教えにならって「真の顧客は誰か」ということを自問し、「本にとって、真の顧客は誰か」を考え抜きました。あるとき、12月23日の天皇誕生日の日に書店のレジ前に行列ができているのを目撃しました。その人々は、みんな絵本や児童書を持って並んでいました。そう、彼らは子どものクリスマス・プレゼント用の本を買いに来ていたのです。岩崎氏は、「読むための本」ではなく「プレゼントするための本」という発想に至りました。ある経営者は、社員にマネジメントを学んでもらうために『もしドラ』を100冊購入し、ある経営者は病気で入院中に見舞い客から16冊もプレゼントされたそうです。



ここに、今までなかった「プレゼント用のビジネス本」という新しい価値が生まれました。これこそ、バリュー・イノベーションそのものだったのです。
わたしは、ちょっとAKB48のCDを大量購入する熱狂的なファンの姿を思い浮かべました。あれも一種のバリュー・イノベーションなのでしょうか?
ちなみに、わたしはAKB48の良さはよくわかりません。でも、AKB48公認ものまね女芸人という“キンタロー。”は大好きです、はい。




そして、イノベーションの第一歩は「新しいことを始める」のではなく、「今やっていることをやめる」ことである。やめるべきことというのは、一番やめたくないものである。捨てるべきものとは、一番捨てたくないもの。そして、それは「過去の栄光」であるというのです。「過去の成功体験」と言い換えてもいいでしょう。



たとえば、名前というのは捨てたくないものの最たるもので、企業においても同じ。富士フィルムは名前が捨てられずに現在も苦境にあるが、アップル・コンピュータから500億円の使用権利料をビートルズのレコード会社に支払ってでも「アップル」に社名変更したスティーブ・ジョブズの会社は大躍進を遂げました。
岩崎氏は非常に落ち着いた語り口で、ドラッカーのマネジメント思想について語られ、大変勉強になりました。

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岩崎氏と名刺交換しました
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岩崎夏海氏と



講演会終了後は懇親会が開かれ、わたしは岩崎氏と名刺交換し、ドラッカーについていろいろと意見交換をさせていただきました。
また、大迫益男会長ともお話できて嬉しかったです。じつは一昨日、大迫会長からメールを頂戴し、そこには「ブログ再開、おめでとうございます。言葉が溢れて仕方が無いのでしょうね。羨ましいの一言です」と書かれていて、感激したばかりです。わたしは北九州を代表する読書人である大迫会長から多くの面白い本を紹介していただきました。たとえば、白石一文の一連の小説。たとえば、『ビブリア古書堂の事件手帖』。いずれも、とても面白く、時間の経つのを忘れて読み耽りました。一昨日は、原田マハの『楽園のカンバス』と『キネマの神様』を教えていただきました。早速、読みます。

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大迫益男会長と



懇親会の後も、ホテル最上階のBARで二次会が開催され、きわめて限られたメンバーで飲みました。わたしは岩崎氏の正面に座らせていただき、ここでもドラッカー論議をさせていただきました。秋元康氏や峰岸みなみチャンの話題なども出て、岩崎氏にはじつに興味深い話をしていただき、あっという間に時間が過ぎてゆきました。結局、赤ワインにヤキソバにピッツアで23時過ぎまで岩崎氏にはお付き合いいただきました。わたしも講演などをやらせていただき機会がありますが、講演後の懇親会や二次会が辛くて辞退させていただくこともしばしばです。今夜の岩崎氏は嫌な顔ひとつせず、最後までお付き合い下さいました。



ところで、2009年は、ドラッカーの生誕100周年でした。
記念して、わたしは『最短で一流のビジネスマンになる! ドラッカー思考』(フォレスト出版)を同年の9月25日に上梓しました。
幸い、同書は大きな話題を呼び、アマゾン総合で10位以内にも入りました。
元アマゾンのカリスマ・バイヤーで現在はビジネス本の書評家である土井英治氏も、自身の人気メルマガ「ビジネスブックマラソン」で取り上げてくれました
しかし、その後、ドラッカー生誕100周年レースの最後に思わぬダークホースが忽然と出現しました。そうです、同年12月4日に刊行された『もしドラ』です。


最短で一流のビジネスマンになる!ドラッカー思考~一流の思考を身につける!47の実践テクニック~


ベストセラー街道を走りつつあった『ドラッカー思考』は、直後に現れた超新星の『もしドラ』によって失速、そして駆逐されてしまったのです。(涙)
その意味では、わたしにとって岩崎氏は「憎いあンちくしょう」なのです。(笑)
わたしは、『もしドラ』の企画は版元であるダイヤモンド社が企画して、それを岩崎氏の師匠である秋元康氏がプロデュースしたものだとばかり思っていましたが、岩崎氏に直接伺ったところによれば、それは誤解でした。もともと、岩崎氏が『もしドラ』のアイデアを思いつき、それをブログに書かれたそうです。それがダイヤモンド社の関係者の目に止まり、企画が実現したというのです。そんな話、現実にあるのですね。『もしドラ』は200万部以上の大ベストセラーですが、同じく200万部以上売れた本に野口嘉則氏の『鏡の法則』があります。
ブログ「人間学の専門家」に書いたように、『鏡の真実』の内容は野口氏のブログをまとめたものだそうです。う〜、俺も新ブログがんばらねば!



岩崎さん、遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました。あなたの本のおかげで、ドラッカーのマネジメント思想を日本中の人たちが知ってくれたこと、ドラッカー本人の著作が広く読まれるようになったこと、本当に感謝しています。今度は、ぜひ東京でお会いしたいです。これからも、それぞれの道は違いますが、わたしもドラッカー思想の普及のために微力ながら尽力する覚悟です。
岩崎さん、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、今日の岩崎氏の講演にはアマゾンの話題がたくさん出ました。
アマゾンといえば、ベスト100レビュアーである「不識庵」さんが、自身のブログでわたしのドラッカーへの想いを書いて下さいました。ぜひ、お読み下さい。




*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。
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2013年2月22日 一条真也