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一条真也の新ハートフル・ブログ

2013-08-03

丹羽宇一郎氏との再会

一条真也です。
今日は朝から新幹線で博多へ、そこから「ヒルトン福岡シーホーク」に向かいました。そこで「JCBサマーセミナー」として丹羽宇一郎氏の講演会が開催されるのです。丹羽氏とわたしの関わりについては、ブログ「丹羽宇一郎氏」ブログ「丹羽大使からの手紙」などをお読み下さい。

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丹羽宇一郎氏と



丹羽氏は、伊藤忠商事の会長・社長、国連世界食糧計画WFP協会の会長などを歴任され、2010年6月に中華人民共和国駐箚特命全権大使に就任された方です。また、ブログ『新・ニッポン開国論』ブログ『負けてたまるか!若者のための仕事論』で紹介した本をはじめ、数多くの名著を書いておられます。
わたしは、心から丹羽氏を尊敬申し上げています。
本当は、昨年わたしが孔子文化賞を受賞した後で北京を訪問し、丹羽大使に受賞の報告に伺いたいと思っていました。しかし、尖閣諸島の問題などから事態が急変し、丹羽師も大使をお辞めになられたことは周知の通りです。
今日、講演前の控室を訪れて、丹羽氏に久々にお目にかかりました。
わたしが「お久しぶりでございます」と御挨拶すると、丹羽氏は「お元気そうですね。御活躍のようで、何よりです」と言って下さいました。
名刺交換すると、丹羽氏の名刺には「早稲田大学特命教授」とありました。
わが母校の特命教授に就任されたことを初めて知り、嬉しかったです。


冠婚葬祭からビジネスまで 徹底比較! 日中韓しきたりとマナー (祥伝社黄金文庫) 死が怖くなくなる読書:「おそれ」も「かなしみ」も消えていくブックガイド


わたしは『徹底比較!日中韓 しきたりとマナー〜冠婚葬祭からビジネスまで』(祥伝社黄金文庫)、『死が怖くなくなる読書』(現代書林)の2冊をお渡ししました。大の読書家である丹羽氏は、大変喜んで下さいました。
ちなみに、丹羽氏は幼少の頃から『論語』に親しんでこられたそうです。
孔子の教えが自分の「こころ」を作ってくれたと言われていました。



わたしは、丹羽氏は「礼」と「智」の人であると思っています。
すなわち、総合的な「教養」のある方であると思っています。
丹羽氏からは、ご著書が刊行されるたびに送られてきます。
わたしも、自分の新刊を丹羽氏に送らせていただいています。
すると、御多忙にもかかわらず、必ず丁重な礼状が届きます。
頭が下がるほど、「礼」を重んじられる方なのです。
「礼」とは「人間尊重」ということです。
きっと、すべての人間を尊重されている方なのでしょう。
「礼」はもともと孔子が最重視した思想です。
もちろん、中国で生まれた考え方です。



また、「智」とは物事の善悪を知ることです。
総合商社のトップという最も過酷なビジネスの場に長年身を置きながら、丹羽氏はけっしてダーティーな部分に手を染めませんでした。
それどころか、財界人でこんなに正義感の強い方がいるのかと驚くほどです。
単に利益を追求することなく、国連WFP協会の活動などを通じて、常に社会への貢献というものを主眼としています。


負けてたまるか! 若者のための仕事論 (朝日新書)


そして、丹羽氏ほど教養のある方はいません。
『負けてたまるか!若者のための仕事論』(朝日新書)を読むと、「人は読書で磨かれる」と思っておられるそうです。
読書の効用としては、まず論理的思考が養われることをあげておられます。
「経営とは論理と気合い」と考える丹羽氏は、多くの人間を引っ張っていくには「ついてこい」と叫ぶだけではダメで、きちんと論理的に説明して納得させなければ人は動かないといいます。また、話をすると、相手が本を読んでいる人間かどうか、だいたいわかるそうです。言葉の選び方にしろ、話し方にしろ、多少乱暴であっても、自分の思いを的確に表現する言葉を選び、それを順序立てて説明できる能力があれば、言いたいことはしっかり伝わる。そして、ここが重要ですが、これは読書でしか培われません。



さらに、論理的思考が養われれば、自らの言動も論理的にとらえられます。
丹羽氏は、同書で次のように述べます。
人間には本来「動物の血」が流れている。
人類が誕生して以来、「動物の血」は200万年も脈々と息づいている。
一方、神々の血、すなわち「理性の血」はたかが4000年から5000年にすぎない。どちらが勝つかといえば、間違いなく「動物の血」です。丹羽氏は、読書によって「動物の血」を抑制することができると主張し、こう述べます。
「最近では、親殺し子殺し、あるいは通り魔的殺傷事件が後を絶ちません。不満や愚痴がたまると、それを抑制できずにすぐキレてしまう。自分で自分の感情をコントロールできなくなっているのです。これは、読書をしていないことも一因ではないかと私は考えています。」
わたしは、この文章を読んで、非常に感動しました。
丹羽氏が名古屋の書店の息子さんとして生を受けられたことは知っていました。
でも、ここまで本への信頼、本への愛情がある方も珍しいと思います。
「理性の血」が真の「教養」につながることは言うまでもありません。



同書の最後で、著者は「教養」について触れています。「教養というのは相手の立場に立って物事を考える力があること」として、次のように述べます。
「どうしたら教養を身につけることができるか。もちろん読書も大事です。そしてたくさんの人と接し、人間社会で揉まれることです。自分の思い通りにならないことも多々あるでしょう。そんなとき、なぜなんだろうと立ち止まってみる。自分に非はないかと謙虚に省みる。」
こうした経験を積んでいくことで、相手の立場に立って物事を考えるということが少しづつわかる、つまり少しづつ「教養」がついてくるというのです。
このような教養についての考え方は、孔子にも通じます。
丹羽氏には、孔子のような「人間通」のたたずまいがあります。



丹羽氏は、中国大使として大変な苦労をされました。
尖閣問題で渦中にあるとき、心ない言葉で丹羽氏を批判した人もいました。
しかし、今思えば、あのときの丹羽氏の発言は正しかったことがわかります。
日中両国にとっての明るい未来を拓くためには、何が必要か。それは、丹羽氏の価値観を育てあげる力となった「孔子の思想」ではないでしょうか。わたしは、日中の国交において「仁」「義」「礼」「智」「信」が必要であると信じます。

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講演後の交流会でもお話しました



今日の講演も、示唆に富んだ素晴らしい内容でした。
詳しくは、ブログ「丹羽宇一郎氏講演会」をお読み下さい。
講演後の交流会でも、丹羽氏とはいろいろとお話をさせていただきました。
わたしが「東アジアにおける冠婚葬祭ビジネスの可能性」についてお話すると、非常に興味を持って下さいました。丹羽氏にご相談したいことは色々とあります。今度、東京の帝国ホテルにある事務所をお訪ねしてみたいと思います。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年8月3日 一条真也