熊本地震とグリーフケアの未来

一条真也です。
わたしは、終活WEB「ソナエ」で「一条真也のハートフル・ライフ」を連載しています。「日本の心」や「心ゆたかな生き方」をテーマに月に2回、コラムをお届けしております。その第32回目が本日アップされました。


熊本地震とグリーフケアの未来



第32回目のタイトルは、「熊本地震とグリーフケアの未来」です。
4月14日の夜、わたしは東京の某シティホテルのインターナショナルレストランを訪れました。日頃より親しくさせていただいている宗教哲学者の鎌田東二先生が教授を務めていた京都大学こころの未来研究センターを定年退職されました。鎌田先生は、この4月から上智大学グリーフケア研究所の特任教授に就任され、そのお祝い会を開いたのです。同研究所の所長である宗教学者島薗進先生(東京大学名誉教授)も一緒でした。



7月20日(水)に上智大学でわたしが2回講義を行うことが決まりました。グリーフケアについての考え方や想いを述べさせていただきます。グリーフケアは、2011年3月11日の「東日本大震災」で一気に認知されました。2011年は「グリーフケア元年」などと呼ばれましたが、会食後、ホテルの客室に戻ってテレビをつけたところ、熊本でM6.5の地震が発生したことを知り、大変驚きました。


熊本地震とグリーフケアの未来



テレビ局はすべてがこのニュースを報じており、事の重大さが伝わってきました。その緊迫感は、3・11のときを思い起こさせました。16日の未明には同じく熊本でM7.3の大地震が発生しました。1995年の阪神・淡路大震災クラスです。一連の地震により、多くの人々が愛する人を失いました。愛する人を亡くされた方々は、いま、この宇宙の中で一人ぼっちになってしまったような孤独感と絶望感を感じていることでしょう。フランスには、「別れは小さな死」ということわざがあります。愛する人を亡くすとは、死別ということです。愛する人の死は、その本人が死ぬだけでなく、あとに残された者にとっても、小さな死のような体験をもたらすと言われています。


『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)を紹介



『のこされたあなたへ』佼成出版社)を紹介



愛する人」と一言でいっても、家族や恋人や親友など、いろいろあります。親を亡くした人は、過去を失う。配偶者を亡くした人は、現在を失う。子を亡くした人は、未来を失う。恋人・友人・知人を亡くした人は、自分の一部を失う。愛する人が亡くなったこと、自分が残されたことの意味を考える・・・・・・この熊本地震で学んだことを糧にして、わたしは新しいグリーフケアの未来を拓きたいと願っています。


次回は5月16日にアップの予定です!



次回の「一条真也のハートフル・ライフ」は、5月16日(月)にアップされる予定です。タイトルは「死んだ気になる映画『レヴェナント』」です。映画「レヴェナント:蘇えりし者」を観ました。第88回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞など同年度最多の12部門にノミネート、ディカプリオが主演男優賞を受賞して自身初のオスカー像を手にしました。狩猟中に瀕死の重傷を負ったハンターが、自分を荒野に置き去りにした仲間に復讐するため壮絶なサバイバルを繰り広げるさまを描いているのですが、究極の「死が怖くなくなる映画」であると思いました。なぜなら、一度死んだはずの者が蘇える話だからです。数少ないセリフの中に「死など怖れない」というディカプリオのセリフが出てきますが、確かに死者にとって死は怖くないでしょうね。よく「死んだ気になって頑張る」などと言いますが、心の底から「自分は死者である」と思い込んでしまえば、死の恐怖など消えていくのです。次回はそんなことを書きます。どうぞ、お楽しみに!



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2016年5月2日 一条真也