SMAPラストソング

一条真也です。
26日の夜、年末に解散するSMAPのグループ唯一のレギュラー番組であるフジテレビ系「SMAP×SMAP」の最終回が放映されました。
午後6時30分から約5時間の特番で放送され、20年以上に及ぶ番組を過去の映像で振り返ったそうですが、わたしは会社の忘年会があったので、最後の1時間ぐらいしか観れませんでした。


「スポーツ報知」12月27日号



番組のラストでは、5人揃っての最後の歌唱となる「世界に一つだけの花」を披露しましたが、わたしは「国民的アイドルグループにしては、あまりにも寂しい終わり方だな」と思いました。歌い終えた後、リーダーの中居正広がこらえ切れず、後ろを向いて涙を隠したシーンは27・4%の瞬間最高視聴率だったそうです。



最後の5人揃った姿を見たとき、わたしはまず「キムタクが若くなった!」と思いました。髪型やメイクなど、明らかにこれまでと違って若い印象になっている。おそらくはSMAP解散後の活動を視野に入れたイメージ作りでしょう。そして、これは「世界に一つだけの花」を聴いた者は誰もが思ったでしょうが、「SMAPって、こんなに歌が下手だったのか!」と思いました。



もちろん、もはや芸の域にまで達していた中居の歌唱力だけでなく、SMAPがそれほど歌の上手いグループでないことは知っていましたが、さらに酷くなっている。これは、とりもなおさず、グループ結成25周年というのに記念ライブも行なわず、新曲も発表せず、歌謡番組にも出演せず、つまりはSMAPとしての歌手活動を行ってこなかったことの結果であると思いました。



ブログ「有終の美を飾らなかったSMAP」に書いたように、SMAPは大みそかのNHK紅白歌合戦の出場辞退も発表しています。これにはネット民たちが「メンバーは出場したいと思っていたのに、ジャニーズ事務所が辞退させた」とか「SMAPが出場すれば、大トリの嵐がかすんでしまうのを事務所が嫌った」などと言っています。他にも出場辞退の憶測がいろいろと流布していますが、わたしはスマスマ最終回での「世界に一つだけの花」を聴いて、「もう、SMAPには生のパフォーマンスをする力はないな」と悟りました。
紅白出場はおろか、スマスマ最終回での生出演を避けた原因もすべてはそこにあるように思います。正直、カラオケがこれだけ普及した現在、SAMPよりもはるかにレベルの高い歌唱力でSMAPのナンバーを歌える素人はゴロゴロしています。昨夜、わが社の忘年会での若手社員たちがSMAPを歌いましたが、かなり上手でした。


「スポーツ報知」12月27日号



SMAPのラストアルバムはファンの想いもあって、ヒットチャートの1位になったそうです。しかし、SMAPはバラエティでブレイクしたタレントであり、もともと歌手としては厳しかったと思います。そして、その問題は後輩である嵐にも共通しています。キムタクは俳優として、中居は司会者として、一流のスキルを持っています。この2人は解散後も間違いなく活躍するでしょう。
しかし、あとの3人には厳しい現実が待っているでしょうね。
40代でアイドルを続けていくのは大変です。その意味で、SAMPのメンバーにとって今回の解散は良い契機だったのかもしれません。まあ、嵐のメンバーだって30代なので時間の問題ですが・・・・・・。


ジャニーズと日本 (講談社現代新書)

ジャニーズと日本 (講談社現代新書)

それにしても、ジャニーズ・タレントは不思議な存在ですね。
ジャニーズ事務所は、これまで初代ジャニーズフォーリーブスたのきんトリオ、シブがき隊、少年隊、光GENJI,SMAPTOKIO,V6、KINKI KIDS,タッキー&翼、嵐・・・・・・と数々の人気タレントを生み出してきました。
いま、『ジャニーズと日本』矢野利裕著(講談社現代新書)という本を読んでいるのですが、「はじめに」に以下のような文章がありました。
「戦後、つねにアイドル事務所のトップとして君臨してきたジャニーズだが、ジャニーズの表現は、必ずしも万人に受けるようなものばかりではない。彼らのミュージカルや舞台の演出は、初めて見れば異様に感じる世界観が詰め込まれている。コンサートでは、ともすればダサいとも思える一種独特の衣装を着ている。グループにひとりはかっこよくないメンバーが混じっている、なんて冗談半分に言われることもある。かと思えば、かなり斬新な楽曲を、ポピュラー音楽として普通に流通させたりする」



SMAPは、有終の美を飾りませんでした。
有終の美を飾らないと、次のステージには絶対に進めません!
じつは、「有終の美を飾らない」ことは「葬式は、要らない」に通じています。
「有終の美を飾らない」や「葬式は、要らない」はともに「愛のない時代」を象徴するキーワードであるとだけ言っておきます。解散撤回を願う署名を37万人分以上も集めたファンはSMAPに限りない「愛」を示しました。
でも、彼らにファンへの「愛」はありませんでした。
SMAP現代日本の「心の闇」を読み解く鍵であると思います。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2016年12月27日 一条真也