Hatena::ブログ(Diary)

一条真也の新ハートフル・ブログ

2017-12-24

WJロングインタビュー  

一条真也です。
12月24日は、クリスマス・イブですね。NEW松柏園ホテルのクリスマス・イルミネーションが美しいです。ブログ「『ウェディングジャーナル』取材」で紹介したように、10月10日、ブライダル業界のリーディング・マガジンとして知られる「ウェディングジャーナル(WJ)」さんの取材を受けました。ウェディングジャーナル社の北折社長が小倉に来られ、松柏園ホテルの貴賓室でインタビュー取材をお受けしました。その掲載誌が届きました。

f:id:shins2m:20171222154031j:image
WJ2017年12月号の表紙



巻頭6ページにわたる記事は「ザ・ロングインタビュー」として「ブライダル業界はもっと儀式を重要視し、その大切さを世の中に訴えていくべき」という大見出しがついています。リード文として、以下のように書かれています。
「日本を代表する冠婚葬祭互助会の1社、サンレー(本社・福岡県北九州市)が、昨年から続く創立50周年記念事業の総仕上げとして新たな結婚式場をオープンした。満を持して誕生した新施設『ヴィラルーチェ)』は早くも圧倒的な人気を集めている。サンレー社長の佐久間庸和氏は『一条真也』というペンネームで作家としても活躍する異色の経営者。その佐久間氏の目には今のブライダル、そして日本の儀式文化はどのように映っているのか。佐久間氏が描く冠婚葬祭事業者の未来の姿も含めてたっぷりと語ってもらった。(聞き手・本誌編集長 北折賢史)」

f:id:shins2m:20171222154133j:image
WJ2017年12月号より



まずは「50周年事業の総仕上げ 創業の地に誕生した新館『ヴィラルーチェ』」として、以下のように書かれています。
――今年10月、サンレー創業の地に立つ松柏園ホテルに、新館「ヴィラルーチェ」がグランドオープンしました。光や水、緑など自然の要素をふんだんに取り入れたリゾート感あふれる結婚式場ですね。
【佐久間】当社は九州で2番目の冠婚葬祭互助会として1966年に創業しました。新館は50周年記念事業の総仕上げとして位置づけた2年がかりのプロジェクトでした。私は2001年に現会長の後を継いで社長に就任しました。地元・北九州で高齢化が加速していたこともあり、まずは葬儀の方に注力しましたが、資金的な余力がなく婚礼施設に投資できない状況に忸怩たる思いもありました。というのも、わが国でハウスウェディングが誕生したのは1990年代の終わり頃とされていますが、私の中ではそれより10年ほど前から同様のアイデアを持っていたんです。私は大学卒業後、広告代理店でテーマパークや博覧会の仕事に携わり、当時から結婚式場のテーマパーク化をずっと考えていました。2000年代に入ると全国でハウススタイルの結婚式場が次々と誕生し、「本当は自分がやりたかったのに…しかし今はできない」と悔しい思いを噛みしめていました。
ところが流行りのスタイルがどんどん変遷していく状況を見ているうちに、「ちょっと待てよ。焦って流れに翻弄されるより、状況が落ち着くまで待つのが賢明ではないか」と考えるようになりました。そんな経緯があっての新館プロジェクトだったのでトレンドを追うというよりも、歳月を経ても陳腐化しない普遍性や、より本物にこだわることを重視してこのようなスタイルとなりました。全体で約10億円の投資でしたが、おかげ様で受注は好調で来年度の婚礼組数は前年比185%の300組を見込んでいます。

f:id:shins2m:20171010111159j:image
インタビュー取材のようす



――今回、松柏園ホテル本館のエントランスも国道沿いに移動しました。隣り合う新館と合わせて全長70mもの外観が国道沿いに現れ、スケール感を感じるとともに、早くも地域のランドマークとなっている印象を受けました。
【佐久間】ありがとうございます。確かに、新たに誕生した施設の「顔」が大きなアピールとなり、オープン効果を押し上げてくれている面もあると感じています。今回のプロジェクトでもうひとつ意識したのは、街の景観にしっくり溶け込むということです。例えば、新幹線で小倉から東京に向かう道すがら車窓を眺めていても、かなりの数の結婚式場が視界に入ってきます。個人的な印象ですが、残念ながら街の景観にマッチしていないと感じる施設も少なくありません。新館「ヴィラルーチェ」は美術館のように、シンプルだけれども街に溶け込み、同時にその街のステイタスを高めるような施設をイメージして作りました。おかげ様で住民の方々からもご評価をいただいて嬉しく思っています。
 
f:id:shins2m:20171222154239j:image
WJ2017年12月号より



また、「キーワードは温故知新 名門・松柏園ホテルの強みを今一度訴求していく」として、以下のように書かれています。
――今回のプロジェクトではホテル本館と合わせて「温故知新のシナジー戦略」というキーワードを掲げられています。新館に設置された「女性専用パウダールーム」や「いたわりトイレ」など最新のおもてなしサービスとともに、北九州で最も長い歴史を誇る名門・松柏園ホテルの伝統・格式という強みを今一度訴求していこうという意気込みも感じます。
【佐久間】当初は本館も全て壊して建替える案もありましたが、それはやめました。それは文化の破壊になると思ったからです。
手前味噌ですが、松柏園ホテルには古き良きものがたくさんあります。日本の伝統文化である小笠原流礼法の茶室や「陶芸界の巨匠」として有名な加藤唐九郎の大陶壁などの芸術作品。何より「料理といえば松柏園」といわれる伝統の味とサービス。こうした“資産”を改めて再確認し、しっかり継承していく機会にもしたいと考えました。
私は今後、婚礼においてもホテル回帰の流れが必ず起こると考えています。やはり伝統ある老舗のホテルには、日本人にとって心地よい落ち着きやクオリティを感じるものです。本館では婚礼や一般宴会以外にも、成人式、七五三、長寿祝なども積極的に受注して、様々な「おめでとう」を発信する装置としての松柏園ホテルでありたいと考えています。



――松柏園ホテルを訪れてまず印象的だったのは、瀟洒なシャンデリアのあるヨーロピアンな雰囲気のロビーと、ガラス越しに広がる朱色の野天傘を配した純和風の日本庭園が、決してミスマッチではなく、しっくりと融合していることでした。佐久間さんの著書の中にもある「ハッとしてホッと」という感覚、すなわち「デラックスとリラックスの共存」にも通じるものなのかなと思ったのですが。
【佐久間】そうですね、ロビー周りに限らず松柏園ホテルには日本に昔からある「和洋折衷」というコンセプトが貫かれています。
改装を無計画に重ねた結果こうなった、というのではなく、和洋折衷が醸し出す魅力を強く意識して作り上げてきたものです。ゴージャスやスタイリッシュなチャペルやバンケットは人に魅力的な刺激を与える一方で、緊張感やストレスを与える面もあります。でも一歩外に出て日本庭園や大広間の和室があると、なんとなく寛ぎや癒しを感じる。そういう要素がホテル・式場には必要だと思うのです。
以前に都内の最高級外資系ホテルに宿泊した際こんな経験をしました。館内に足を踏み入れると完璧にスタイリッシュな空間で、ベルボーイもまた隙のないイケメン揃い。でもそのボーイさんの口から明らかに地方訛りの言葉が聞こえた瞬間に、自分の中の緊張感がすっと解けていくのを感じました。まさに「ハッとしてホッと」です。ホテル側はおそらく意図をもってそうした方を採用したのだろうと私は思いました。昨今の結婚式場は最初から最後まで緊張を強いるものが多いように感じます。でも私たちはサービス業ですから、華やかな面も見せつつ、最後はホッとして帰っていただく。それが本当のおもてなしではないかなと私は思うのです。

f:id:shins2m:20171010111300j:image
インタビュー取材のようす



――以前にお話を伺った際に、佐久間さんが「結婚式は面倒くさいものであるべき」と言われていたのがとても印象的でした。結婚式の場で本当の覚悟を与えないから安易に離婚してしまう。業界が「別れやすい結婚」を作ってしまっているのではないかと。
【佐久間】日本の結婚式には離婚をしにくくさせるノウハウが無数にあったと思うんです。仲人や主賓の存在、結納という儀式、文金高島田の重さや痛さ、大人数の前でのお披露目。どれも面倒でストレスのかかることばかりです。もうこんな大変なことは二度とやりたくない、それが安易な離婚の抑止力になっていた。昨今はカジュアルな合コンの延長のような感覚で結婚パーティーを開いてしまうから、簡単に離婚してしまうのではないか。
当社が意識しているのは、離婚発生率の低い結婚式場の運営です。結婚式場はいわば「夫婦工場」ですから、その製品である夫婦が離婚するということは、不良品や粗悪品を製造していることに他なりません。離婚しない夫婦を作ることは最もお客様の利益、幸福につながると思うのです。
そのためにはやはり儀式を大切にすることです。当社のスタッフはお客様に儀式の大切さをしっかりとお伝えしているので、松柏園ホテルでは年間150組ほどの結納・顔合わせが行われています。結納は「結び納める」こと。昨今のイージーな結婚式だと蝶々結びのようにすぐにほどけてしまう。結納は簡単にほどけないようにぐるぐると固く結ぶ儀式なのです。ブライダル業界はついついパーティーの提案ばかりに力を入れがちです。業界として、儀式をもっと重要視し、その大切さを訴えていくべきだと思います。



――佐久間さんは「一条真也」のペンネームで2016年11月に『儀式論』(弘文堂)という全600ページにも及ぶ著書を上梓されました。昨今では婚礼の「なし婚」だけでなく、葬儀の領域でも「直葬」と呼ばれる通夜・告別式を行わないスタイルが増えつつあると聞きます。今の日本を覆う「儀式不要」の風潮についてどうお考えですか?
【佐久間】結婚式も葬儀もあげなくなったら人間終わりだと私は思います。それこそ、サンレーが潰れようが互助会業界がなくなろうが、結婚式と葬儀だけは続いてほしい(笑)。いや、本当にそう思うんです。
世界各国に視察に行っても、結婚式と葬儀をしない国家、民族、宗教はないですよ。21世紀になって、初めて日本人の中からこの1つが不要だと言う声が出てきた。でも本当に不要なものなら他の国でもやらないはずです。日本人だけが世界初の大発見をしたのか?そんなバカな話はないですよ。冠婚葬祭を否定する民族など滅んでしまった方がいいとさえ思います。
結婚式や葬儀をすることや、あるいは子供を産むのはコスパが悪いとか、最悪の拝金主義ですよ。このままいけば非婚化・少子化はますます進んでしまいます。カジュアル化もほどほどにして、日本の婚礼文化を育てることは我々ブライダルに携わる者の大切な使命だと私は思います。

f:id:shins2m:20171222154345j:image
WJ2017年12月号より



さらに、「冠婚葬祭は人の縁があってこそ地域社会の縁づくりを促進する役割を担う」として、以下のように書かれています。
――業界として取り組めることはなんでしょうか?
【佐久間】ひとつには儀式の意義や価値を啓蒙していくこと。当社では結納の積極的な提案などに加えて、夏休みに地域の子供たちを集めてウェディング体験会を開催しています。昔の女の子はお嫁さんになることが憧れでしたが、今は花嫁姿を見る機会自体が無くなっているので、未来への種まきの意味で実施しているものです。
もうひとつはインフラ作り。冠婚葬祭は人の縁があってこそ成り立つものであり、「無縁社会」が進行したらこの業界は終わりです。サンレーでは人のつながりを再生する狙いで、2008年以来、「隣人祭り」を開催し地域の人々が集う機会を作っています。最近では大小合わせて年に1000回近く開催しています。
また、現在約70施設の葬儀会館を2020年をめどに100施設に増やすことを計画していますが、単にセレモニーホールとしてだけでなく、映画の上映やコンサートなども開催する地域住民のコミュニティセンターとして活用してもらうことを目指しています。北九州市は政令指定都市の中で最も高齢化率が高い地域です。今後は自治体と協力して買い物支援やゴミ出し支援なども行っていきたいと考えています。
婚活についても、北九州と金沢で地域密着の出会いを促進する「オークパイン・ダイヤモンドクラブ」を運営しています。30年近い歴史があり、これまでの成婚人数は600名を超えています。
昨今はネットを使った婚活がもてはやされていますが当社は全く真逆で、常時800名程度の会員様に対して経験豊富な女性カウンセラーが直接寄り添い、親身にお手伝いします。成婚に至った場合は結婚式のご相談にも乗り、カウンセラーとの信頼関係もあって、ほぼ100%の方がサンレーの施設で結婚式を挙げておられます。
婚活は決して儲かる事業ではありませんが、社会のインフラ作りという点で非常に重要だと考えており、今後は地域の商工会議所や自治体とも連携して独身者のご縁づくりをお手伝いしていきたいと考えています。



――これまで冠婚葬祭互助会は結婚式や葬儀など人生の節目のタイミングで利用するものというイメージが強かったですが、より日常的な拠点作りや機会の創造を通して地域社会の縁づくりを促進する役割を担うということですね。
【佐久間】その通りです。縁づくりといえば今年の春から秋にかけてNHKで「ひよっこ」という朝ドラが放映されていました。私は基本的にテレビを観ない人間ですが、桑田佳祐さんの主題歌がきっかけで、NHKオンデマンドで観ていました。ちなみに、朝ドラを全編通して観たのは、ファンだった斉藤由貴さんが主演した「はね駒」以来です(笑)
「ひよっこ」は東京五輪が開催された1964年から始まる、茨城から集団就職で上京したヒロインの成長物語です。ご覧になった方はおわかりだと思いますが、このドラマは登場人物の間でたくさんの愛が芽生え、プロポーズや婚約の場面が非常に多いのが印象的でした。ちょうど冠婚葬祭互助会が各地に誕生した時期でもありますが、この頃の日本人はこんなに積極的に結婚していたのだなと改めて感慨を覚えました。
もうひとつ印象的だったのがヒロインやその友人たちの家族をはじめ、上京して勤めた職場や社員寮、アパートの住人やご近所など、そこかしこに温かく思いやりに満ちた血縁、地縁、職縁といったものがしっかりと存在していたことです。NHKは2010年に「無縁社会」という言葉を世に出しましたが、「ひよっこ」は素晴らしい有縁社会のドラマでした。

f:id:shins2m:20171010121027j:image
ウェディングジャーナル社の北折社長と



――「ひよっこ」は良かったですね。私も朝ドラを観たのは人生初でしたが、観終わった後に優しくて清々しい気持ちになれるドラマでした。
【佐久間】翻って、残念ながらいまの世の中では、敵対する者が呪いを吐きあい、ネットの世界でも様々な誹謗中傷がはびこっています。「呪い」という言葉は実は「祝い」と語源が同じで、どちらも言葉を使うという意味です。言葉でポジティブな影響を与えるのが「祝い」、ネガティブな影響を与えるのが「呪い」です。呪いを打ち消す最高の方法は、結婚式に代表されるポジティブな祝いをすることなんです。
「ひよっこ」というドラマには実は不幸な出来事もたくさん出てきます。ヒロインの父の失踪、就職先の倒産、初恋の人との別れ、等々。でもドラマの最終盤、ヒロインが恋人と結ばれて結婚の報告をする場面で、叔父が感極まってこう言うんです。「勝ったんだよ!たった今、悲しい出来事に幸せな出会いが勝ったんだよ!」。私はこのセリフに非常に感動しました。これは「呪い」に「祝い」が勝ったということ。「ひよっこ」を見て私は最強のハッピーエンドは結婚なのだということを改めて認識しました。
他人の慶事を「おめでとう」といって祝うことは、私は人間の真髄だと考えています。このドラマには婚約のシーンが多く、たくさんの「おめでとう」が飛び交っていました。「おめでとう」「ありがとう」という言葉が盛んにやりとりされる世界。それがハートフル・ソサエティであり、ブライダル業界が実現すべき社会だと思うんです。



そして、「冠婚葬祭ほど人の幸福に貢献できる仕事はない」として、以下のように書かれています。
――最後にもうひとつお伺いします。ブライダル業界では離職率の高さが課題となっていますが、サンレーさんは入社3年以内離職率が低く、社員さんの定着率が非常に高いですね。その要因はなんでしょうか?
【佐久間】私は冠婚葬祭業ほど人の幸福に貢献できる仕事はないと思っています。結婚式はもちろん、葬儀も人々の一番の悲しみに寄り添って支える大切で尊い仕事です。そのことについては、かなり深いところまで考えて、それこそ“ガチ”で突き詰めてきた自負があります。そして折に触れ、それを社員たちに語りかけ、著書やブログを通しても伝えています。
こんな言い方は僭越かもしれませんが、時々サービス業の経営者が書いた本を読んでみると、薄っぺらいポエムのような内容が多いなと感じます。ポエムだから一貫性がなく、昨日と今日で言うことが違ったり、単にブラックな面を正当化するために「この仕事は素晴らしい」と言っているだけではないかと思えてしまったり。
私は、例えば社員に縁の大切さを語る時はブッダや孔子から紐解いて話します。そこまで専門的に深くする必要はあるのかと思われるかもしれませんが、それは必ず今の仕事の誇りにつながる根拠となるものです。そこには時間をかけてきたし、私自身の想いも誠実に真正面から訴えてきたつもりです。サンレーの社員が誇りを持って長く働いてくれているのは、そこの思想や根拠がしっかりしているからではないかと思います。私たちの役割は冠婚葬祭サービスによってたくさんの見えない縁を見えるようにすることです。これからもぶれることなく、良い人間関係作りを一生懸命お手伝いしていきたいと思います。

f:id:shins2m:20171222194120j:image
NEW松柏園ホテルのクリスマス・イルミネーション



2017年12月24日 一条真也