『結納力』

今月末、『決定版 冠婚葬祭入門』(実業之日本社)を出版します。
「決定版」と銘打っていますので、冠婚葬祭のすべてを紹介しました。
現在では珍しくなりつつある「結納」についても書きました。
わたしは、これまで多くのブックレットを刊行してきました。
それらの一覧は一条真也オフィシャル・サイト「ハートフルムーン」の「佐久間庸和著書」で見ることができます。整理をかねて、これまでのブックレットを振り返りたいと思います。


『結納力』(2010年5月刊行)



今回は、『結納力〜必ず幸せになれる結婚』をご紹介します。2010年5月に刊行したブックレットです。サンレーグループの冠婚部門の感動実話集である『むすびびと』(三五館)が2009年に出版され、話題を呼びました。このブックレットでは第一部に『むすびびと』の内容の一部を抜粋し、第二部では「結納入門」の実用的な情報を集めています。多くの方々から「非常にユニークかつ使える構成」との評価を頂戴しました。目次は以下の通りです。



第1部  結婚とは結魂である
      ●離婚大国、日本
      ●結婚式場とは「夫婦工房」
      ●離婚しにくいノウハウ
      ●婚礼とは「恥の文化」
      ●人類史上の恥とならないために
      ●冠婚葬祭やめますか、人類やめますか
      ●結納力を見直す

第2部  結納入門 〜その準備とマナー
      ●婚約と結納
      ●結納品
      ●仲人の依頼
      ●結納式の準備
      ●結納式


必ず幸せになれる結婚



“むすびびと”は何を結ぶのか。新郎新婦の「魂」を結びます。
すなわち、「結魂」のお手伝いをするのです。日本人の離婚が年間で30万件を超え、なお増え続ける一方ですが、その負の流れを食い止めるキーワードこそ「結魂」です。
かつて古代ギリシャの哲学者プラトンは、元来1個の球体であった男女が、離れて半球体になりつつも、元のもう半分を求めて結婚するものだという「人間球体説」を唱えました。わたしは、プラトンのいう球体とは「魂」のことであったと思います。
“むすびびと”は、男女の未熟な魂を結んで夫婦という完成品を作るのです。



でも、“むすびびと”が結ぶものは男女の魂だけではありません。両家の家族の絆をも強く結びます。現在では、新郎新婦2人の名前で披露宴が行なわれるケースがほとんどですが、少し以前までは「○○家、△△家、結婚披露宴」というふうに、両家の結びつきが結婚式、披露宴のメインテーマでした。この四半世紀で日本人の結婚式や披露宴は大きく変化しました。仲人、結納、金屏風といったものがどんどん消え、和装を着る花嫁さんも減るいっぽうです。
結婚式や披露宴のキーワードも「自由」「個人主義」「合理主義」に集約されてきました。その結果、30万組を超えるほどに離婚が増加しました。
この25年間で日本人の離婚は、じつに2倍になりました。 



どんなに時代が変わろうとも、わたしは結婚式や披露宴のキーワードは「家族」であると思います。昔の日本の婚礼は「家」がキーワードでしたが、それはなくなりました。でも、今でも「家族」はキーワードです。最近、社会がどんどん悪くなっていますね。凶悪犯罪はさらに増加し、より残虐になっている。親が子を殺し、子が親を殺すような事件も多くなっています。
まさに「ありえないことなどありえない」状況ですが、日本の家族というものがドロドロに溶け出していることが最大の原因でしょう。
未曾有の不況による貧困社会を迎えた現代の日本。日本人の心はますます荒廃するばかりです。その心を救うものは、やはり家族しかないのではないでしょうか。



そして、最も強調したいことは、結納の持つ秘密の力です。
もともと日本人の結婚式とは、結納式、結婚式という2つのセレモニー、それに結婚披露宴という1つのパーティーが合わさったものでした。結納式、結婚式、披露宴の三位一体によって、新郎新婦は「結魂」の覚悟を固めてきたのです。今では結納式はどんどん減っていますが、じつはこれこそ日本人の離婚が増加している最大の原因であると思います。



日本人の冠婚葬祭の「かたち」を作ってきた小笠原流礼法は「結び」方というものを重視し、紐などの結び方においても文化として極めてきました。
結納とは「結び」を「納める」こと、まさに結納は「結び」方の文化なのです。
そう、結納によって、新郎新婦の魂、そして両家の絆を結ぶのです。
それは、いわば「固結び」と言えるでしょう。
現代のカジュアルな結婚式とは、いわば「チョウチョ結び」なのです。だから見た目はいいけれども、すぐに解けてしまうのです。つまり、離婚が起こりやすくなるのですね。
結納こそは、新郎新婦の魂を固く結び、両家の絆を固く結ぶ力を秘めています。



儀式というのは「かたち」です。「かたち」には「ちから」があります。
拙著『葬式は必要!』(双葉新書)で一番訴えたのも、そのことです。
だいたい、儀式というのは少しくらい面倒なほうがいいのです。
そのほうが、脳に強い情報を与えられるのです。この場合の情報とは、もちろん「わたしたちは結婚する」であり、「けっして離婚しない」というメッセージですね。
日本人の離婚が増加する一方だったのも、新郎新婦の魂を固く結びつける秘儀である「結納」をおろそかにしてきたことが大きな原因の1つだと思います。
「かたち」には「ちから」があり、儀式は魂に決定的な影響を与えるのです。



なお、このブックレットは サンレーグループの諸施設にも置いています。
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2014年3月9日 佐久間庸和