新世界

一条真也です。

堺を訪れた後は、再び大阪へと向かいました。「全互協の康夫ちゃん」こと山村直毅さんが評判の串かつ店を知っているというので、そこで昼食を食べることにしました。
山村さんは、子どもの頃に大阪に住んでいたので地理に詳しいとか。


                       いざ、新世界へ!


わたしたちは、新今宮駅で電車を降りると、新世界に向かって歩きました。
新世界! なんという甘美な響きでしょうか!
小倉には昔、「月世界」というキャバレー、「新世紀」というパチンコ店がありました。
でも、まさか「新世界」とは! わたしたちは空き腹を抱えて、新世界へ向かいました。


                 いきなり巨大なビリケンさんが!

              エビスさんも登場。見よ、この色彩感覚!

                 フライデーは94(串)円祭!


しかし、わたしの眼前に広がった光景は、新世界というより別世界でした。
いきなり巨大ビリケンさんに迎えられたかと思ったら、その直後にはエビスさんの姿が。
その色彩感覚は独特で、「サイケデリック」という言葉を連想しました(笑)。
突如、目の前に巨大看板が出現しました。見ると、「フライデー(金曜日)は串祭り」とか何とか書かれていて、1本94(串)円だというのです。
う〜ん、完全にダジャレではないですか! すごいなあ、新世界!


                  串かつ店の名門「八重勝」の前で

                  ソースのある「八重勝」の店内


よく見ると、この街には無数の串かつ店があります。
大阪の人は、よほど揚げ物が好きなのでしょうね。
わたしが「早く、串かつが食べたいねぇ」と山村さんに言うと、「それでは、一番有名な店にご案内しましょう!」と言って、八重勝という店に連れて行ってくれました。
なんでも串かつの元祖みたいなお店だそうです。中に入ると、平日の昼間から生ビールやレモンサワーを飲みながら串かつを食べている人々でいっぱいでした。
わたしは、カツをはじめ、イカ、タコ、各種野菜を食べましたが、なかなか美味でした。
カウンターの各所にソースが入った容器が置いてあって、出来立ての串揚げをたっぷりソースに浸して食べるのです。食べ放題のキャベツもソースに浸して食べます。
勝手のわからないわたしが、モタモタしていると、店のお兄さんから「絶対にソースに2度漬けないで下さい!」と釘を刺されました。
どうやら、フライのカスがソースに浮いてしまうということらしいです。
また、観光で来た初心者は食べかけの串揚げをもう一度ソースに漬けるため、唾液がソースに入って不衛生なのでしょう。
見ると、常連さんたちは、きちんと最初だけソースにドブッと漬けて食べています。
けっして2度漬けもしなければ、食べかけを漬けたりもしません。
わたしは、妙に感心しました。というのは、その常連さんたちは決して行儀が良さそうな人には見えなかったからです。おそらくは、信号とか無視しそうだし、立ち小便とかも平気でしそうな感じの人たちなのです。(失礼!)
でも、彼らはソースのルールだけはしっかりと守っているのです。わたしは、大阪人にとって、串かつソースとは一種のモラル・スタンダードではないかとさえ思いました。


                   将棋や囲碁を楽しむ人々
 
             スマートボール店前のスマートな(?)山村さん

                    まるで異次元の世界

                 なんだか大阪が好きになってきた


串揚げをたらふく食べて満腹した後は、ジャンジャン横丁を散策しました。
将棋や碁の会所も各所にあり、いずれも満員でした。
さすがは、「王将」の阪田三吉のホームグランドだった街ですね。
こんな昼間から将棋や囲碁を楽しむ人たちって、なんと豊かな人生なのでしょうか!
さらには、昔なつかしいスマートボールの店まで発見しました。
ビリケンさんはたくさんいるし、空中にはフグが浮いているし、無数の串揚げ屋が看板を出しているし、ここはまるで異次元空間です。
正直言って、わたしはこれまで大阪の街や大阪人が苦手だったのですが、なんだか大阪が好きになりそうな予感がしました。


                  浪速のシンボル・通天閣の前で


ダメ押しは、わたしの目の前にドカンと現れた通天閣でした。
おおっ、これは浪速のシンボルじゃあないですか!
なんだか、オーロラ輝子の歌声が聴こえてくるような気がします。
わたしには、何もかもが新鮮でした。まさに、わたしにとっての新世界でした。
ああ、串揚げを食い過ぎて腹が苦しい!(苦笑) もう、たみゃら〜ん!(笑)


2010年11月27日 一条真也