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一条真也のハートフル・ブログ

2012-03-10

孤立死と孤独死

一条真也です。

タレントの山口美江さんが亡くなったというニュースには驚きました。

「あ〜、しば漬け食べたい」とつぶやく漬物のCMでブレークした人です。

「CNNヘッドライン」のキャスターとして活躍していた頃は、わたしもファンでした。


51歳だった山口さんは、今年2月から、めまいや動悸など体調不良を訴えて通院していたそうですが、病状が急変し、心不全のため横浜市内の自宅で亡くなったとか。

山口さんは7日に亡くなった模様ですが、8日午前、自宅で亡くなっているのを親族が発見したそうです。いわゆる「孤独死」ということになります。故・大原麗子さんに続いて、国民的美女がまた1人、誰にも見取られずにこの世を去ったのです。

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「朝日新聞」3月10日朝刊



ここ数日、「孤立死」という文字が新聞やテレビに躍っています。

3月7日、東京都立川市で認知症の90代の母親と60代の娘とみられる遺体が見つかった事件がきっかけです。今年に入ってから同じような事件がたくさん起きています。

1月20日、札幌市で42歳の姉と知的障害のある40歳の妹の遺体を発見。

2月13日、立川市で45歳の母親と知的障害のある4歳の息子の遺体を発見。

2月20日、さいたま市で60代の夫婦と30代の息子の遺体を発見。

今朝の「朝日新聞」には、「孤立死防げ 自治体動く」が特集されています。



朝日のリード文には、「高齢者らがだれにも気づかれずに亡くなり、何週間もたってから見つかる『孤立死』が相次ぐ。そんな中、民生委員や町会に住民の個人情報を提供し、地域とのかかわりが乏しい人を見つけ、必要な支援につなげる取り組みを始めた自治体がある」と書かれています。

そして、以下のような自治体の取り組みが紹介されています。

東京都中野区では、「地域支えあい活動の推進に関する条例」にもとづいて、同意がない人を除き、氏名、住所、年齢などを載せた名簿を希望する町会に知らせている。

横浜市では、一人暮らしの高齢者の個人情報を民生委員と地域福祉の総合窓口である地域包括支援センターに提供し、見守りに役立てるモデル事業を始めた。

神奈川県相模原市では、民生委員の協力を得て、戸別訪問を始めた。

以上のような取り組みが、それぞれ詳しく紹介されています。

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「無縁社会シンポジウム」のようす



ここで気づくのは、「民生委員」という存在の大きさです。「無縁社会」などと言われる現在、独居老人などの孤立死を防ぐ民生委員の役割は大きくなる一方です。

ブログ「無縁社会シンポジウム」で紹介した新春座談会でも発言しましたが、孤立死が増加する原因の1つは「民生委員制度」が機能しなくなったことではないでしょうか。

高齢単身者がどのような生活状況、あるいは健康状況にあるかを監視するのが、地域の民生委員の役割です。この民生委員制度がうまく機能していないのです。

民生委員制度の発端は大正7年(1918年)の大阪府における方面委員制度に始まるそうです。重要なことは、方面委員は無報酬の名誉職だったことです。天皇の御聖慮による名誉職だったので、誰も不満は言いませんでした。しかし戦後になって、昭和21年(1946年)に民生委員制度として再発足したときにも無報酬が引き継がれてしまったのです。名誉職的な色彩が薄くなったことにより、高度成長期の民生委員は自営業者が減少し、引退者や主婦が増加したそうです。

でも、今や民生委員を引き受ける人間はどんどん減る一方です。

元日本経済学会会長の橘木俊詔氏は、ブログ『無縁社会の正体』で紹介した著書で「民生委員の仕事に対して俸給を支払うことを考えてよい」と提案されています。

この橘木氏の提案には、わたしも大賛成です。さらに、わたしは質の良い民生委員の数を一気に増やし、孤独死を激減させるアイデアを持っています。

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「民生委員の民間委託」を提案しました



わたしは、行政が困っているときは民間に委託すべきであると考えています。

これは郵便局の事業の一部をヤマト運輸などの宅配便業者が行ったり、警察の仕事の一部をセコムなどの警備業者がやるのと同じようなこと。

つまり、行政サービスの民間委託ということですね。それで、民生委員が少なくて困っているのなら、互助会業界に任せてくれたらどうかなと思っています。

互助会には、営業員がたくさんいます。それなら、例えばその営業員さんが独居老人のお宅の数を控えておいて、時々訪問する。行政からそういう委託を受け、互助会が老人宅を訪問して安否確認を行えば、これは相互扶助の機能を発揮すると共に、互助会そのもののイノベーションになるのではないかという気がしています。

世のため人のためになって、互助会そのものもインベーションを図れるというわけです。

この「民生委員の民間委託」というアイデアを「無縁社会シンポジウム」で初めて披露したところ、大きな反響がありました。



さて、ひとり誰にも看取られずに亡くなることを「孤独死」と呼んだり、「孤立死」と呼んだりします。ここ数日の報道では、圧倒的に「孤立死」という言葉が使われていました。

厚生労働省では、07年から「孤立死防止推進事業」を開始しました。

なぜ、「孤独死」ではなく「孤立死」という名称にしたかというと、一人暮らしでなくても高齢者夫婦のみの世帯や、要介護の高齢者(親)と中年の独身男性(子)の世帯など、社会的に孤立した人々をも対象に含めるからだそうです。

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「孤独死講演会」のようす



これに対して異を唱えているのが、「孤独死の防人」こと千葉県松戸市の常盤平団地自治会長である中沢卓実氏です。「孤独死」の問題への取り組みについて世間から注目され、また国にも方策を提言するなど積極的に活動している方です。

ブログ「孤独死講演会」に紹介したように、2010年7月27日、わたしは中沢氏とともに「孤独死に学ぶ互助会の使命(ミッション)とは」という講演を行いました。

中沢氏は「孤独死という名称で社会問題として認知・定着しているのに、なぜ今さら孤立死と言い換えるのか」と疑義を呈しておられるそうです。

常々、法律的観点のみから言葉というものを考える役人的言語感覚に戸惑っているわたしとしては、中沢氏の意見に賛成です。

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「まつど孤独死予防センター」で、中沢氏と



孤独死の背景には、さまざまな原因があります。

たとえば、現代社会そのものが抱える高齢化、世帯の単身化、都市化などの問題。

離婚や未婚の増加、少子化。リストラ、リタイア、病気、障害などによる失業。

精神障害や認知症、アルコール依存、うつ、引きこもり。

暴力やギャンブルや借金などによる家庭の崩壊。

そして、貧困。数え上げれば切りがありません。

まさに、これらの諸問題を1つづつ解決する方策が求められます。



ブログ『ひとり誰にも看取られず』で紹介した本では、今あげた孤独死の背景にある多くの問題を紹介した後、次のように書かれています。

「しかし、見方を変えれば孤独死の原因はただ1つ、『孤独』である。孤独死を解決する方法は、『孤独にさせない』『孤独にならない』この2つに尽きると言うこともできる。そのために重要なのは、月並みではあるがやはり人と人との交わり、コミュ二ティーだ。」

わたしも、この意見に全面的に賛成です。ですから、わが社は人と人との交わりである「隣人祭り」開催のお手伝いに励んでいるのです。



そして、最大の問題とは、孤独死を問題視しないという態度です。

日本女子大学教授の岩田正美氏によれば、「どうして孤独死が問題なの?」と考えること自体が問題なのです。個人主義や自立主義の蔓延と言ってしまえばそれまでですが、わたしには想像力を失くした人が多くなってきたからだと思います。

何の想像力か。それは、「死者は自分の未来である」という想像力です。

死ぬのはあくまでどこかの他人であるという「三人称の死」しかイメージできない者が多すぎます。彼らは、自分の愛する家族が死ぬという「二人称の死」、あるいは自分が死ぬという「一人称の死」をイメージできないのです。

『ひとり誰にも看取られず』の最後には、次のような岩田氏の言葉が紹介されています。

「死を概念的にしかとらえず、『放置された死』がどういうものか知らないことも大きい。ウジがわき、ひどい臭いを放つ姿になった自分を、赤の他人に見られる。遺品もすべて他人の手に委ねられる。そして、それを処理する人の迷惑。孤独自体は悪ではないし、孤独という言葉に日本人は美学を感じてしまいます。しかし現実の孤独死は、美学とはほど遠いものなのです」



昨今は、孤独死を問題視しないどころか、「孤独死こそ、日本人にとって理想の死である」といった孤独死肯定論まで登場しています。そのような言葉遊び、概念遊びを見るにつれ、「日本人の精神も危険水域に入ったな」と思います。

「死」に対する想像力を育てること、自分が死んだときの姿や葬儀の様子を具体的にイメージすること、そこからすべては始まります。

大量の死者を生んだ「東日本大震災」から1年を経て、日本人の「死」に対する想像力は少しは豊かになったのでしょうか。

最後に、山口美江さんをはじめ、ひとり誰にも看取られずに亡くなられたすべての方々の御冥福を心よりお祈りいたします。合掌。


2012年3月10日 一条真也

2012-03-05

社会貢献基金助成金交付式

一条真也です。

東京に来ています。

今日は、全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の社会貢献基金の助成金交付式が新橋で行われます。わたしは、全互協の広報・渉外委員長として出席しました。

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最初に委員長として挨拶しました



社会貢献基金とは、地域のさまざまな災害の救済、社会福祉事業、環境保全事業、国際協力など 社会貢献活動を行う各種団体等への助成、並びに社会貢献に資する調査・研究を目的とした事業に対する助成を行うためのものです。

それによって、日本の生活文化と地域社会の発展に寄与することを目的としています。

互助会の全国組織である社団法人・全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)は会員企業、さらには互助会会員からの募金による「社会貢献基金」を運営し、さまざまな団体に対しての助成を行っています。詳しくは、「全互協・社会貢献基金HP」をご覧下さい。

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助成金交付式のようす



毎年多くの団体から助成金交付の申し込みがあり、審査の結果、交付するプロジェクトを選びます。「互助会」が「互助社会」への入口となるためにも、社会貢献基金による助成活動の意義は非常に大きいと言えます。

そして、今日は4団体と2人の研究者に助成金の交付を行いました。

交付式では最初に、わたしが簡単な挨拶をしました。

「互助社会を実現するために、みなさんの活動は非常に意義深く、全互協として応援させていただきました」と述べました。

それから、それぞれの方々に助成金の目録をお渡しし、その後はみなさんの活動内容および現状についてお話をお聞きしました。

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緊急クラウンジャポンへの交付

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日本点字図書館への交付



本日、交付を受けた4つの団体とは、以下の通りです。

●任意団体 森敦史君と共に歩む会

盲ろう者である大学生・森敦史さんの支援活動を行っています)

社会福祉法人 日本点字図書館

(点字で世界の名画を鑑賞できる画集を作成します)

緊急クラウンジャポン

(クラウン=道化師によって「笑い」を通じたコミュニケーションを広く提供します)

特定非営利法人 チャイルドライン支援センター

(18歳までの子どもがかける、子どものための電話 。悩みや悲しみや寂しさを電話で受けとめます)

また、以下の2人の研究者の方にも助成金を交付させていただきました。

●東京大学大学院総合文化研究科 超域文化科学専攻 博士課程 田中大介氏

●筑波大学大学院 人文社会科学研究科 歴史・人類学専攻 戸辺優美氏

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東京大学大学院の田中大介氏と



今日は東京大学大学院の田中大介さんが来られており、いろいろお話ししました。

日本における「葬祭」を研究しているという田中さんは、わたしの著書をたくさん読まれているそうです。『のこされた あなたへ』(佼成出版社)も読まれていました。

そして、以前わが社で調査を行った鈴木光さん(当時、ハーバード大学大学院)と親しく、今度、鈴木さんと「葬祭」についての共著を刊行すると聞いて、驚きました。

なんでも、田中さんは三菱商事に勤務する商社マンだったのですが、どうしても葬祭業のことを学問的に研究したくて、大学に入り直して文化人類学を学ばれたそうです。

研究を始めたばかりの頃に方向性で悩んでいた時、『ロマンティック・デス』(国書刊行会)に出会って鮮烈な経験をされたそうです。加えて、鈴木光さんが貴社で行った調査をもとにしたエスノグラフィを読んで興味を掻き立てられたとか。

ロマンティック・デス』といえば、この本を読んだハーバード大大学院の鈴木光さんがアメリカからはるばる北九州までやって来られたことも思い出しました。

昨夜、田中さんは「実際にお会い出来たらと長らく思いつつ果たせなかったため、本日やっとご挨拶できたことを私自身とても嬉しく思っています」とのメールを下さいました。

これから、ぜひ田中氏とさまざまな情報交換、意見交換を行っていきたいと思います。

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みなさんから話を伺いました



交付式の終了後、みなさんからお話を伺いました。

みなさん、本当に素晴らしい活動をされています。みなさんの活動報告を聞いていると、「この社会もまだまだ捨てたものじゃない」と思えてきます。

まさに、「お互いさまの社会」「助け合い社会」に向けた互助会らしい事業ですね。

わたしも、NPO法人を通じて行っている「隣人祭り」の活動についてお話ししました。

みなさん、非常に興味深く「隣人祭り」の話を聞いて下さいました。

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ハートフル・ピープルと一緒に



たしかに現実は過酷です。なかなか理想だけでは物事は進まないでしょう。

しかし、「自分がやっていることは社会のためになっている」と胸を張って言える活動をされているみなさんの顔は輝いていました。また、みなさんもお互いの報告を聞いて、自分の知らない世界を知り、とても興味を抱かれたようでした。

それぞれの団体がさらに相互扶助の関係になれれば素敵ですね!

そのお手伝いを、これからも、ぜひさせていただきたいです。

素晴らしきハートフル・ピープルの輝いている顔を見ていたら、「ハートフル・ソサエティ」の到来が近づいてきたような気がしました。

明日は、「東アジア冠婚葬祭業国際交流研究会」です。

わたしは、「東アジア葬祭事情」についての研究発表を行います。


2012年3月5日 一条真也

2012-02-01

イメージ先行の就活

一条真也です。

今朝の「朝日新聞」には、もう1つ興味深い記事がありました。

「就活イメージ先行強まる」という記事です。

2012年度の大学生・院生の就職人気ランキングが掲載されています。

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「朝日新聞」2月1日朝刊



このたび「2012年 大学生就職先人気企業ランキング」を発表したのは、就職情報会社であるダイヤモンド・ビッグアンドリードです。

記事には、「近年は大手・安定志向が強いが、就職活動の幕開けが10月から12月へ2カ月遅くなったことで、CMなどでおなじみの有名企業に人気がさらに集まった。同社は『就活はイメージ先行の傾向が強まっている』とみている」と書かれています。

調査は、昨年11月から今年1月にかけて就職活動中の大学3年生と大学院1年生に実施し、計7048人が答えたそうです。その結果は、以下の通りです。


2012年就職先人気企業ランキング

(カッコ内は2011年の順位。―は30位までのランク圏外)

■文系(男子)

  1 (1) 三菱商事

  2 (3) 住友商事

  3 (6) 三井物産

  4 (2) 三菱東京UFJ銀行

  5(15) 伊藤忠商事

  6 (4) 東京海上日動火災保険

  7 (8) 丸紅

  8 (7) 三井住友銀行

  9 (5) みずほフィナンシャルグループ

 10(10) 三菱UFJ信託銀行

■文系(女子)

  1 (2) 東京海上日動火災保険

  2 (1) 三菱東京UFJ銀行

  3(14) JTBグループ

  4 (3) みずほフィナンシャルグループ

  5(16) 三井住友銀行

  6 (7) 住友商事

  7 (8) 明治グループ

  8(12) オリエンタルランド

  9 (9) 三菱UFJ信託銀行

 10(18) 三井物産

■理系(男子)

  1 (1) 東芝

  2 (4) 日立製作所

  3 (3) 三菱商事

  4 (2) ソニー

  5 (5) 住友商事

  6(11) パナソニック

  7 (8) NTTデータ

  8 (7) 三井物産

  9(18) JR東日本

 10(22) 伊藤忠商事

■理系(女子)

  1 (1) 明治グループ

  2 (2) ロッテ

  3 (4) 資生堂

  4(12) 森永製菓

  5 (―) 日清製粉グループ

  6 (―) NTTデータ

  7 (8) カゴメ

  8 (9) 花王

  9 (5) サントリー

 10 (3) 味の素



これを見て、まず思ったのは「やっぱり東電が入っていないな」です。

昨年、10位以内だった東京電力が今年は100位圏外となりました。

福島第一原発事故以来、予想していたことではありますが。

それから思ったのは「ついにマスコミが消えたか」ということです。

以前は、新聞・テレビ・広告などのマスコミの大手企業がズラリとランキング上位に名を連ねていました。それも、昨今のIT革命で各社は存亡の危機に立たされています。

相変わらず人気が衰えないのは、商社と銀行です。

記事のタイトルの「就活イメージ先行強まる」ですが、これには異論があります。

なぜなら、これまでも学生はずっとイメージ優先で就職先を選んできたからです。



わたしは、何度か就職活動中の学生さんたちを対象に講演をしたことがあります。

学生さんたちに、どういう業界や会社をめざしているのかと聞くと、現時点で一番栄えている企業、脚光を浴びている企業が常に上位を占めていることに気づきます。もちろん、そうした傾向は今に始まったことではありません。  

たとえば、昭和20年代に大学を卒業した人々の多くは、砂糖、石炭、合繊などの分野の企業を志望しました。そして有名大学を出た天下の秀才たちが入りました。

30年代に入ると、鉄鋼や造船といった重工業に人気が集まりました。

40年代には銀行や商社などが、50年代になると、それまでは低く見られていた保険や証券などの業界が、高額のボーナスなどの魅力もあって、名門大学出の秀才たちが続々と就職しました。

しかし時代の変化とともに、かつての花形産業は次々に勢いを失っていきました。

当時、最難関の会社に意気揚々と入った人々は、その後サラリーマンとしてあまり充実感が味わえなかった人も多かったように思います。



本来、大学生というものは「未来」が最大の資産です。

よって、誰よりも未来を読むべき存在であるはずです。しかし、常に実態より遅れた世間の、マスコミにつくられたイメージに踊らされてきました。それも、いま見えている現実が、あたかもそのままの状態で推移でもしていくように錯覚してきたのです。

しかし、少しでも物を考える人間なら、この世界に永遠に続くものなどないことがすぐわかるはずです。強大で不滅のように思われたローマ帝国でさえ滅び、栄華を極めて終わりがないように見えた唐王朝も終焉を迎え、万全の防御体制を誇った徳川幕府もいとも簡単に倒されてしまいました。

このような強大な権力でさえ衰亡するのです。

ましてや民間企業など、いつまでも巨大なままで存続し続けられる道理はありません。

学生さんたちが、しっかりの今後の社会を考えて、自分が価値を置くものを大切にできるような職種につき、自分が一番輝くことのできる企業に入られることを願っています。


2012年2月1日 一条真也

介護ますます深刻に

一条真也です。

いよいよ、2月になりましたね。先程、月初の本部会議を終えたところです。

昨日は、ブログ「なぜ結婚しにくい?」で人口推計の話題に触れました。

いわば「少子化」がテーマでしたが、日本社会は「高齢化」も大きな問題です。

人口推計によると、高齢化は年々進み、2060年には4割が65歳以上になります。

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「朝日新聞」2月1日朝刊



今朝の「朝日新聞」には「都市圏の介護 深刻」の大見出しで、「『予防と改善』不意可決」「50年後の人口 4割が高齢者」という記事が掲載されていました。

社会の高齢化で心配されるのが介護問題です。特に人口の多い都市部では、介護状態にさせない取り組みや、貧しい高齢者への対応が課題になっているそうです。

東京や大阪をはじめとした大都市では介護施設は増加していますが、費用が高すぎて入居できない高齢者も多くなっています。

その背景には都市の貧困層の高齢化があります。

高度成長期に地方から来た多くの人を含め、頼れるつてがない人がほとんどです。

本来、寝たきりや認知症になれば特別養護老人ホームやグループホームに移ります。

しかし、多くの人は保証人が見つからず、入居費も工面できない現状があるのです。



大都市圏では、75歳以上の人口増大も予測されています。内閣府の07年の調査では、65歳以上の単身者の年間所得は極めて低いことが明らかになっています。

127万円以下の「貧困層」は女性は52%、男性は38%というのです。

記事には、「介護需要15年で1.5倍に」として、次のように書かれています。

「国立社会保障・人口問題研究所がまとめた最新の人口推計によると、2010年に65歳以上は2948万人だったが、2025年には3657万人に膨らむ。このうち、介護が必要になる確率の高い75歳以上は1419万人から2179万人と1.5倍になる。その伸びは東京、大阪など大都市圏で著しい。国が公表した介護ニーズ試算によると、『要介護4あるいは5』という重度者は11年度は111万人だが、25年度は187万人。また、全体の介護給付費は9兆円から21兆円になる見通しだ」



「課題先進国」という言葉があります。

元東大総長で、現在は三菱総研の理事長である小宮山宏氏が提唱しています。

日本は他の先進国に先取りしている問題、課題が山積みであるという意味です。

モデルとなる前例はありません。そのため、日本には過去の経験則では解決できない問題だらけです。それだけに日本が何らの解決策を打ち出せば、それが後に続く世界中の国々を救うことになるわけです。

そして、「課題先進国」としての最大の課題こそ、高齢者の福祉問題です。

これは、もう国や行政だけでなく、広く民間に解決策を求めていく必要があります。



わが社は、今年から介護事業に進出しました。

3月1日には、初の施設である「隣人館」の1号店が福岡県飯塚市にオープンします。

隣人館の月額基本料金は78000円となっています。

その内訳ですが、家賃:33000円、管理費:5000円、食費:40000円です。

まさに、究極の地域密着型小規模ローコストによる高齢者専用賃貸住宅なのです。

この画期的というよりも奇跡のような料金体系は、「介護イノベーター」こと清原晃さんのコンサルティングにより可能となりました。

飯塚市の次は、北九州市八幡西区折尾に2号店を計画しています。当初は自社遊休地へ建設しますが、将来的には伊藤忠商事をパートナーとして全国展開を図ります。

ぜひ、介護が深刻化している大都市圏でも隣人館を展開したいと考えています。



現在の日本における高齢者介護施設には2つの問題があります。1つは、民間の介護施設は費用が高額で、限られた人しか入居できないという問題です。もう1つは、公的な老人介護施設は低額な費用で済みますが、数が少なくて何年も入居を待たされるという問題です。そうなると、もう具体的な解決策は民間が低額な施設を大量に作るしかないわけです。現在でも全国一安い価格設定と話題になっていますが、将来的には「公的年金の範囲内ですべて賄う」という制度設計をめざしています。



わたしは、この事業は「人は老いるほど豊かになる」という長年を考えを実現するものであり、人間尊重を実行するという意味で「天下布礼」の一環であると思っています。

大事なポイントは「孤独死をしない」ということです。隣人祭りをはじめとした多種多様なノウハウを駆使して、孤独死を徹底的に防止するシステムを構築することが必要です。

「隣人館にさえ入居すれば、仲間もできて、孤独死しなくて済む」を常識にしたいです。

全国の独居老人にも、どんどん隣人館に入居していただきたいと真剣に願っています。

いよいよ、長年あたためてきた「理念」を「現実」に移す時が来たと思っています。


2012年2月1日 一条真也

2012-01-31

なぜ結婚しにくい?

一条真也です。

なんと、1月も今日で終わり。ついこの前、新年を迎えたと思ったばかりなのに!

時間が過ぎるのは本当に速いですね。いや、わたしもトシを取るはずですな。

さて昨日、「日本の将来人口推計」、いわゆる「人口推計」が公表されました。

それによれば、少子高齢化の傾向が今後も続く見通しが示されていました。

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「朝日新聞」1月31日朝刊



今朝の「朝日新聞」には、「結婚 子育て 高い壁」という大見出しの記事が掲載されました。女性が生涯に産む子どもの数(合計特殊出産率)が2006年の前回推計よりも上向いたものの、厳しい状況は変わらないとコメントしています。また、その厳しい状況の背景には、不安定な雇用情勢や結婚への意識の変化があると見ています。

今回の統計では、出生率の見通しが前回の1.26から1.35へ上方修正されていました。これは、30歳代半ば以降の「駆け込み出産」傾向を反映したためとしています。

今後は、出産可能な女性の人口が減少していきます。

そのため、出生率が大幅に改善しない限り、子供の数は増えません。

不安定な雇用状況が続いていることも、結婚・出産への高い壁になっています。



記事の中で、男性向けマナー講座を開くNPO法人「花婿学校」代表で、自治体の結婚対策事業にもかかわる大橋清朗氏は出生率の低迷は今後も続くとした上で、「子育てにはお金がかかるため、収入の少ない若い世代には負担が大きい。子育てをすると金銭的なメリットを受けられるような仕組みをつくらないと、今後も子どもを産み育てる若者は増えないのではないか」と述べています。

この意見には大賛成ですが、わたしは大橋氏の別の発言に強い興味を持ちました。

大橋氏は、若者をとりまく社会環境の変化を指摘し、次のように述べています。

「結婚して子育てするのが当然という意識は薄れ、結婚へのプレッシャーも弱まっている。インターネットの普及で、ツイッターやSNS(交流サイト)などコミュニケーション方法も多様に。生身の異性と1対1で付き合わなくても寂しくなくなった」



わたしは、今ちょうど『SQ 生きかたの知能指数』ダニエル・ゴールマン著、土屋京子訳(日本経済新聞出版社)という本を読んでいます。

その本の内容と大橋氏のコメントがリンクしました。

「こころの知能指数」としてのEQと並ぶ「生きかたの知能指数」としてのSQの重要性を説く著者のゴールマンは、常にiPodやウォークマンのイヤホンを耳にさし、すれ違う通行人には無関心なニューヨークの人々について、次のように書いています。

「iPodをつけている人に言わせれば、両耳のイヤホンを通じて歌手やバンドやオーケストラとつながっている、ということになるかもしれない。たしかに、本人の鼓動は耳から聞こえてくる音楽と一体のリズムを刻んでいるのかもしれない。

けれども、両耳でつながっているだけのバーチャルな相手は、自分のすぐそばに現実に存在する人々とは何の関係もない。音楽に恍惚となっている当人は、そうした現実世界に存在する人々にはほとんど無関心だ。

テクノロジーによる日常生活の侵略が進んで人々がバーチャルな現実に引きこまれれば、それだけ自分の周囲に存在する生身の人間に対して無感覚になる。こうした社会的自閉状態から、テクノロジーによる想定外の副作用が次々に生じてくる」



ゴールマンのいう「テクノロジーによる想定外の副作用」からは、先日読んだ『事実婚 新しい愛の形』渡辺淳一著(集英社新書)の次のくだりを思い出しました。

「愛の巨匠」とも呼ばれている作家の渡辺淳一氏は、次のように述べています。

「女性のエクスタシーは、やはり愛する男性と接し、優しく愛撫されたときにのみ得られるもので、一人で満たされることは少なく、満たされても虚しくなる。

だが男は、自慰だけで充分、満たされる。

しかも現在は、男が性的に興奮する画像や音声が、ビデオではもちろん、さまざまなウェブサイトにもあふれている。今、多くの男性は、これらの画面や音声をひそかに見聞きしながら、オナニーに耽っているようである」



わたしには、この渡辺氏およびダニエル・ゴールマンの著書の内容と「朝日」の記事での大橋氏のコメントがつながっているように思えてなりませんでした。

ブログ『エコエティカ』でも紹介しましたが、「技術連関」という言葉があります。

倫理学者の今道友信氏は、現代社会の特色は「技術連関」にあると述べています。

人間と自然の間に機械が介在したことによって生まれた新しい環境のことです。

昔は自然のみが環境でしたが、今は自然の他にもう1つ環境があります。

つまりアスファルトや軌道や電車、信号機、携帯電話、コンピューターのように、一連の技術的な環境、つまり技術の連関が認められる。技術連関が環境になっていると考えなければなりません。そして、その技術連関とはどういうものかといえば、それによって人間が生活を便利にすることのできる、一つの体系であると考えればよいでしょう。

「技術連関」という言葉を使えば、全世界のどのような社会にも当てはまると言えます。

そして、現代日本の少子高齢化にも携帯電話やスマートフォンやiPodといった新しいテクノロジーが大きな影響を及ぼしていることは疑いの余地がないでしょう。

今後は、「結婚」「出産」「子育て」の壁を低くし、少子化を解消していく上で、この「技術連関」の視点は欠かせないと思います。



「少子高齢化」と言われ始めてから、どれぐらいの時間が経過したでしょうか?

「人は老いるほど豊かになる」と信じるわたしは、社会の「高齢化」はわりと肯定的にとらえています。しかし、やはり「少子化」は大きな問題であると思っています。

本業である結婚式も減りますしね(苦笑)。わたしも、これまで「高齢化」については色々と発言してきましたが、今後はぜひ「少子化」についても考えをまとめてみたいです。

わたしたちは、無縁社会を乗り越え、有縁社会を再生しなければなりません。

そのためには、「孤独死」の問題だけでは片手落ちです。

「晩婚」や「非婚」の問題も解決しなければならないと痛感しています。

日本人は、なぜ結婚しにくくなったのか? 

その謎を解くために、これから「負け犬」「事実婚」「不倫」「草食系」「恋愛下手」そして「相性」などのキーワードをもとに考えていきたいと思います。


2012年1月31日 一条真也

2012-01-26

脱生活保護へ・・・

一条真也です。

いま、博多駅前にあるホテル日航福岡に来ています。

わたしは福岡経済同友会の国際委員会のメンバーなのですが、2月14日からシンガポールおよびマレ―シアに行く予定です。その説明会が同ホテルで開催されるのです。

今朝の小倉は雪が待っていましたが、小倉駅のKIOSKで新聞を買いました。

ブログ「就労支援記者会見」に書いた記者会見の内容が各紙に出ていました。

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「朝日新聞」1月26日朝刊



朝日は「脱生活保護へ二人三脚』の大見出しで、以下のような書き出しでした。

「NPO法人の『北九州ホームレス支援機構」が、若年層を対象に生活保護からの脱却をサポートする『伴走型就労支援』を始めた。生活保護受給者への就労支援は行政だけでは追いつかないことから、NPOがマンツーマンで支援する」

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「毎日新聞」1月26日朝刊



毎日は「生活保護受給者『伴走』し支援」の大見出しで、「『地域』『行政』『企業』バックアップ」と続き、以下のような書き出しでした。

「NPO『北九州ホームレス支援機構』は25日、39歳以下の生活保護受給者を、地域や行政、企業などが自立まで支える『伴走型就労支援事業』を始めたと発表した。厚生労働省の補助事業として市内の男性10人の就労支援を進めているという」

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「読売新聞」1月26日朝刊



そして読売は「生活保護若年層の自立支援」の大見出しで、次の書き出しでした。

「急増する若年層の生活保護受給者の生活を支えようと、NPO法人『九州ホームレス支援機構』(北九州市八幡東区)は25日、行政や企業と協力して新たな自立就労支援事業に乗り出したと発表した」



新聞各紙ともに、わが社を含む受け皿企業名も記されていました。

今回のプロジェクトに対する大きな期待が伝わってきます。

いよいよ、北九州市から日本の社会福祉革命がスタートしました!


2012年1月26日 一条真也