3時間で「専門家」になる私の方法


という本を読みました。
ITジャーナリスト・佐々木俊尚さんの情報収集ノウハウが詰まっており、日経テレコン21Google,2ちゃんねるなどツールの使いどころと、使う際の心構えを具体的に説明されています。これ一冊読むだけで格段にレベルアップするので、情報収集スキルを身につけたい初心者の方は一読されることをおすすめします。


それより、情報を一通り収集して終わるというのは一昔前の時代の話であって、今の時代は情報発信力が大切だと謳われております。情報をネットで収集し、3時間程で専門家に近い知見を手に入れることができたなら、今度はそれをブログまたはSNSやその他サービスで自分の意見も合わせて発信し、そこからフィードバックを得ることによって、自分の知恵を「増幅」させます。これがネットの醍醐味であるという考え方が現在の主流です。


株式会社はてな近藤淳也社長は自著の中でこうおっしゃっています。

インターネットは知恵を預けると利子をつけて返してくれる銀行のようなものだ
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E3%81%B8%E3%82%93%E3%81%AA%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8A%E6%96%B9-NT2X-%E8%BF%91%E8%97%A4-%E6%B7%B3%E4%B9%9F/dp/4798110523/ref=sr_1_13?ie=UTF8&s=books&qid=1197235314&sr=8-13

そういった情報発信について佐々木氏の本では触れられてなかったことが残念ですが、今回は収集について的を絞って言及されたようですし、この内容でこの価格の本なら仕方ないかなという感じがします。


ところで、羽生善治さんの「学習の高速道路と大渋滞」論というものがあります。梅田望夫さんが紹介されたことで、すごく有名になった話で詳しくはこちらにあります。


インターネットが普及し、コンテンツも増え、便利なツールによってコミュニケーションの形態も多様化したおかげで、別にお金をかけずとも24時間365日やる気さえあれば勉強が思いっきりできる環境が整いました。これが「学習の高速道路」です。しかし羽生さんは続けて言います。「高速道路を走りきる手前で大渋滞が起こっている」。一般人がその道のセミプロレベルの知識をあっという間に手に入れられることで、セミプロの数が膨れ上がったのです。そしてそこから本当のプロになるためには何か他人と差別化を図る必要性が出てきたらしいのです。今、ウェブ進化に影響を受けて、いろんな分野の世界が激変している様です。

私が羽生のこの考えをブログで初めて紹介したとき、プログラミングや物理学の世界は言うに及ばず、法律から考古学、マンガや「折り紙」にいたるまでさまざまな分野で「全く同じことが起きている」という反応がネット上に溢れた。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%82%92%E3%82%86%E3%81%8F-%E2%94%80%E3%81%84%E3%81%8B%E3%81%AB%E5%83%8D%E3%81%8D%E3%80%81%E3%81%84%E3%81%8B%E3%81%AB%E5%AD%A6%E3%81%B6%E3%81%8B-%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-687-%E6%A2%85%E7%94%B0/dp/4480063870/ref=pd_bbs_sr_1?ie=UTF8&s=books&qid=1197236321&sr=8-1

今後社会のどの分野に進もうとも、ウェブリテラシーは最低限必要な素養となるでしょう。私が子どもの頃、習い事としてそろばん教室に通っていたとき、こんな言葉をよく耳にしました。


「昔は『読み・書き・そろばん』と言ったものだが、もうそろばんは役に立たない。これからの時代は『読み・書き・パソコン』だ」と。


私はあえて言いなおしたいと思います。これからの時代『読み・書き・ネット』です。


既にデジタルディバイドが社会問題として表面化してきている昨今ですが、今後はもっと加速し、情報収集・情報発信ができないビジネスマンは甲斐性無しだと罵られる日も近いであろうと予想しています。


「3時間で専門家になる方法」を実践するスキルそのものは、3時間では到底身に付きません。社会が大変化を起こす明日に備え、己のウェブリテラシーを今のうちから磨いておこうと思った次第です。